第323話「愛は何処へ」(通算第533回目)

放映日:1978/10/6

 

 

ストーリー

午前11時10分、田口は恋人でトリマーの白城幸子(21歳)(純アリスさん)とのデートで胸を躍らせていた。

田口は白城と新宿西口公園で待ち合わせていたが、白城の前に尾形清(25歳)(清水健太郎さん)という男が現れた。

尾形は白城に一度拒絶されると、ナイフを突きつけて人質にして、田口を脅迫した。

白城は田口に、尾形の追跡を止めるように頼んだ。

尾形は白城を連れて乗用車で逃走した。

田口は尾形の乗用車を追跡したが、急停車したトラックと衝突し、昏倒した。

田口は運転手(町田幸夫さん)に、七曲署への通報を要請した。

藤堂は通報を聞き、緊急手配した。

岩城は藤堂から、白城の誘拐を知らされ、驚愕した。

田口は菊池外科病院に搬送され、軽度の脳震盪と診断された。

田口は尾形に心当たりが無かった。

白城は東京では孤独だった。

白城の同僚は、尾形がペット店の前に乗用車で乗り付けたのを目撃していた。

田口が目撃した、尾形の乗用車のナンバーは偽造ナンバーだった。

白城は昭和31年(1956年)10月1日生まれで、新宿区宮坂町3-15-7に住んでいた。

午前9時20分、田口が退院して一係室に戻り、尾形の正体を告げられた。

尾形は殺人未遂の逮捕歴があった。

尾形と白城は北海道旭川にある児童福祉施設の出身で、互いに幼馴染の仲だった。

尾形は3歳の時、家族を一家心中で亡くし、児童福祉施設で白城を妹のように可愛がっていた。

白城は尾形から離れようとして、逆恨みされたものと推測された。

白城は北海道の女子刑務所で、横須賀の女性と米軍兵の間に誕生していた。

白城の母親は、白城の父親に捨てられ、無理心中を図って放火し、逮捕されており、その後、刑務所の中で死亡していた。

田口は白城の、自分を頼ろうとしていた気持ちに嘘がないと思っており、白城がどこの出身だろうが気持ちに変わりはなかった。

尾形の住所と勤務先が判明し、藤堂は野崎と島に尾形宅の、田口と岩城に尾形の勤務先を指示した。

尾形はパブディスコ「チェスターバリー」にて勤務していたが、昨日の朝から欠勤していた。

尾形は昨日の昼頃からアパートを出て行っており、めぼしいものが何も発見されなかった。

夜、尾形は仲間の平山次郎(川代家継さん)と一緒に、ワールドドラッグ株式会社に侵入し、ロッカーをこじ開け、大金を強奪した。

2人の警備員が部屋に入り、大金が強奪されているのを確認し、警察に通報した。

尾形は警備員の1人に追跡されたが、コルト45を発砲し、平山を連れて乗用車で逃走した。

警備員は乗用車の運転手が白城であるのを目撃した。

翌朝、七曲署捜査一係が現場に駆けつけた。

ワールドドラッグの社長(久遠利三さん)は、山村と石塚に何も強奪されていないと証言した。

ワールドドラッグは新手のマルチ商法をしていた悪徳会社だったが、業績が半年前から大幅に下落し、2日前に倒産していた。

社長は金庫の中身が空であるのを見せた。

山村は尾形達がロッカーを苦労してこじ開けた理由を疑問に思った。

島と田口は警備員から、白城が逃走用の乗用車を運転していたことを聞き出した。

警備員の証言で、白城のモンタージュが完成した。

田口は白城が拳銃強盗事件の見張り役をしていたことを知り、愕然とした。

尾形が強盗に利用した乗用車は、白城を誘拐した時に利用したものと同一の偽造ナンバーの乗用車だった。

石塚は白城が尾形に脅迫されて、強盗に利用されたものと助言した。

ワールドドラッグは計画倒産容疑で、本庁捜査三課が調査中の会社だった。

尾形が強奪した大金は会社の隠し金で、強奪しても会社が訴えない金だった。

藤堂は捜査員に、尾形の仲間の手掛かりをつかむように命令した。

田口と岩城は、尾形の友人で、バーテンダーの平山と会った。

平山は尾形がバーで酒を飲んでからの仲であることを話した後、店に多数の若者が入り、忙しいことを理由に、捜査協力を拒否した。

店に入ってきた若者の木崎(保積ペペさん)は、尾形の仲間であることを否定した。

尾形と白城は、東京から苫小牧行のフェリー「えりも丸」に乗った。

尾形は、自分達が世間の連中と同じようなことをしても絶対にうまくいかないと考えていた。

白城は一時、田口に好意を抱き、幸せになれると思っていたが、尾形に促されてその思いを捨てていた。

尾形と白城は、自分達の村と牧場を建てることを実現させることに執念を燃やしていた。

田口は、平山がワールドドラッグのマルチ商法に300万円を投資したことを突き止め、平山に強奪した金の居場所を尋問した。

ワールドドラッグの帳簿に平山の名前があり、ワールドドラッグが計画倒産した翌日、平山が拳銃を探していたという情報があった。

田口と岩城は平山を追跡したが、オートバイに乗った、尾形の仲間に妨害され、取り逃してしまった。

平山と、尾形の仲間は消息を絶っていた。

田口は射撃訓練をしていたが、的の心臓の部分に多数の弾を命中させていた。

岩城は的の様子を見て、田口が尾形の胸を狙うかもしれないことを危惧した。

山村は服役中の、尾形の仲間から、尾形が昔から北海道の原野に自分達だけの牧場を造るという計画を立てていたという情報を入手していた。

田口は、平山がワールドドラッグに投資した300万円が、仲間全員で作った牧場の資金であること、尾形が北海道に逃走したのではないかということを意見した。

尾形達は計画倒産で300万円を騙し取られ、激情して強盗に入っていた。

藤堂は旭川署に連絡し、田口と岩城に翌朝に北海道に飛び立つように命令した。

田口と岩城は北海道に到着し、旭川署を訪れ、覆面車を拝借した。

田口と岩城は旭川児童福祉センター、東川第三小学校、東川町立東川中学校で捜査した。

石塚は、尾形と白城が一昨日の夜にフェリーに乗ったことを掴んだ。

えりも丸は今朝午前6時45分に、苫小牧に到着していた。

石塚も北海道に赴くことを決断した。

田口と岩城は旭川署刑事の指令を受け、旭岳山岳の牧場予定地に直行した。

牧場予定地には「俺たちの村」という看板があった。

尾形と白城は山に向かっていたが、検問を発見し、強引に突破した。

田口と岩城は戸川刑事(矢野宣さん)から、尾形と白城が検問を破り、天人峡温泉付近に逃走したことを告げられた。

尾形は近辺の地形に詳しく、追跡者を振り切っていた。

田口は岩城を置き、戸川の覆面車に同乗した。

尾形が逃走に利用した乗用車が崖下から発見された。

尾形は時間稼ぎのためにわざと乗用車を落としたものとみられた。

石塚が北海道に到着し、田口と合流した。

岩城は尾形が牧場予定地に戻らないと考え、登山していた。

石塚と田口はヘリコプターで尾形と白城を捜索することにした。

尾形と白城も登山して逃走していた。

尾形は山の奥にある廃墟の小屋まで行き、そこで潜伏しようとしていた。

岩城は尾形と白城を発見し、尾形の拳銃を蹴り落したが、尾形と揉み合いの末、ナイフを突きつけられた。

尾形は岩城に殴り返された際、急斜面を滑って転落してしまい、何とか木の枝を掴んだ。

崖の下は滝だった。

岩城は尾形の鞄からロープを取り出し、大木の枝にロープを固定させ、尾形にロープを放り投げた。

尾形は左手を負傷し、ロープを掴むことができない状態となっていた。

岩城は尾形のもとまで崖を降り、尾形の足にロープを付けた。

ロープが岩城と尾形の重みで切れそうになっていた。

岩城は尾形もろとも落下するのを防ぐため、自分のロープを切断し、落ちることを決断した。

石塚と田口は岩城と尾形と白城を見た。

岩城は尾形の制止を振り切り、ナイフでロープを切断し、天人峡の滝壺に転落した。

尾形は崖を登ることに成功した。

岩城は東川町立病院に搬送された。

藤堂が東川町立病院に急行し、石塚と田口と合流した。

岩城は滝壺に転落し、即死を免れたが、手術開始から4時間が経過しており、生存すれば奇跡という状態だった。

尾形と白城は原生林に逃げ込み、警察の捜査をまいた。

ロープは登山用のロープではなく、岩に擦れて切れかけており、岩城がロープを切断しなければ、尾形もろとも転落していた。

岩城の心臓が停止した。

 

 

メモ

*北海道ロケーション編の前編。日本テレビ開局25周年記念作でもある。

*サブタイトルの「何処」には「いづこ」とルビが振られている。

*白城と交際するも、すぐに振られてしまうボン。

*北海道の大自然が映る。

*前編時点での北海道の到着組はボス、ゴリさん、ボン、ロッキー。このうち、ボスはラストシーンで到着。

*ロッキーの山男の設定、元レスキュー隊員が存分に活かされた。

*ロッキーと尾形がロープを登るシーンが一部セットなのはご愛嬌。

*ロッキーに「二人で登ろう」と言うなど、何だかんだ優しい尾形。

*尾形は生存したが、ロッキーはナイフでロープを切り、滝壺に転落。

 

 

キャスト、スタッフ(敬称略)

藤堂俊介:石原裕次郎

田口良:宮内淳

岩城創:木之元亮

野崎太郎:下川辰平

 

 

尾形清:清水健太郎

白城幸子:純アリス、平山次郎:川代家継、木崎:保積ペペ、戸川刑事:矢野宣

川島一平、直木悠、ワールドドラッグ社長:久遠利三、岡本牧子、なかはら五月、高橋美恵子

岩田博行、桑代三宝子、伊藤千江子、山田登是、宮沢芳春、アパート大家:大山豊、トラック運転手:町田幸夫

ノンクレジット 東川町立病院医師:相沢治夫

ロケーション協力:東川町観光協会、東亜国内航空

 

 

石塚誠:竜雷太

島公之:小野寺昭

山村精一:露口茂

 

 

脚本:小川英、四十物光男

監督:竹林進

※2020/9/13執筆