第276話「初恋」(通算第486回目)

放映日:1977/11/11

 

 

ストーリー

浜田邸の家政婦の根岸智子(片桐夕子さん)は化粧を終えて外出しようとした際、浜田の娘の浜田陽子(17歳)(大竹しのぶさん)に声をかけられた。

根岸は陽子に、外出の目的がデートであると見破られ、同伴を頼まれたが、陽子を寝かせた。

陽子は病気で2年間、自宅療養中の身であり、根岸のデートに関心を示していた。

浜田邸に侵入者が入り、豪邸の主で浜田商事社長の浜田(岡田英次さん)が物音を聞き、確認しに行った。

浜田は侵入者に拳銃で殴られていた。

侵入者の宮下順一(幸野直樹さん)は外に出た根岸と鉢合わせし、拳銃を隠した。

翌日、七曲署捜査一係が浜田邸に駆けつけた。

浜田は山村に、侵入者の宮下に見覚えが無く、30歳前後で長身の男だったことを話した。

根岸は警察に事件を通報していたが、宮下のことを隠した。

石塚と島は根岸に、裏口と勝手口の鍵が施錠されていなかったこと、侵入者が勝手口から堂々と侵入したことを突きつけた。

根岸は昨夜に鍵を施錠し忘れたことを思い出し、部屋を出た直後に事件が発生したと誤魔化した。

浜田は夫人がいないために根岸に家事を押し付けているため、無理もないと根岸を擁護した。

浜田は自身が軽傷を負っただけで何も強奪されていないため、不幸中の幸いだと思うようにしていた。

陽子が勝手に私室を飛び出して捜査員の前に現れていたが、浜田の指示で私室に戻った。

浜田邸には浜田と陽子と根岸の3人が住んでいた。

陽子は山村から、私室の扉の前で事件のことを質問され、熟睡していて何も知らないと答えた。

事件は侵入者が裏口から浜田邸に強盗に入ったが、発見されて逃走したものと推測された。

陽子は2階の私室の窓から、島を見ていた。

浜田が陽子の私室に入り、勝手に捜査員の前に姿を現した陽子を叱咤した。

浜田は陽子の性格が陽子の母親と似ていると思い、陽子がだんだん母親と似てくるようになることを危惧していた。

野崎は浜田邸への侵入者が宮下であることを突き止めた。

現場の数ヶ所に宮下の指紋が付着していた。

宮下は2ヶ月前、名古屋で拳銃強盗事件を続発させていた。

藤堂は昨夜の犯行が宮下のものだとする場合、今までの考え方を根本から変えなければなくなると発言した。

山村と石塚は、宮下が以前までに一度も現場に指紋を残していなかったのに、浜田邸には指紋を残していること、何も強奪せずに逃げていることを不審に思っていた。

昨夜の宮下の犯行は金以外の目的があったと考えられた。

宮下は手当たり次第に女性を騙している男だった。

根岸が宮下と関係性を持ち、宮下を引き込んだ可能性が出た。

藤堂は石塚と岩城に根岸の張り込みを、野崎に聞き込みを、山村と島に根岸の調査を、田口に根岸と宮下の共通点の調査を指示した。

浜田は侵入者が宮下であると断定し、根岸が3年前に浜田邸の家政婦になったことを話した。

浜田は根岸に対し、家政婦と呼ぶぐらいにはもったいないぐらいによく働いているという感想を抱いていた。

陽子は根岸を、母親や姉のように思い、甘えていた。

根岸は元々看護婦であり、陽子が入院した折に、非常に親身に看護していた。

陽子は浜田に、根岸を家政婦にするように強く願い出ていた。

浜田は根岸の最も素晴らしいところは、清潔で淫乱でないところであると思い、陽子を安心して預けることができると評価した。

島は根岸がかつて勤務していた病院の看護婦から、根岸が約5年前(1972年頃)に恋愛の末に失恋してから、性格が豹変したことを聞き出していた。

そのときの根岸の恋人は宮下ではなかった。

根岸と宮下の2人に接点はなく、生まれて育った場所も働いていた場所も、人間関係も違っていた。

岩城は根岸に直接尋問することを提案したが、石塚に根岸を油断させるため、まだ放っておくように言われた。

根岸が宮下と結びついているという証拠は皆無だった。

陽子は事件当日の晩には根岸が香水をつけていたのに、今日には香水をつけていないことを指摘した。

陽子は根岸に恋愛とは何かということを執拗に質問したが、無視された。

陽子は恋心が分からなかった。

田口は宮下が偶然、浜田邸に侵入したのではないかと思っていた。

石塚と岩城が、根岸の行動には全く変化がないと報告した直後、陽子の私室から陽子の悲鳴が聞こえた。

石塚が直行し、陽子の私室の窓が割れていることを確認した。

ガラスが割れているだけで、窓は閉まったままであり、他に異常がなかった。

浜田はただ何も話さない陽子を叱った。

陽子は根岸にも反抗的だったが、島が現れた直後に態度を急変させ、宮下らしき男が侵入しようとしたことを話し、宮下らしき男の正確な特徴を説明した。

浜田は陽子が話した男の特徴と宮下とそっくりであると思ったが、宮下が2度も浜田邸に侵入しようとしたことを疑問に思った。

島は壁に人が登った形跡が無く、ガラスの破片が庭の方に多数落ちていることから、内側からガラスを破ったとしか考えられないと結論付けた。

事件は陽子の作り話だった。

陽子は浜田の尋問を無視し、部屋を飛び出した。

根岸は庭で陽子を発見した。

陽子は島を嫌うようになっていた。

陽子は現れた島に対し、事件をでっち上げた真の理由を隠し、自分が淫乱な女だからと述べた。

陽子の母親は陽子の幼少期に、別の好きな男と駆け落ちしまっていた。

陽子は自暴自棄になってしまっていた。

山村は、陽子が事件をでっち上げた理由が、島にもう一度会いたかったからであることに気付いた。

島は陽子が、宮下を目撃した浜田とほとんど同一の証言をしたことが引っかかっていた。

陽子の証言の中には、浜田が気付かなかった宮下の特徴の1つの、「頬の傷」があった。

島は陽子が一昨日かそれ以前に、浜田邸の近くで根岸と宮下の密会を目撃したことがあると断定した。

浜田も陽子の魂胆が島であることを見抜いており、自分と陽子を捨てて出て行った元妻とそっくりと言い捨てた。

石塚は藤堂に根岸の取調べを進言したが、藤堂から島がもう1日時間をくれるように意見していたことを伝えられた。

夜、島は浜田邸を張り込んでいた。

陽子は根岸を尾行していた。

島は施錠されていない裏口から浜田邸に入り込み、尾行中の陽子を発見した。

根岸は邸宅の一室で、宮下と密会していた。

根岸は宮下とは2週間前に行きずりに声をかけて知り合っただけの仲であるにもかかわらず、宮下のことを密告していなかった。

根岸は宮下が裏切られても裏切る性質ではないと考え、屋敷に再度来ていた。

宮下が、根岸を尾行していた陽子を発見してしまった。

陽子は根岸が宮下と密かにデートをしていたことを知っており、2人を庇うと宣言した。

陽子は、好きな男と蒸発した母親も許していたが、島が自分の気持ちを少しも理解していないと思っていた。

宮下が屋敷を来訪した目的は大金であり、陽子に浜田の部屋に案内するように強要した。

根岸は遂に宮下の本性を知り、激高した。

島は宮下達の前に現れ、宮下を強盗殺人容疑で逮捕すると宣言したが、陽子に追跡を妨害された。

宮下は浜田を人質に取り、島に拳銃を捨てるように脅迫した。

浜田は宮下に、大金を用意するため、陽子には手を出さないように頼んだ。

宮下は浜田達を人質に取り、島に暴行を加えた。

陽子はとっさに島を庇った。

宮下は浜田に、根岸に全ての所持金を手渡すように脅迫し、根岸と一緒に逃亡しようとした。

浜田は宮下を招き入れたのが根岸であることを知って激高し、陽子が庇うのも無視し、根岸に私室の手文庫の中の金を取って出ていくように命令した。

根岸は島の拳銃を拾い、宮下に屋敷から出ていくように脅迫し、宮下とはただの行きずりの関係に過ぎないことを強調した。

宮下は根岸を殴り飛ばし、殺害しようとしたが、隙をついて立ち上がった島と格闘になった。

宮下は島の左腕に直接発砲したが、拳銃を蹴り飛ばされ、庭に逃走した。

島は宮下と格闘になり、傷を痛めつけられたが、何とか逮捕し、階段に手錠を繋いだ。

陽子は号泣しながら外を走っていった。

島は石塚と岩城と合流し、宮下を逮捕したことを知らせ、陽子を捜索に向かった。

島は陽子を発見したが、陽子は浜田と根岸と母親に絶望していた。

島は陽子を説得した。

陽子の同級生が島を見舞いに訪れていた。

 

メモ

*陽子の私室の窓が割れた(偽装)事件の報告をする際、ボスに「警察学校からやり直せ」と怒られるロッキー。

*今回の事件の一番の被害者は浜田のようにも思える。宮下に拳銃で殴られ、根岸には裏切られるとひたすら可哀想。

*暗いカットが多く、見づらい。

*今回は播磨氏の「太陽」最終作。

 

 

キャスト、スタッフ(敬称略)

藤堂俊介:石原裕次郎

田口良:宮内淳

岩城創:木之元亮

野崎太郎:下川辰平

 

 

矢島明子:木村理恵

浜田陽子:大竹しのぶ

浜田社長:岡田英次

根岸智子:片桐夕子

宮下順一:幸野直樹、青木和代、大曲えり子、大村真利枝、高松政雄

 

 

石塚誠:竜雷太

島公之:小野寺昭

山村精一:露口茂

協力:太洋不動産興業株式会社(箱根 太洋クラブ)

 

 

脚本:播磨幸治

監督:木下亮