第261話「偽証」(通算第471回目)
放映日:1977/7/22
ストーリー
岩城は兄の岩城雅也(浜畑賢吉さん)に呼び出され、雅也が勤務する新東京商事を訪れた。
岩城は雅也に、対策が順調に進めば、城北物産が大企業になるため、城北物産への転職を勧められた。
雅也は岩城に、転職すれば給料が上がり、週休2日制になり、将来性も保証されると説得した。
雅也は先日、岩城の高校時代の親友で、営業部に抜擢された佐々木敏郎(25歳)と職場で会っていた。
城北物産は雅也が佐々木を紹介するまで二流だったが、現在は貿易商社として正常株の筆頭だった。
岩城は刑事の職を続けると断固に主張し、勧誘を断った。
午後2時30分頃、水沼千恵はレストラン「モンテ」の前でタクシーを降りたが、店が休業していたため、裏の駐車場の階段で待機した。
水沼は突如現れた、小野武とチンピラの坂口に襲撃され、ナイフで背中を刺されてしまった。
小野は水沼のハンドバッグを強奪し、白と黒のツートンカラーの国産車で逃走しようとした際、赤い外車と出会い頭に衝突しそうになった。
外車の運転手のマルケス(イクバル・ハニフさん)は車から降りて水沼の遺体を確認した後、現場を立ち去った。
七曲署捜査一係が現場に駆けつけ、捜査を開始した。
水沼は定休日を知らず、「モンテ」で待ち合わせをし、相手の車を駐車場まで探しに行っていた際、犯行に巻きこまれた可能性が高かった。
「モンテ」の向かいに住む少年とその母親が、犯人の国産車と外車を目撃していた。
目撃者の少年が外車マニアだったため、その外車が、赤色の、シボレーコルベット スティングレイ73年型であることが判明した。
捜査員は外車の外国人が水沼の待ち合わせ相手であると推測したが、なぜ110番通報をしなかったのかを不審に思った。
少年は国産車に乗った犯人の2人を記憶していた。
水沼の手の爪の間から絵具が検出された。
一係室に水沼の妹の水沼久美から、殺害されたのが水沼ではないかという電話が入った。
水沼は画家だった。
藤堂は島と岩城を、久美に立ち合わせた。
久美(梶原恵さん)は殺害されたのが水沼であると断定し、号泣した。
水沼は姉妹2人きりだった。
久美は水沼が最近、絵が売れるようになり、恋人ができたため、とても楽しそうだったことを話した。
久美は水沼の恋人や、水沼がどのくらいの金を所持していたのかは何も知らなかった。
久美は水沼が今日、約100万円の大金を所持していたことを思い出した。
100万円は約20点の絵が売れたことによる代金だったが、水沼の相手については不明だった。
藤堂は島と岩城に車の捜査を、他の捜査員に水沼の絵を購入した人物の捜索を命令した。
東京ビジネスホテルの支配人は山村と田口に、別館を少し増築し、部屋数が増えたために、水沼から20点の絵を購入し、代金100万円を支払ったことを話した。
支配人に水沼の絵を推薦したのは、客の1人の、肥料輸出会社「城北物産」輸出部長の高村伸三だった。
支配人は支配人室で水沼に100万円を支払ったこと、ボーイの小野がコーヒーを運んだ際、支払ったところを目撃しているかもしれないことを伝えた。
田口は高村(高木二朗さん)と対面した。
城北物産は会社の関係上、外国からの客が多く、客に東京ビジネスホテルを紹介し、宿泊させていた。
高村は水沼とは面識が無く、何者かに依頼されて気軽に紹介していたが、依頼者の名前を忘れていた。
島と岩城は外車を捜査中、該当する車の1台が城北物産の所有だったことを調べ上げていた。
岩城は受付嬢から、城北物産営業部に勤務する佐々木が外出していることを聞き出した。
島と田口と岩城は社員に駐車場に案内され、赤い外車を見せてもらった。
外車は取引先の客に貸し出すための予備の車で、管理担当者が不在であるため、昨日に誰が使用したのかは不明だった。
高村は佐々木(谷岡弘規さん)を呼び出し、佐々木に何かを指示した。
一係室には、まだ城北物産からの連絡が無かった。
該当する外車は8台あったが、昨日のアリバイが不明だったのは城北物産所有の1台のみだった。
一係室に山村から、水沼が相手との待ち合わせ場所である「モンテ」に向かったのと同時刻、小野も早退してホテルを出ているという連絡が入った。
藤堂は山村に小野のマークを、田口に小野の昨日の午後の足取りと交友関係の捜査を指示した。
佐々木が一係室に出頭し、岩城と再会した。
佐々木は藤堂に、水沼との待ち合わせ相手が自分であること、会社の上司に社用外出と偽り、外車で待ち合わせ場所に向かったことを告白した。
佐々木は藤堂に、事件が個人の問題で、会社とは無関係であるため、会社名が新聞に掲載されないように配慮を懇願した。
佐々木は犯人が2人とも中肉中背、20歳から25歳で、1人が青色のジャンバーを着用していたと証言した。
佐々木は島から犯人の顔の特徴を尋ねられて動揺し、水沼とは深い付き合いではなかったが、友達としてはとても気持ちの良い人だったことを話した。
佐々木は水沼の遺影に焼香した。
岩城は佐々木を、事件現場である「モンテ」の駐車場に連れて行った。
佐々木はあくまで供述通りの行動をしたと発言した。
岩城は佐々木が、水沼の死体を置き去りにして逃走し、そこに平気で立つ男ではないと思っていた。
佐々木は岩城と別れた。
田口は小野の住むアパートの近くのスナックの電話から、小野が多額の借金を抱えていたが、昨夜に完済していることを報告した。
野崎は東京ビジネスホテルから、春の従業員旅行の、小野が映っているスナップ写真を借り、藤堂に提出した。
佐々木は島と岩城から小野の写真を見せられ、小野ではない男が犯人と証言した。
島と岩城は、佐々木が犯人であると証言した従業員に、アリバイを質問したが、知らないの一点張りだった。
島はボーイが嘘を吐いているとは思えなかった。
ボーイは100万円の件を知っている可能性が高く、アリバイも無かった。
岩城はボーイが犯人ではないと思っていた。
石塚の捜査で、小野の競馬仲間の坂口がツートンカラーの乗用車を所有していること、一昨日の晩に2人で戸川組のノミ屋に現れ、借金30万円を支払っていることが判明した。
小野はホテルを退出後、田口に尾行されていたが、途中で尾行に気付き、逃走した。
小野は路地裏で出前持ちとぶつかって転倒し、田口に取り押さえられた。
岩城は佐々木に、偽証をした理由を詰問した。
岩城は佐々木が水沼とは一緒におらず、死体を目撃したのが別人であることを看破していた。
岩城は中学校と高校時代の6年間、佐々木と一緒だったため、佐々木が嘘を吐くことに気付くのに根拠など無いと述べた。
島は佐々木に、小野の面通しを要請した。
佐々木は曖昧な証言をした。
岩城は佐々木に、もう友達とは思わないと言い放った。
小野は捜査一係が確証を掴んでいないことを知り、黙秘を貫いていた。
石塚は新宿のゲームセンターで坂口を発見し、藤堂からマークを命じられた。
藤堂は事件の真の目撃者の捜索を方針とした。
岩城は佐々木が偽証をして捜査を混乱させたため、藤堂に佐々木の逮捕を進言した。
岩城は佐々木が犯人を知っていると確信していた。
山村と島は佐々木の態度に必死さを感じ、証言を翻さないと推察しており、藤堂から外車の捜査を命じられた。
小野の拘留期限は明日までだった。
岩城は再び雅也から呼び出された。
雅也は岩城に、佐々木が城北物産社員として失態を犯せば、紹介者の自分も恥をかくこと、佐々木には佐々木の生活があることを伝えた。
雅也は岩城に、佐々木をいくら責めても無駄であると助言した。
配車表のノート1冊が全部書き換えられた可能性があり、外車に関する記録を抹消するため、会社ぐるみで工作している疑惑が浮上した。
一係室の受付に、差出人不明の速達が届いた。
速達の中身は城北物産の業界紙であり、業界紙にはマルケス書記官の赤い外車が写っていた。
マルケスの外車「品川33 り 22-21」は現場から走り去った外車とナンバーが一致した。
藤堂はマルケスと城北物産の関係性を捜査することにした。
岩城は佐々木に協力を求めたが、拒否されてしまった。
岩城は高村に、配車表にマルケスの名前が全然ないことを指摘した。
高村は七曲署まで同行し、真相を話し、藤堂に内密にするように依頼した。
マルケスは自国に妻子がおり、スキャンダルを公表されると、城北物産の大口の取引が破算になる可能性があった。
マルケスは小野を犯人と断定した。
坂口は石塚と田口に追跡され、岩城に叩きのめされて逮捕された。
マルケスの写真を匿名で送ったのは佐々木だった。
佐々木は城北物産にそのことを知られてしまい、出世が絶望的になってしまった。
岩城は城北物産に急行したが、佐々木に無視された。
メモ
*ロッキーの兄、岩城雅也が登場。
*冒頭、雅也からサラリーマンへの転職を勧められるロッキー。しかし、刑事を続けるとして断る。
*雅也は後に「兄貴」に再登場。しかし、「殉職刑事たちよ やすらかに」では写真のみの登場だった。
*「姉妹なのに何も知らないのか」という長さんに、妹と2人きりの境遇から「きょうだいだから何も知らない」と返す殿下。
*「ツートンカラー」を「トゥートゥンカラー」と言うボス。
*ロッキーが登山中での辛い過去を語る。友人と一緒に山で遭難したことがあり、2日2晩ザイルにぶら下がった挙句、その友人はロッキーを助けるため、ザイルを切って転落死していた。ロッキーはそのとき、どんなことがあっても人が死ぬのに平気な自分にはなりたくないと誓っていた。なお、この過去は、ロッキー殉職直前の「忘れていたもの」で、令子の口から語られている。
*小野の逮捕シーンは無かった。
*最終的に雅也は、ロッキーを「バカ」だと言いつつ、刑事であることを認めたようだ。
*今回は吉高監督の「太陽」最終作。
キャスト、スタッフ(敬称略)
藤堂俊介:石原裕次郎
田口良:宮内淳
岩城創:木之元亮
野崎太郎:下川辰平
矢島明子:木村理恵
岩城雅也:浜畑賢吉
佐々木敏郎:谷岡弘規、水沼久子:梶原恵
高村伸三:高木二朗、柳沢紀男、中田彩子、新井武宣
小林文隆、村国守平、大坪絹子、佐々木裕子、マルケス書記官:イクバル・ハニフ
石塚誠:竜雷太
島公之:小野寺昭
山村精一:露口茂
脚本:小川英、鴨井達比古
監督:吉高勝之