第551話「すご腕ボギー」(通算第430回目)

放映日:1983/4/8

 

 

ストーリー

春日部は早朝の通報で、竹本を連れて出動したが、イタズラ電話だったことに激怒していた。

春日部は用を足すため、覆面車を降り、スーパーマーケット「シヅオカヤ」の化粧室に駆け込んだ。

強盗犯の森田(堀勉さん)は、相棒の林を待機させ、「シヅオカヤ」に強盗に押し入った。

森田は店員の菊地裕(水上功治さん)を人質に取り、レジスターから金を強奪しようとしたが、トイレから戻った春日部に発見された。

森田は春日部と格闘となり、林の運転するオートバイで逃走しようとしたが、春日部に取り押さえられた。

春日部は林のオートバイのタイヤに発砲し、林の逃走を阻止した。

竹本は銃声を聞いて春日部のもとに駆けつけ、林を逮捕した。

春日部は森田を逮捕し、菊地に名前を名乗った。

森田と林はスーパーマーケット強盗犯の常習犯だった。

午前9時15分、捜査員は春日部のスピード解決を称賛した。

一係室に菊地から、春日部を名指しする電話が入った。

菊地は名前を名乗らず、大事な話のため、矢追2丁目の喫茶店「セレクション」に単独で急行するように依頼した。

春日部は自分を名指ししたのが気になり、急行した。

西條は相手が不明であることを危惧し、春日部に同行しようとして断られた。

西條と春日部はそれぞれ別々の車で「セレクション」に赴いた。

春日部はマスターの巽(石田和彦さん)に、男から伝言を貰わなかったのかを尋ねた。

巽は春日部から身分を告げられると、激しく動揺し、グラスを割ってしまったが、必死に誤魔化した。

西條は巽が雑誌の中に拳銃を隠そうとしているのを目撃し、拳銃を取り上げた。

巽は拳銃をモデルガンと誤魔化した。

巽が隠した拳銃は元々モデルガンだが、銃口が抜かれ、銃身が鉄パイプに変えられている改造拳銃だった。

西條は巽を逮捕し、密告電話が改造拳銃のことについてではないのかと推測した。

菊地は「セレクション」に電話をかけ、電話に出た春日部に、約束を破ったことを怒った。

菊地は改造拳銃については知らず、一人で来なければ話さないと断言し、待ち合わせ場所を1丁目のスナック「ゼスト」に指定した。

春日部は単独で「ゼスト」を訪れた。

店内では、仁(福崎和宏さん)と修(谷村好一さん)という2人組のチンピラが、マスター(水橋和夫さん)に菊地が来なかったかを詰問していた。

修は喧嘩を仲裁しようとした春日部に文句を言ったが、仁に窘められた。

「ゼスト」に菊地から電話が入った。

菊地は春日部が単独なことを知っていたが、待ち合わせ場所を、弥生通りの喫茶店「バルコニー」2階に指定した。

菊地は春日部の顔を知っていることを言い残し、電話を切った。

春日部は「バルコニー」の客席に座り、コーヒーを注文して待機していたが、いつまで経っても菊地が現れなかった。

菊地は「ゼスト」の春日部に、気が変わったため、今日帰るようにという内容の電話をかけた。

春日部は電話の主が菊地であることを見抜いた。

春日部は受話器からパチンコ屋の音楽を聞こえたことから、入口に戻り、パチンコ屋の公衆電話から電話をかけている菊地を発見し、追跡した。

春日部は揉み合いの末、公園で菊地を取り押さえた。

菊地は、1日で犯人を3人逮捕し、すぐに自分の名前を突き止めた春日部を、凄腕の刑事だと思っていた。

井川と西條は巽を取り調べていた。

井川は巽の改造拳銃が殺人も可能な代物であること、手慣れた製造方法であることから、今回が最初ではないと考えていた。

巽は拳銃の改造が最初であると誤魔化した。

井川は巽に、「セレクション」から拳銃の部品が多数発見されていることを告げ、厳しく叱責した。

菊地は春日部に、明日の晩、自分を含めた3人で現金輸送車を襲撃する計画があることを教えた。

菊地は今朝の強盗のように逮捕されてしまうと思い、仲間から抜けることを強く願っていたが、密告により殺害されることを恐れていた。

菊地の強盗計画の仲間は仁と修だった。

修と仁は最近、この街に来て、「ゼスト」でビリヤードをして遊んでいた菊地に馴れ馴れしく接近し、付き合っていた。

菊地は「シヅオカヤ」に勤務する前、大手のストアに勤務しており、そのストアの現金輸送車は毎日約1億円集金していた。

現金輸送車には2人の警備員が乗っているが、1人が金を取るために輸送車を離れたときが危険だった。

仁と修は菊地から計画を伝えられた後、運転手を脅迫し、輸送車ごと強奪すると宣言した。

菊地は仁と修とは街で会って遊ぶだけであるため、住所を知らなかった。

菊地は仁と修と、明日にストアの通用口で会うこととなっており、春日部に、強盗事件発生時に逮捕するように懇願した。

菊地は仁と修が強盗未遂で逮捕されると、すぐに出所してしまうことを心配していたが、春日部に叩かれた。

春日部は仲間を裏切ることを激しく嫌っており、菊地の密告を言わないこと、菊地の生命を守ることを約束した。

春日部は菊地から修と仁の居場所が3丁目のゲームセンター「シルビア」であることを聞き出した。

修は菊地が来ていないことを疑っていたが、仁は自動車を用意すれば菊地がいなくてもいいという考えであり、予定通り実行しようとしていた。

春日部は一係室の藤堂に強盗計画のことを報告し、仁と修が車を強奪しようとしているところを逮捕しようとしていた。

春日部は仁と修の尾行を開始した。

令子と竹本は春日部の援護のために出動し、山村は「ゼスト」の聞き込みに向かった。

巽は井川と西條の取調べの末、改造拳銃を1丁販売したことを自白したが、販売者の名前を知らなかった。

修は仁と別れ、空き地にて駐車されている自動車を発見し、ピッキングしようとしていた。

春日部は修を窃盗未遂で連行しようとしたが、改造拳銃を突きつけられ、脅迫された。

修は仁の運転する青色のクーペ「品川56 い 8965」に乗り、逃走を図った。

春日部は仁と修の自動車に張り付いたが、自動車が塀に衝突したため、叩き落されてしまった。

春日部は負傷し、気絶してしまった。

仁と修は菊地が春日部に計画を密告したと直感し、菊地を殺害しようとしていた。

菊地はシヅオカヤで勤務中、店長(鶴岡修さん)から注意を受けた。

令子と竹本は「シルビア」に急行し、春日部を捜索していた。

「ゼスト」のマスターも常連客も、仁と修についてはほとんど知らなかった。

春日部はポケットベルの音でようやく意識を取り戻し、一係室に、仁と修に逃走されたこと、修が改造拳銃を所持していることを連絡した。

春日部が気絶してから、40分が経過していた。

春日部は藤堂に、シヅオカヤに連絡し、菊地を保護するように申請した。

井川と西條は連絡を受け、シヅオカヤに急行し、令子と竹本にも連絡した。

店長は藤堂からの電話を取り、菊地に代わろうとした。

菊地は仁と修を発見し、裏口から逃走したが、自動車を爆走させる仁と修に追い詰められた。

春日部はシヅオカヤに急行し、店長から菊地が裏口から逃走したことを聞いた。

菊地は資材置き場にて、仁と修から逃げ回っていたが、仁と修に包囲され、修に銃口を突きつけられた。

春日部は資材置き場に到着したが、菊地が修に腹部を撃ち抜かれていた。

仁と修は春日部の威嚇射撃で逃走した。

春日部は駆けつけた井川と西條に、救急車の手配及び仁と修の追跡を任せた。

仁は高飛びの金を用意できなかったこと、逃走用の車が手配されたことを焦っていた。

修は改造拳銃を使用することによる殺人を躊躇わなくなっていた。

令子と竹本は河川敷にて、仁と修が乗り捨てた車を発見した。

春日部は救急車に同乗し、救急病院の病室前で待機していた。

菊地の手術は成功し、弾が摘出された。

春日部は、病院に駆けつけた山村から、仁と修が発見されていないことを告げられ、謝罪した。

春日部は菊地の言うことを無視し、粋がって未遂のうちに逮捕しようとしたことを後悔した。

山村は春日部に、逃走されたことは失敗だが、未然に犯罪を防ごうとしたのは素晴らしいことだと助言した。

春日部は一晩中、菊地を看病していた。

菊地は約束を守れなかった春日部に失望し、退去を要求した。

菊地は仁と修の手掛かりを持っておらず、強盗計画を狂わせた春日部を糾弾した。

春日部は仁と修が動揺し、大金を強奪するため、代わりに計画を立てるのではないかと推理していた。

菊地は弱気になっていた。

春日部は菊地に、一つ間違えば服役しているかもしれない刑事であることを話した。

春日部は自分を凄腕でも立派とも思っていないが、怒ってとんでもないことを夢中で実行してしまう者の気持ちをよく理解しており、そのために仁と修を逮捕したかった。

菊地は春日部に、仁と修の次の標的が競馬の売上金ではないかと教えた。

菊地は仁と修が計画していることを知った時、サウナで修の上着のポケットを調査していたが、中には京浜競馬場の売上金輸送車のコースと時間のメモが入っていた。

午後4時55分、春日部は一係室の山村に、売上金の輸送が午後5時30分に開始されることを報告し、京浜競馬場に直行した。

藤堂は京浜競馬場に捜査員を直行させた。

西部警備保障の現金輸送車が京浜競馬場を出発したが、仁と修に尾行された。

現金輸送車の運転手は春日部だった。

計画は修が最初に改造拳銃を発砲し、次に仁が現金輸送車の運転席まで来るというものだった。

西條と竹本は京浜競馬場に到着したが、現金輸送車が既に出発していた。

仁と修は現金輸送車に車をぶつけていた。

春日部は河川敷に仁と修の車を追い詰め、片方の扉を塞いだ。

春日部は急いで現金輸送車から降り、仁と修に銃口を向けた。

仁と修は逃走しようとして揉みあいとなった。

春日部は拳銃を発射し、車の窓を破壊し、修の改造拳銃を没収した。

井川と西條と令子と竹本は藤堂から、春日部の2度にわたる単独行動、車2台の損害賠償を弁護しようとしていた。

仁と修は殺人をする前に逮捕されて良かったと泣いて喜んでいた。

 

 

メモ

*早朝の通報がイタズラ電話だったことに憤慨するボギー。ラガーは「事件でなくて良かった」と喜ぶが、ブルースが「たすけて!」で似たような台詞を言っていた。

*凶暴ながらどこか間抜けな一面を持つ仁と修。ボギーに拳銃を向けられるや否や、あっさり「すいません」と降参。

*水上氏と鶴岡氏は「戦士よ さらば・ボギー最後の日」でも共演しているが、全く役回りが異なる。

*「ウルトラマン80」の効果音が使用されている。

*山さんの的確なアドバイス。

*ボギーが過去を語る。高校時代、街でヤクザ3人に痛め付けられており、帰宅して金属バットを持ち、殺害の衝動にかられ、溜まり場に行っていた。しかし、ヤクザは溜まり場に不在であり、ボギーは激しく後悔したという。

*「太陽のテーマ’79」が流れた。

*ラガーによると、ボギーは次に減俸されると、給料半分になってしまうという。

*ボギーの弁護理由は、ラガーが「金を貸さなくてはならなくなる」、マミーが「ビタミンC不足で怒りっぽくなったら付き合いきれない」

 

 

キャスト、スタッフ(敬称略)

藤堂俊介:石原裕次郎

春日部一:世良公則

竹本淳二:渡辺徹

岩城令子:長谷直美

 

 

菊地裕:水上功治、仁:福崎和宏

修:谷村好一、森田:堀勉、巽:石田和彦

「シヅオカヤ」店長:鶴岡修、後藤修、「ゼスト」マスター:水橋和夫、松下裕子

 

 

西條昭:神田正輝

井川利三:地井武男

山村精一:露口茂

 

 

脚本:小川英、大川俊道

監督:澤田幸弘