第713話「エスパー少女・愛」(SP)(通算第407回目) 前編

放映日:1986/10/10

 

 

ストーリー

午後7時58分、西條と澤村は覆面車で巡回をしていた。

西條と澤村は建設中のビルの屋上から自殺しようとしている、西谷愛(16歳)(工藤夕貴さん)という少女を発見し、自殺を阻止するため、説得を試みた。

同時刻、荒川修(21歳)(宮田恭男さん)と、荒川の女友達の大沢あかね(19歳)(井丸ゆかりさん)が、盗難車のベージュのスカイラインを運転中、矢追トンネルの前で秋山昌夫(10歳)という少年を轢いた。

荒川と大沢は後部座席に秋山を乗せ、スカイラインで走り去った。

西條と澤村はビルの屋上に駆けつけ、高熱で倒れている愛を救出した。

愛は清徳女子高校1年C組に所属していた。

西條は愛の高熱が風邪とは判断できなかった。

大沢は耳に、赤い蠍のイヤリングを着けていた。

大沢は病院に秋山を搬送すると、犯行が露呈するため、荒川にスカイラインを乗り捨てることを提案した。

荒川と大沢は菊池外科病院を通り過ぎた。

愛の高熱は原因不明と診断された。

医師は愛の体調が急変したため、愛に解熱剤を投与した。

愛は「21世紀のネオン」と言い残した。

西條は澤村に、愛の家族に連絡するように指示したが、橘から轢き逃げ事件の連絡を聞いた。

荒川と大沢のスカイラインは車両範囲数字52、下2桁のナンバーが「82」だった。

橘は西條に、現場付近を捜索するように命じた。

西谷の母親の西谷知子(田村奈巳さん)が病院に来ることになった。

西條は澤村に、病院に待機するように指示した。

秋山は意識が朦朧としている中、窓から「パブ&ライブ 21世紀」のネオンを見た。

一係室に、秋山が塾から戻っていないという連絡が入った。

犯人の車に該当するスカイライン「品川52 ぬ 87-82」は都内に1台だけで、今日の午後に盗難届が提出されていた。

井川と令子と水木は現場に残っていた血痕からかなりの出血と推測し、秋山の捜索に奔走した。

愛は生命に別状が無かったが、容態が不変だった。

西條は荒川と大沢が乗り捨てたスカイラインを発見し、車内に取り残されていた秋山を救出した。

西條は救急車を手配した。

澤村は愛がエスパーもしくは超能力者であるからこそ、秋山からのSOS(テレパシー)を感じ取ったと確信した。

秋山は済生会中央病院に搬送され、手術が成功し、一命を取り留めたが、意識が戻っていなかった。

西條は愛を心配し、病院に澤村を向かわせており、橘から済生会中央病院に待機するようにという指令を受けた。

愛は昨夜の午前1時頃、急激に体調が回復していた。

愛は自殺の原因について、何となくと答えた。

愛はビルの屋上にて、光が見え、物凄い力で跳ね飛ばされた気がしたこと、頭の中に「21世紀のネオン」が浮かんだこと、「赤い海老のイヤリング」が見えたことを伝えた。

西條はあくまで偶然であると強調した。

荒川は気弱な性格で、逮捕を恐れて交番に自首していた。

大沢は非常に強気な性格で、井川と水木に物を投げつけ、抵抗を試みていた。

大沢は水木に身柄を取り押さえられた際にも、水木を平手打ちしていた。

澤村は取調べ中の大沢の耳に、赤い蠍のイヤリングが付いていることを確認した。

澤村は捜査員に、愛が超能力を持ち、事件を感じ取ったのではないかと報告したが、捜査員に一笑に付された。

澤村は橘に、自殺防止の意味を含め、愛の調査を進言し、橘から承諾された。

愛は頭痛が治ったことを理由に退院していた。

荒川の意識が回復した。

澤村は西谷宅を訪れ、愛と会った。

西谷は渋谷の宝石店で雇われ店長として勤務していた。

愛の父親は一昨年(1984年頃)に西谷と離婚し、大阪で商社マンとして暮らしていた。

愛は両親の離婚を気にせず、明るい態度をとった。

澤村は愛が自身の超能力に気付いていないと思っており、昨夜のような経験をしていないかと尋ねた。

愛は小学生時代、遠足に行き、急に体調を崩し、自宅に電話したら、愛犬のコロが車に轢かれて死亡したことを話した。

愛は澤村の目的が、自殺防止であることを察知し、二度と自殺しないことを約束した。

澤村は愛が凄いエスパーであると信じていた。

愛はスプーンを曲げることができなかった。

水木は自殺少年の動機を調査していた。

1位は成績不振や虐めといった学校問題、2位は失恋や結婚反対といった男女問題、3位は親との不仲などの家庭問題だった。

水木は澤村に、捜査に超能力を役立てようという考え方を捨て、愛の自殺未遂の原因を突き止め、愛の幸福のためにそれを取り除いたほうがいいと助言した。

澤村はあくまで超能力を役立てようという考え方だった。

清徳女子高等学校教師(五十嵐五十鈴さん)によると、愛は成績が良く、勉強で悩んでいる様子もなく、明るくしっかりした性格であった。

愛はクラス委員を担当し、虐められている節も無かった。

澤村は愛の友人に、愛のことについて質問した。

愛は優等生だったが、特有の嫌味さが無く、スポーツ万能で、共学ならもてるタイプだった。

西谷は夫と別れたのが2年前であるため、自殺の原因が家庭ではないと考えていた。

西谷は夫と頻繁に電話し、会いたいときにはいつでも会っており、愛の自殺の他の原因が思い浮かばなかった。

東都銀行矢追支店に3人組の強盗が侵入し、拳銃を乱射して防犯カメラを破壊した。

強盗犯は行員に、鞄に現金2000万円を詰めさせ、車で逃走した。

強盗犯が使用した車は盗難車で、乗り捨てられていた。

遺留品はドラキュラの覆面、フランケンシュタインの覆面、猿男の覆面の3つだけだった。

捜査員は銀行の監視カメラのビデオテープを再生していた。

強盗犯は2台の監視カメラを、それぞれ拳銃の発砲の2発目で破壊していた。

強盗犯は行動の俊敏さから、10代から20代前半と推定された。

強盗犯の体形は1人が長身、もう1人が中肉中背、最後の1人が小柄だった。

強盗犯が使用した拳銃は32口径の改造拳銃で、覆面からも指紋が検出されなかった。

橘は島津と水木に、ビデオテープの徹底的な分析を、井川達に拳銃と覆面の捜査を指示した。

澤村は覆面の製造番号から、強盗犯が購入した覆面ショップを探し当てた。

覆面ショップの店主(及川ヒロオさん)は、覆面の購入者を記憶していなかった。

澤村は愛に覆面を見せ、犯人を透視させることを提案した。

島津はビデオテープを分析中、強盗犯の1人の右腕に、スペードの刺青があることに気付いた。

西條と澤村は愛に、覆面1つ1つに神経を集中させ、透視するように依頼した。

愛は覆面に神経を集中させたが、頭に何も浮かばなかった。

西條は照明を消し、再度透視を依頼した。

愛の頭の中に、「大きな赤と白の金魚が左上に1匹、右下に1匹、青い水の中を泳ぎながら向かい合っている壁画」、「真赤な夕陽の中、丘の上に土筆が5本咲いている壁画」が浮かんだ。

澤村は金魚の絵については水族館かレストランの水槽と推理していた。

土筆の絵については、土筆が春の植物であるため、謎だった。

島津は季節が関係ない、絵か写真ではないかと考えた。

3つ目の透視風景は、歌舞伎装束の鏡獅子に酷似していた。

橘は澤村の可能性を信じ、太宰に西條と組んで澤村の補助を、井川達に犯人の捜査とスペードの刺青の調査を命令した。

西條は喫茶店で新聞を読んでいた際、新聞に七曲署が超能力少女を起用したという記事が掲載されていることを知った。

新聞は憶測記事の形をとっており、記者クラブが大騒ぎしていた。

大和田署長(草薙幸二郎さん)が一係室に入った。

大和田は本庁から電話が入り、記事の真意を確認したが、報告を受けていなかったため、どう回答すればいいか分からなかった。

橘は大和田に、大至急記者会見の準備をするように進言した。

愛は登校した際、友人から、新聞記者(岸本功さん)が自分を探していることを告げられた。

新聞記者は七曲署で記者会見が開かれることを聞き、七曲署に集まった。

橘は記者会見にて、超能力少女の記事が事実無根であると主張した。

橘は七曲署があくまで自力で秋山を探し出したことを強調し、超能力の協力を得たことを否定した。

橘は愛が、あくまで捜査一係捜査員の個人的な知り合いであり、超能力とは無縁であると断言し、これ以上騒動を大きくしないように頼み込んだ。

澤村は橘が愛の超能力を信じていないと思い込み、絶対に証明させてやると決意していた。

太宰は地下鉄半蔵門駅の改札付近にて、透視風景と一致する「歌舞伎のモザイク壁画」を発見した。

田園都市線のつくし野駅には土筆のモザイク壁画があり、「金魚の壁画」もどこかの駅にある可能性があった。

西條は都営新宿線船堀駅にて、「金魚のモザイク壁画」を発見したが、風景に描かれている金魚は5匹だった。

西條はタクシー運転手(加地健太郎さん)から、金魚のモザイク壁画が駅の反対側にもあることを聞き出した。

3つの駅と強盗犯の関係性が不明だったが、澤村は住所か勤務先ではないかと思っていた。

太宰は未だに透視を信じられなかったが、澤村に怒鳴られた。

西條は周辺の住人から調査することにした。

愛は友人から執拗に超能力のことを話題にされ、辟易していた。

磯部信一(田中浩二さん)は愛と友人の会話を聞き、自分を無視するつもりなのかと嫉妬した。

島津と水木はビデオショップの店員から、強盗犯のスペードの刺青の男が、ビデオショップの近隣のバーのバーテンダーであるという情報を入手した。

井川と令子は、バーで飲酒中の強盗犯の2名を格闘の末に逮捕し、もう1人の名前を聞き出した。

強盗犯の最後の1人は水木に追跡され、拳銃を発砲して抵抗したが、島津に殴り倒されて逮捕された。

強盗犯と3つの壁画とは無関係だった。

愛はグリーンエイトテニスクラブでテニスを終えた帰り、自転車にテニスラケットを置き、友人と会話した。

愛は友人との会話が終った後、自転車に戻ったが、テニスラケットが盗まれていた。