第711話「ジョーズ刑事の華麗な復活」(通算第405回目)

放映日:1986/9/19

 

 

ストーリー

鮫島勘五郎(藤岡琢也さん)は妙子(野見山夏子さん)という若い女性と再婚し、「鮫島自然食品」という会社を設立していた。

鮫島夫妻は自宅のパールマンション210号室にて、第1回自然食品ホームパーティーを開催していた。

ホームパーティーの協賛は、アンティークショップ「プティ・ドール」と、アンティーク友の会だった。

鮫島はパーティー参加者の石沢友美(北原佐和子さん)に、自然食品ジュースを試飲させた。

パーティー参加者で、「プティ・ドール」共同経営者の今井裕子(森田遙さん)は、石沢が席を立った隙に、石沢の卵料理に毒物を混入させた。

裕子の指輪は少量の毒物を隠すことが可能なカプセルとなっていた。

石沢は毒物混入の卵料理を食べて苦しみ、救急車で病院に搬送された。

一係室に毒物事件の通報が入り、井川と水木、島津と太宰は現場に急行した。

鮫島はパトロールカーを発見し、パールマンションの裏口から裕子を逃がした。

鮫島は島津と太宰と対面し、鮫島宅に入り、調査を開始した。

太宰は鮫島に刑事と思われず、人手不足と言われたことを悔しがった。

石沢は「プティ・ドール」の店員だった。

井川と水木も鮫島宅に到着した。

鮫島は捜査員に石沢が飲食した物を説明し、石沢の容態が心配であるため、病院に駆けつけようとしたが、事情聴取を先に済ましてからと断られた。

鮫島は事情聴取の場所として、倉庫兼寝室に太宰を案内した。

石沢は一命を取り留めたが、毒物による症状の疑いが濃厚だった。

鮫島は太宰に、石沢との関係を質問され、ホームパーティーの人集めを協力してもらっただけと答えた。

鮫島は強引に病院に行こうとして太宰を突き飛ばし、揉み合いとなったため、太宰に公務執行妨害で逮捕された。

令子と澤村は石沢宅に赴こうとしたが、石沢宅が何者かにより荒らされていた。

石沢の母親の石沢ふさ(松浪志保さん)が買い物するために外出中に、徹底的に部屋が荒らされており、何も強奪されていなかった。

石沢の事件と関係性がある可能性が出たが、鮫島は普通の空き巣事件と思っていた。

鮫島は七曲署に連行された際、元部下の橘や西條と再会した。

鮫島は今度こそ転職を最後にして、成功しようと決心していた。

鮫島は田舎でバスガイドをしていた妙子を可愛がって再婚しており、自然食品会社も妙子の提案だった。

石沢は当分、面会禁止だった。

鮫島は取調室にて、石沢が自然食品の大ファンだったため、ホームパーティーの人集めに協力しただけであると供述した。

太宰は鮫島に、最初から正直に真相を供述しなかったのかと追及し、鮫島と口論になってしまった。

石沢の食べた卵料理の皿から亜ヒ酸が検出されたが、他の参加者の卵料理からは検出されなかった。

鮫島は捜査員に事件の捜査を任せ、取調室を去って行った。

太宰は鮫島に疑惑を持っており、西條から鮫島を張り込むように指示され、警戒を促された。

太宰は鮫島に対し、強気なだけの中年の男だという感想を抱いていた。

鮫島はタクシーに乗り、石沢の入院する北里研究所病院に直行した。

鮫島は強引に石沢の病室に入ろうとして、看護婦に断られていた。

鮫島は太宰に、玄米の宣伝をしていたと誤魔化した。

裕子は井川と令子に、石沢がよく働くため、人に恨まれる覚えがないことを伝えた。

裕子の夫で、「プティ・ドール」経営者の今井(杜澤泰文さん)が井川と令子の前に現れた。

今井は鮫島自然食品と縁が深いこと、互いに交流してメンバーを増やし、活動の幅を広げていることを説明した。

石沢は特別に鮫島を信頼していた。

太宰は鮫島自然食品を訪れ、鮫島に石沢と特別な関係だったのではないかということを質問した。

鮫島は親しい関係であったことについて否定しなかった。

太宰は特別価格の友達価格の2割引きで干物を購入させられる羽目となった。

太宰は証拠を掴むため、単独で鮫島を張り込むことにした。

妙子は鮫島と太宰の会話を聞いていた。

鮫島は妙子に、石沢から人生相談を受けただけであると弁解した。

島津と澤村は鮫島自然食品店前に駆けつけたが、太宰が不在だった。

鮫島は鮫島自然食品のステーションワゴンで出発したが、島津と澤村に尾行された。

鮫島はビルの前でわざと停車し、ステーションワゴンを降り、ビルに用事があるふりをして再びステーションワゴンを出発させ、島津と澤村をまいた。

太宰はステーションワゴンの後部に隠れていた。

鮫島は待ち合わせしていた拳銃の売人と接触し、売人から代金の支払いを要求され、その前に現物を渡すように要求した。

売人は鮫島にナイフを突きつけ、鮫島の封筒を横取りし、封筒に現金が入っていないことを確認した。

太宰は売人を車から引きずりおろし、殴り倒した後、傷害未遂罪で逮捕しようとしたが、鮫島に逮捕を妨害された。

売人はその隙に車を発進させ、逃走した。

太宰は再び公務執行妨害罪で鮫島を逮捕した。

売人は島津と澤村に追跡され、格闘の末に取り押さえられた。

売人は井川と島津に取り調べられた。

売人は鮫島が50万円で、プラスチック製の、玩具のような新型拳銃を購入しようとしていたことを自供した。

売人は新型拳銃について全く知らず、鮫島から金だけ掠め取って懲らしめようとしていた。

鮫島は自分の身分があくまで食品店の店主であることを強調し、新型拳銃について知らないと主張し、食品店に帰すように要請した。

橘は水木と太宰に鮫島を取り調べさせることにしたが、鮫島から石沢に、絶対に目を離さないように忠告された。

橘は万全の警備体制を敷くため、北里研究所病院に西條と澤村と島津を派遣させた。

鮫島は自然食品の中に、玩具のような拳銃の部品が紛れ込んでいたこと、その部品が本物かどうかを確認するため、売人に声をかけたと供述した。

鮫島は太宰に疑われ、ある場所に隠している証拠品を見せると告げた。

鮫島は隠し場所と称して、廃倉庫に水木と太宰を案内したが、倉庫内に水木と太宰を閉じ込め、逃走した。

澤村は石沢の病室の前にて、西條と令子は監視室にて待機していたが、鮫島の脱走の連絡を聞いた。

澤村は石沢の病室に接近する不審な2名の偽医師を発見し、声をかけた直後、偽医師に銃撃された。

偽医師は澤村に発砲を回避され、強引にエレベーターに乗って3階から1階に降り、車で逃走した。

西條は偽医師(殺し屋)を見失った直後、鮫島と遭遇した。

西條は鮫島に銃撃のことを告げた後、澤村の覆面車に同乗して殺し屋を追跡した。

鮫島は令子のもとから逃走した。

令子は病院に急行した水木と太宰に、銃撃のことを教えた。

西條と澤村は乗り捨てられている殺し屋の車を発見したが、殺し屋を見失ってしまった。

西條は殺し屋の拳銃が、「H&K VP70」というプラスチック製の拳銃に酷似していることを報告した。

VP70は分解して弾丸を外せば、空港の検閲をノーチェックで通過することが可能だった。

鮫島の「新型拳銃」という発言はVP70のことであり、鮫島にはVP70が玩具に見えていた。

水木は鮫島の発言が半分真実だったことを確信した。

拳銃の部品の出処が「プティ・ドール」であること、鮫島に部品を持ち込んだのが石沢ではないかと推理された。

「プティ・ドール」は鮫島自然食品友の会と提携し、会員を集めていたが、最近その会員の中に覚醒剤常習者が出ていた。

鮫島は覚醒剤常習者の件について、世話になっていると義理立てし、捜査員にもそのことを隠していた。

橘は鮫島の生命が危険であると直感し、捜査員に鮫島の捜索を指令した。

鮫島は喫茶店から、自然食品店にいた妙子に電話をかけ、帰宅して寝室の箪笥の上に置かれているアンティーク人形の箱を回収し、喫茶店まで持って行くように指示した。

妙子はタクシーに乗り、パールマンションまで戻ったが、戸川組組員(中瀬博文さん他)に張り込まれていた。

妙子はアンティーク人形の箱を取り出し、人形の中に拳銃の部品が隠されていたことに気付いた。

妙子はアンティーク人形を鮫島のもとまで走って届ける最中、組員に腹部を銃撃され、人形の箱を持ち去られてしまった。

澤村と太宰は瀕死の妙子を発見し、救急車を手配し、救急病院に搬送した。

太宰は喫茶店に急行し、妙子が襲撃され、出血多量で重傷を負ったことを告げた。

太宰は鮫島を逮捕し、真相を話させた。

令子は入院中の石沢に、真相を話すように懇願した。

石沢は「プティ・ドール」にて、輸入したアンティーク人形の箱をうっかり開けてしまい、混入していた拳銃の部品を発見していた。

石沢はホームパーティーの前日の晩、人形の箱を持ち出し、元刑事の鮫島に見せて相談していた。

鮫島は素直に、七曲署捜査一係の推理が正しいことを認め、観念した。

鮫島は「プティ・ドール」と鮫島自然食品社が兄弟分のようなものであるため、どうしても告発できなかったことを打ち明けた。

鮫島はこれまで、多種多様な商売をしていたが、その度に事件に巻き込まれ、廃業に追い込まれたため、自然食品店を開業する際には、妙子に絶対に刑事の真似事をしないと約束していた。

太宰は「プティ・ドール」の壊滅に意欲を燃やしていた。

鮫島は証拠の拳銃の部品が、社用車のステーションワゴンの運転席の中にあると言い出し、太宰を誘い出した。

鮫島はステーションワゴンの助手席に太宰を押し込め、ステーションワゴンの運転席に座り、発進した。

鮫島も「プティ・ドール」を叩き潰すことを決意していた。

西條と水木は鮫島と太宰の乗るステーションワゴンを追跡した。

鮫島の無茶な運転の影響で、坂口孵化センターのトラックの荷台から、ヒヨコの入った段ボールが落下し、

西條と水木は交通事故を防止するため、ヒヨコを段ボールに戻した。

太宰は七曲署に拳銃を置いていってしまっていた。

鮫島は「プティ・ドール」にステーションワゴンを突撃させた。

鮫島は裕子の指輪の構造に気付き、裕子が石沢の卵料理に亜ヒ酸を混入させたことを見抜いた。

裕子は犯行を否定し、今井の場所を自白しようとしなかったが、鮫島と太宰に詰問された。

今井はセメント工場にて、戸川組組員と、麻薬と拳銃の取引をしていた。

裕子から取引の場所を聞き出した太宰はダンプカーを運転し、荷台の土砂を降下させた。

鮫島は拳銃入りのアタッシェケースを持って逃走した組員(星野晃さん)の後頭部を鉄パイプで殴り、気絶させた。

太宰は工業用機械の上から砂山に飛び降り、組員を叩きのめした。

太宰は組員2名の銃撃を回避し、組員の車を強奪し、組員を攪乱した。

鮫島は組員の1人を鉄パイプで殴り、気絶させたが、今井に銃口を向けられた。

太宰はロープを掴み、高所から今井の拳銃を蹴り落とし、今井を殴り倒した。

太宰は今井を鉄パイプで滅多打ちにしようとする鮫島を制止させた。

太宰は砂山に隠れ込み、残りの組員を蹴散らした。

鮫島は太宰を見直し、鮫島は太宰の刑事魂に感心していた。

井川と西條と水木がセメント工場に到着した。

妙子は一命を取り留めた。

 

 

メモ

*「鮫やんの大暴走」以来、本当に久々となる鮫島編。鮫島は今回の最後の登場となった。

*実に5年ぶりの登場となる鮫島だが、濃いキャラクターと暴走ぶりは以前よりパワーアップ。衣装が以前のものと変わっていないのも嬉しい。

*「鮫やんの大暴走」から、ドック以外の捜査員の布陣が総入れ替えとなっている。また、登場した時期の関係か、ラガー、ジプシー、ボギーとは共演できなかった。

*鮫島は妙子という女性と再婚。「鮫島結婚相談所」を最後に登場しなくなった玉枝とは離婚してしまったようだ。息子の親権も玉枝が持っていると思われる。

*藤堂と鮫島が城北署に勤務していた頃、警部も城北署に在籍していたことが判明。前回の「殺意との対決・橘警部」の警部のデータ、鮫島と警部が一緒にいたのは約2年間と推察される。

*警部は新米時代、鮫島に刑事魂を叩きこまれていたようだ。

*警部とドック以外の捜査員は、鮫島とは今回が初対面になるようだ。

*今回の鮫島の相手はDJ。以前は相手が鮫島に振り回されることが多かったが、DJは猪突猛進な性格なためか、鮫島と対等に渡り合っている。

*鮫島に連行中の少年と間違えられるDJ。警察手帳を見せても「人手不足」と言われ、さらには「JJ」と呼ばれてしまう。

*「鮫やんの大暴走」ではモデルプロダクションを経営していた鮫島。モデルプロダクションと自然食品会社の間の職業については不明。

*「ゼイゼイ」(鮫島)、「ゼイゼイってね、俺は喘息じゃないだよ!」(DJ)、「それはひきつけだろ!」(DJ)、「鯵を売る鮫か、さすがゴロンボ刑事(笑)」(マイコン)、「あーあ、ジョーズが復活しちゃったよ」(ドック)など、迷言が多数。

*DJが鮫島から買わされた干物はドックとマイコンが持ち帰って食べることとなったようだ。

*DJに深海鮫エキスを渡すドック。

*鮫島の関西弁がうつるDJ。社用車の後部(DJ曰くジョーズの腹の中)に隠れる知能プレーを見せる。

*鮫島はこれまで、刑事とは無関係な職業でも事件に巻き込まれた経験から、刑事の真似事をしないと誓っていたが、結局また事件に巻き込まれてしまった。ラストを見る限り、結局自然食品店も廃業してしまった?

*「(鮫島の暴走を)放っているんじゃないですよ、手伝っているんですよ」(DJ)からの、「やかましいわ!!」(DJの後に鮫島)のコンビネーションが笑える。

*拳銃事件を拳銃無しで解決してしまう、敏腕の鮫島とDJ。

*「走れブルース」や「デュークという名の刑事」でもロケーションに使用されたセメント工場の砂山にて、今井と組員を蹴散らすシーン。西山氏の俊敏かつダイナミックな格闘は必見。

*しかし、西山氏は格闘シーンの撮影時、疲労と心労が重なり、重い脳炎に侵されてしまい、緊急入院してしまった。そのため、DJの主演作はPART2の「老犬ムク」までお預けとなり、「エスパー少女・愛」の主演をブルースに譲っている。

*ラスト、ちゃっかりボスの席に座っている鮫島。

*今回は、「太陽」最初期から脚本を執筆し、多数の名作を生みだした四十物氏の「太陽」最終作。

 

 

キャスト、スタッフ(敬称略)

橘兵庫:渡哲也

島津公一:金田賢一

太宰準:西山浩司

澤村誠:又野誠治

水木悠:石原良純

岩城令子:長谷直美

 

 

鮫島勘五郎:藤岡琢也

鮫島妙子:野見山夏子、今井裕子:森田遙

大石源吾、石沢友美:北原佐和子、今井:杜澤泰文

石沢ふさ:松浪志保、山本公子、岸一成

戸川組組員:中瀬博文、大貫幸夫、深作覚、戸川組組員:星野晃

 

 

西條昭:神田正輝

井川利三:地井武男

 

 

脚本:小川英、大川俊道、四十物光男

監督:手銭弘喜