第709話「タイムリミット・午前6時」(通算第403回目)

放映日:1986/9/5

 

 

ストーリー

七曲署捜査一係は、銀行を襲撃し、警備員を射殺した4人組の強盗犯の1人の岡崎潔(北条清嗣さん)を逮捕した。

強盗犯の主犯は潔の兄の岡崎俊彦(遠藤征慈さん)であり、他に岡崎の右腕の前川(高品剛さん)と部下(部下A)(二家本辰巳さん)がいた。

潔が逮捕された翌日の午前10時10分、岡崎が一係室に、潔の釈放を要求するという内容の電話をかけてきた。

岡崎は、潔との人質交換要員として、清水町3-5に住む高橋敬一という少年を誘拐し、要求を拒否した場合には敬一を殺害すると脅迫してきた。

西條と澤村と水木は留置場にて潔を釈放したが、潔は岡崎の策略に気付き、西條達を嘲笑した。

西條は潔に、岡崎ともども逮捕すると宣言した。

橘は万一の事態を恐れる西條に、結果を恐れないようにと励ました。

西條と太宰はビルの上階から周辺を監視していた。

澤村と水木は潔を連れ、岡崎の指定する取引場所の公園にて待機していたが、潔に間抜けであると嘲笑された。

潔は岡崎が必ず自分を助けてくれると思い込んでおり、警備員を射殺しているため、誘拐という非情手段に出ざるを負えないと発言した。

井川、令子、島津が三手に別れ、潔を張り込んでいた。

岡崎が公園の公衆電話に、電話をかけてきた。

敬一はトーカン第2ビルの屋上にて、前川により身柄を拘束されていた。

岡崎は潔を釈放した後、敬一を解放すると約束した。

西條と太宰はトーカン第2ビルに急行した。

澤村と水木は潔を連れ、トーカン第2ビルに向かっていた。

潔は対向車線に停車している岡崎の自動車を発見し、澤村と水木を振り切って道路を横切り、岡崎の車まで激走しようとした。

潔は車道を走行していたトラックに轢かれてしまった。

岡崎は自動車を発進させ、逃走した。

西條はトーカン第2ビルに到着し、早急に階段を降りたが、前川と部下Aは既に駐車場まで降りており、ジープを発進させて逃走してしまった。

西條は駐車場に停車していた、一般人所有のスカイライン「品川59 て 86-65」を借用し、前川のジープを追跡した。

太宰は井川と令子に西條のことを報告し、井川から西條が乗ったスカイラインを緊急手配するように指示された。

潔は死亡した。

午後3時30分前、岡崎は潔の死が七曲署のせいであると逆恨みし、明朝の午前6時に、人質の敬一を処刑すると通告した。

西條は前川と部下Aの追跡を続行していたが、御殿場の山道でタイヤが砂利にはまり、前川と部下Aを見失った。

西條は別のコースを走行中、街に向かう途中の暴走族2名(草刈滉一さん、松山鷹志さん)と遭遇した。

西條は暴走族に自分の身分を示し、付近に電話が無いためと、自分の居場所を教えるため、街で七曲署に連絡するように要請した。

暴走族は自分の身分では通報しても信用されないと発言し、西條に警察手帳を渡すように要求してきた。

西條は必ず連絡することを条件に、暴走族に渋々手帳を預け、前川と部下Aを探し回った。

澤村と水木は西條の捜索に奔走していた。

西條はラジオで、岡崎達が警察に最後通告をしてきたこと、警察が公開捜査に踏み切ったことを感知した。

敬一の両親の高橋夫妻(川口節子さん)には、岡崎から連絡が入っていなかった。

島津は橘に、岡崎がマスコミ関係にも敬一の処刑を通告していることを報告した。

岡崎は銀行を襲撃して2億円を強奪しており、敬一を殺害して警察を窮地に追い込んだ後、高飛びする可能性が濃厚だった。

首都高速道路の用賀付近に設置されているスピード違反カメラに、西條の運転するスカイラインが写っていたこと、スカイラインが東名高速道路に入ったことが判明した。

午後10時5分頃、井川と島津は西條の捜索のために出動した。

午前2時30分、西條は暴走族が七曲署に連絡しなかったことを直感した。

西條は岡崎の潜伏する小屋と前川のジープ「品川45 す 58-38」を発見し、小屋に身を潜めながら接近した。

西條は窓から小屋の様子を覗き見たが、前川と強盗を犯した部下A以外に、もう1人の部下(部下B)(吉中六さん)がいた。

前川は岡崎に、すぐに敬一を殺害し、高飛びしようという意見を述べたが、岡崎にまだ3時間残っていることを理由に却下された。

岡崎は密航に利用する船が午前8時に出発するため、午前6時に小屋を出発すれば間に合うと計算していた。

岡崎は唯一の弟である潔が死亡したことに憤慨しており、時間いっぱいまで警察を苦しめることを画策していた。

西條は拳銃を構えたが、小屋を巡回していた部下(部下C)に発見されてしまい、右腕を撃ち抜かれてしまった。

岡崎達は部下Cの発砲で侵入者の西條に気付いた。

西條は部下Cの左腕に発砲し、部下Cを食い止めた隙に逃走した。

岡崎と部下Aはジープで、前川と部下Bと部下Cは徒歩で西條を追跡し、拳銃を乱射した。

西條は前川達に発砲したが、回避されてしまい、草原の茂みに隠れた。

暴走族は刑事に成り済まし、沼津東1丁目の夜間金庫にて男から鞄を強奪しようとした。

男は暴走族の警察手帳が、沼津なのに警視庁の手帳であることから、暴走族が刑事でないことに気付いた。

暴走族は男を殴り飛ばし、鞄を強奪したが、西條の警察手帳を放置したまま逃走した。

橘は、東名高速道路の入口付近にいる井川と島津に、沼津に急行するように命令した。

沼津南署から橘に、西條の警察手帳を奪った暴走族についての通報が入っており、暴走族はスーパーマーケット「サンエブリー」にて籠城していた。

午前4時前、橘は暴走族を逮捕すれば、西條の居場所が判明するかもしれないと判断し、澤村と水木、令子と太宰に連絡した。

西條は負傷した身で、岡崎達から必死に逃走していた。

西條は部下Cの拳銃を撃ち落とし、茂みに隠れた。

井川と島津は「サンエブリー」に到着し、令子と澤村と水木と太宰と合流した。

暴走族は巡回中の警察官に追跡され、店員を人質にして籠城していた。

井川は裏口に澤村と水木と太宰を行かせた。

西條は部下Aのジープから逃走し、一旦茂みに隠れた。

西條は後部からジープに飛び乗り、部下Aを引き摺り下ろし、負傷した身でジープを運転し、岡崎の銃撃を回避した。

前川は岡崎と別れた。

井川は午前5時15分に、「サンエブリー」に突入する計画を立てた。

島津と太宰は店内に突入し、暴走族の1人を逮捕した。

暴走族のもう1人は裏口から逃走しようとしたところを、澤村と水木に叩きのめされた。

暴走族の1人が御殿場で西條と会ったことを自白した。

西條はジープを運転し、敬一の監禁されていた小屋まで駆けつけた。

西條は敬一に拳銃と手錠を見せ、刑事であることを示したが、前川と部下Bが小屋に向けて銃撃してきた。

西條は折り畳み机をバリケードとして窓を塞ごうとしたが、左腕の傷が激しく痛み出し、2脚目の折り畳み机を窓まで運ぶのに時間がかかった。

敬一は西條のバリケード作りに協力した。

午前5時45分、敬一の処刑時刻まであと15分となった。

敬一は西條に促され、手早く小便を済まし、西條に、ポケットに入っていたチョコレートの半分を分け与えた。

午前5時55分、井川ら捜査員は西條の捜索に尽力し、西條が暴走族に警察手帳を渡した地点まで辿り着いた。

西條は上着を脱ぎ、ネクタイで左腕の傷を止血していた。

敬一は西條の代わりに、ネクタイを結んだ。

西條は敬一に、小屋に会った黄色の工事用のヘルメットを被らせ、机の下に隠れるように指示した。

西條は拳銃の弾倉に残っていた弾の1発を取り出し、靴下に隠した。

しばらく岡崎と別れて行動していた前川がダンプカー「沼津11 ろ 41-55」を運転し、西條と敬一の隠れる小屋に突入しようとしていた。

西條は拳銃で小屋の窓を割り、ダンプカーの窓に発砲し、前川の眉間を撃ち抜いて射殺した。

西條はダンプカーが小屋に突入してきたため、必死に敬一を庇った。

ダンプカーは小屋に突っ込んで停車し、西條と敬一は傷を負わずに済んだ。

西條は工事用ヘルメットとカーキ色の布を敬一に見立て、ジープまで運んだ。

午前6時、澤村と水木は岡崎の銃声を聞き、井川に連絡した。

西條はジープの後部に敬一の「見立て」を隠し、ジープを発進させた。

ジープは窪地に落ち、動かなくなってしまった。

西條は部下Bを撃破し、岡崎に向けて拳銃を発砲したが、弾を撃ち尽くしてしまった。

西條は岡崎に追い詰められ、腹部を撃たれてしまった。

岡崎は敬一を殺害した後、ゆっくり西條を殺害するつもりだった。

西條は靴下に隠してあった銃弾を取り出し、何とか装填した。

岡崎はジープの後部に置かれていた敬一を撃ったが、見立てだったことに気付き、憤慨した。

西條は岡崎に最後の1発を命中させた。

岡崎と西條は這いずりながら、オートマグを回収しようとしていた。

岡崎は瀕死の身でオートマグを握り締めたが、すぐに意識を失った。

井川達が西條のもとに駆けつけた。

西條は小屋に敬一を隠していた。

 

 

メモ

*「決闘」と並ぶ、ドック絶体絶命編。ドックが唯一、死を覚悟した回でもある。

*遠藤氏と北条氏の兄弟役という強烈な配役が印象的すぎる作品。共犯役は高品氏、二家本氏、吉中氏とこれまた濃厚な面々。

*北条氏は最終出演作となる今回も独特の高笑いが炸裂。卑劣な悪役を演じると非常に上手い。

*岡崎達の銀行強盗シーン、潔を逮捕するシーンは本編中に無い。元々無いのかカットされたのかは不明。

*強制的に容疑者を釈放するため、人質交換要員として子供を誘拐するのは「忘れていたもの」と同じ。(同じ柏原氏の脚本で、そちらにも高品氏が出演)

*潔の死は明らかに自業自得だが、岡崎は完全に七曲署を逆恨みした。

*松山鷹志氏の俳優デビュー作。松山氏が「東映公認 鈴村健一・神谷浩史の仮面戦隊ラジレンジャー」に出演した際、このことを公言していた。

*ドックは昭和28年(1953年)2月14日生まれ。

*少年の名前は「啓介」なのか「敬一」なのかはっきりしない。

*ドックは必死に暴走族を説得し、七曲署に連絡するように促すも、真心が通じず。

*ブルースの懐中時計が映っている。

*久々にアクションシーンで「冒険のテーマ」が流れ、かなり燃えた。

*敬一はドックの言うことをおとなしく聞き、チョコレートを渡し、止血に協力するなど非常に性格の良い子供。

*ドックがダンプカーの運転手の犯人を射殺するシーンは「恐怖の瞬間」を彷彿とさせる。

*岡崎はオートマグを使用。

*岡崎と部下たちは前川を除き、死亡したのか単に気絶しただけなのかがよく分からない。

*ドックの、重傷を負いながら5人を倒した射撃の腕を評価するデューク。

*DJに、「ドックに拳銃を習ったらいい」と勧められるブルースだが、ブルースの拳銃の腕は既にかなりのものだと思う。「七曲署一の拳銃使い」を自称するも、マイコンにそれはドックと言われてしまう。

*DJは拳銃が好きではないらしい。

*入院中の身でも、看護婦を笑わせるほど、元気を取り戻したドック。

 

 

キャスト、スタッフ(敬称略)

橘兵庫:渡哲也

島津公一:金田賢一

太宰準:西山浩司

澤村誠:又野誠治

水木悠:石原良純

岩城令子:長谷直美

 

 

岡崎俊彦:遠藤征慈

岡崎潔:北条清嗣、前川:高品剛

暴走族A:草刈滉一、暴走族B:松山鷹志、岡崎の部下B:吉中六、山田哲平

岡崎の部下A:二家本辰巳、藤原益二、大久保敏子、高橋夫人:川口節子、医師:門脇三郎

 

 

西條昭:神田正輝

井川利三:地井武男

 

 

脚本:柏原寛司

監督:高瀬昌弘