第692話「捜査に手を出すな!」(通算第386回目)

放映日:1986/4/25

 

 

ストーリー

島津と水木は桂木勇次(関川慎二さん)を、覚醒剤密輸及び密売容疑で逮捕した。

桂木は表向きこそただの貿易商だが、裏では暴力団が最も信頼している覚醒剤ルートの親玉だった。

桂木はあくまで暴力団とはウイスキーなどの取引で交流があると弁解した。

島津は昨日、桂木貿易の前に、江崎という不審な男がうろついているという通報が入っていること、江崎が響組のチンピラだったことを話した。

江崎は澤村の姿を見た直後に逃走し、抵抗しようとしたが、島津に拳銃不法所持容疑で逮捕された。

江崎は標的が桂木であること、覚醒剤の値段を釣り上げられたことに怒ったことを自白した。

桂木は暴力団に値上げを要求した頃から、警戒のためにマンションにも桂木貿易にも姿を見せていなかった。

桂木はホテル暮らしが趣味であると誤魔化し、ホテルを退出した際に携えていた重いボストンバッグについても、存在を否定した。

西條は島津に、マンションから覚醒剤が発見されなかったことを告げた。

島津は桂木の自信満々な態度から、巧妙に隠したものと考えていた。

響組系暴力団の組長(団巌さん)が喧嘩により、留置場に留置された。

組長は留置される寸前、江崎に口止めした。

江崎は西條と澤村に再度取り調べられた際、以前の供述が全て嘘だったと告白した。

情報によると、響組は早くも覚醒剤が切れて困惑していた。

江崎は桂木がどこかに隠した覚醒剤を押収させないため、桂木を庇っていた。

島津は響組が、桂木が姿を消した3日前から今日までに立ち寄った場所をあたると推理した。

藤堂は捜査員に、3日間の桂木の足取りの捜査を命じた。

桂木の妹の桂木洋子は篠崎町の花屋「サンフローリスト」にて勤務していた。

桂木の留置期限は明後日の午前10時だった。

島津は花屋を訪れる直前、出前の帰り道の下山正(赤塚真人さん)と再会した。

下山は証言を拒否した自分を救助した島津に感謝し、尊敬していた。

下山は島津の恩義に報いようとしたが、島津に拒否された。

島津は洋子(芦川よしみさん)と対面し、桂木に覚醒剤密輸の容疑がかかっていることを告げ、ボストンバッグについて尋ねた。

洋子は桂木とは離れて暮らしているため、桂木の居場所を知らないと述べ、桂木と覚醒剤との関連性を激しく否定した。

下山は諦めきれずに物陰に隠れ、島津の事情聴取を盗み聞きしており、島津に協力しようとしていた。

島津は下山に、捜査に参加しないように念押しした。

洋子は自宅に泥棒が入ったという警察からの電話を受け、島津の覆面車で自宅に急行した。

洋子宅は何者かにより乱雑に荒らされていた。

洋子の隣人が物音に驚き、洋子の部屋を除いていたが、響組組員2名が何も持たずに逃走していた。

組員は覚醒剤を捜索していた。

洋子は覚醒剤を知らないと主張した。

桂木の愛人は一昨日に桂木を部屋に泊めたことを認めたが、覚醒剤の存在を激しく否定した。

響組組員が愛人の自宅を張り込んでいた。

澤村と水木は「マリンの家」にて暴れていた響組組員を取り押さえた。

井川は突然店に侵入してきた響組組員を逮捕した。

捜査員の捜査する場所で次々と組員が逮捕されており、組員は逮捕を覚悟の上で行動していた。

桂木は犯行日にはホテルから一歩も出ておらず、2日目(一昨日)には愛人宅に泊まり、翌日の夕方に愛人宅を退出し、常連のスナックやバーに行っていた。

桂木は午後9時にバーを退出しており、ホテルからは車で20分間の距離にあった。

桂木がホテルに戻ってきたのは午前0時であり、バーを退出してからホテルに戻るまでの3時間の行動が不明だった。

桂木兄妹の両親は桂木が中学校を卒業した同時期、洋子が3歳のときに、事故死していた。

洋子は両親の事故死以降、桂木と2人きりで暮らしており、桂木と一緒なら如何なることでも耐えられた。

島津はサンフローリストまで洋子を送迎した。

下山はサンフローリストの従業員募集の張り紙を見て、サンフローリストの従業員として潜入していた。

島津は洋子に響組の危険性を警告した。

島津は藤堂に、しばらく様子見すること、洋子が桂木について何かを知っていると思われることを報告した。

澤村と水木は、下山と洋子が笑いながら帰宅するのを目撃していた。

洋子は桂木の無実を信じており、下山に励まされた。

洋子はデザイン学校に通っており、将来はデザイナー志望であることを明るく語った。

下山は洋子を送迎した。

響組が桂木の友人知人を監視していたが、最初のような乱暴な捜索をする気配が全く無かった。

西條と島津は響組が捜査員の行動を見張っているか、目標を絞ったものと推定した。

下山は洋子と会食していた。

洋子は真剣に自分の話を聞き、励ましてくれる下山に感謝し、赤いジャンパーを贈った。

島津は下山と洋子を尾行中、歩道橋にて肩が衝突したチンピラ(森岡隆見さん他)と格闘になった。

その隙に洋子が響組組員に拉致されてしまった。

響組組員の車は島津の発砲により、壁に衝突して動かなくなった。

島津は響組組員を叩きのめし、負傷した洋子を救出し、救急車に搬送した。

井川と澤村は桂木に、洋子が組員に拉致されたことを告げた。

洋子は東都総合中央病院に入院していた。

洋子は下山に、事件に巻き込んだことを詫びた。

島津は洋子に、覚醒剤について隠していれば、いつまでも組員に狙われると忠告したが、洋子は覚醒剤の存在を知らないと否定した。

洋子は島津に自宅の鍵を渡し、自宅を捜査するように自暴自棄に言った。

洋子の鞄の中からは覚醒剤が発見されなかった。

下山は島津に洋子を犯罪者の肉親だからと疑いすぎていると注意し、洋子が何も知らないと思っていた。

下山は絶対に洋子の味方に付こうと思っており、島津に文句を言った。

下山は当初、島津の捜査に協力する気だったが、いつの間にか洋子に惚れてしまっていた。

島津は澤村と水木と合流し、響組が影を潜めていることを聞き出した。

島津は桂木が姿を隠した3時間の間に、桂木のボストンバッグが消えたことに注目した。

島津は洋子のアパートの大家から、いつも洋子の帰宅が午後10時頃だが、一昨日の夜だけは午前0時30分頃にタクシーで帰宅してきたという情報を得た。

澤村と水木は洋子を襲撃しようとした響組系暴力団組員を逮捕したが、逃亡した洋子を見失ってしまった。

島津は響組が洋子に絞ったのは、根拠があるものと連絡した。

藤堂はサンフローリストに島津を急行させた。

下山は洋子が怖くなって逃走したと思い、洋子に同情していた。

島津は下山に、洋子から連絡が入ったら、必ず七曲署に連絡するように要求した。

サンフローリストにて勤務中の下山に洋子から、助けを乞う電話が入った。

下山は島津に連絡を入れず、西郷山公園に急行し、洋子と再会した。

下山は洋子のためなら何でもする決心を固めていた。

島津が下山と洋子の前に現れた。

島津は連絡を怠った下山を尾行していた。

島津はアパート大家の証言からタクシー会社を調査し、午前0時30分にアパートで客を降車させたタクシーを割り出し、桂木と洋子が檜町公園前から乗ったことを確認していた。

桂木はホテルエドオンズで降車し、洋子の側に所持品のボストンバッグを置いて行っていた。

洋子は一昨日の行動を全て真実と認めたが、ボストンバッグの中身を見ていないため、覚醒剤については知らないと訴えた。

下山は島津とは以前からの知人で、洋子の身辺を探るために接近したことを告白し、謝罪した。

洋子は桂木の指示通りに、城西銀行西新宿支店の金庫にボストンバッグを預けていた。

金庫の鍵は桂木がいつでも入手できるように、桂木のマンションのロビーの植木鉢の底に貼られていた。

島津は七曲署まで下山と洋子を送迎し、保護しようとしたが、響組幹部(江角英明さん)率いる組員の乗用車3台に包囲された。

島津は強引に覆面車を発進させて逃走し、下山と洋子に、スピンと同時に車から飛び降りるように指示した。

下山と洋子は島津の指示通り、覆面車から飛び降りることに成功した。

島津は猛スピードを出した後、覆面車を飛び降り、響組組員の車に譜面者を突撃させた。

響組組員の車と島津の覆面車は爆発炎上した。

島津は下山と洋子と合流したが、響組組員が拳銃を乱射してきたため、下山と洋子を七曲署まで逃走させた。

島津は組員3名の拳銃を撃ち落とした。

下山と洋子は響組幹部の追跡により、工事現場に追い詰められた。

下山は自分を囮にして、洋子を七曲署まで逃がそうとした。

下山は必死に組員から逃げ回ったが、幹部と組員に拉致された。

澤村と水木は覆面車の事故現場に到着し、負傷していた組員、島津に拳銃を撃ち落とされた組員の計5名を逮捕した。

令子は下山が拉致されたのを目撃した作業員2名を見つけ出した。

洋子は未だに七曲署に到着していなかった。

井川と西條と令子は洋子の捜索に奔走した。

島津は桂木のマンションに赴き、植木鉢を調査したが、鍵が無くなっていた。

下山は拘束され、激しい暴行を受け、覚醒剤の場所を詰問されていた。

下山は絶対に覚醒剤の場所を自白しなかった。

翌日、幹部は組員と下山を引き連れ、ヨットハーバーを訪れていた。

洋子がヨットに乗って現れた。

洋子は最初から覚醒剤取引が目的であり、西郷山公園に下山を呼んだのは、ジャンバーを返すためだった。

コインロッカーの鍵はジャンバーに縫い付けられており、島津に教えた場所は虚偽だった。

洋子は自分を射殺しようとする幹部と組員に対し、海底にコインロッカーの鍵を捨てると脅迫した。

洋子は幹部と組員に拳銃を捨てるように要求し、代金の5億円と引き換えにコインロッカーの鍵を渡すと宣言した。

洋子は値上げに応じなかった罰金として、更に5000万円を請求した。

組員は洋子の乗るモーターボートに、アタッシェケースを手渡した。

洋子は幹部に新宿西口のコインロッカーの鍵を渡し、モーターボートで去っていた。

井川達捜査員がヨットハーバーに駆けつけ、組員を逮捕し、下山を救出した。

島津はモーターボートを運転し、洋子のモーターボートに飛び乗り、洋子を逮捕した。

島津は洋子がジャンバーを落とした際、密かにジャンバーの中に発信機を仕込んでいた。

下山は自分のお人好しな性格を恥じたが、島津に人を疑うより、人を信じて生きた方がらしいと励まされ、二度と捜査に介入しないように忠告された。

5億円の覚醒剤が押収され、桂木も観念し、桂木のルートも解明した。

 

 

メモ

*山さんの殉職により、OPの方式が変更。ボス→ドック→デューク→ブルース→マイコン→マミー→トシさんと一挙に紹介した後、ゲスト紹介→パトカーのカット→スタッフロールという流れに変更されている。

*冒頭、山さんの机に花が差し入れられているシーンが挿入されている。

*「デュークという名の刑事」にて登場した下山が再登場。その時は捜査に協力しなかったことにより、今回は捜査に協力して悲劇に見舞われるという皮肉。

*桂木の愛人はギリギリ「倉石」と読めそうだが、いずれも不明瞭。

*芦川氏のスタジアムジャンパー?に違和感。

*花屋店員となった下山。前の職場の三上食堂はいいの?

*デュークが公衆電話でテレホンカードを使用。

*下山は「歩くギャグ漫画」と呼ばれているらしい。赤塚氏にピッタリ。

*「何話しているんですかね?」byマイコン、「読唇術でも習えっちゅうんだよ」byブルース

*捜査と関係ないことを発言せず、洋子に惚れた下山のことを、「女の子の親衛隊」と皮肉るデューク。

*窮地を打破するため、強引に覆面車を突撃させるデューク。

*軽快なBGMで響組から逃走する下山がコミカル。

*実はとんでもない悪女だった洋子。コインロッカーの鍵をジャンバーに縫い付けるなど冴え渡っていたが、デュークの裏をかいた発信機の存在には気付かなかったようだ。

*お互いに利用していた桂木兄妹。

*デュークはこの後、「淋しさの向こう側」でも、刑事を利用しようとする女性の芝居を見抜いている。

*下山の就職の世話をする面倒見の良いデューク。しかし、ラストでボスに覆面車の扱いを良くするように注意される。

*今回はプロ野球の雨傘番組で、691話(「さらば! 山村刑事」の前)として放映される予定もあったという。

*予告編にハワイロケの1シーンが混ざってしまっている。

 

 

キャスト、スタッフ(敬称略)

藤堂俊介:石原裕次郎

島津公一:金田賢一

澤村誠:又野誠治

水木悠:石原良純

岩城令子:長谷直美

 

 

下山正:赤塚真人

桂木洋子:芦川よしみ

南條みづ江、桂木勇次:関川慎二、響組幹部:江角英明、大園博子

響組系暴力団組長:団巌、小椋常利、脇坂奎平、長良力丸、前浦康司

サンフローリスト店主:五十嵐五十鈴、石川真一、大島光幸、チンピラ:森岡隆見、深作覚

ノンクレジット 響組組員:寺島進

 

 

西條昭:神田正輝

井川利三:地井武男

 

 

脚本:尾西兼一、小川英

監督:鈴木一平