第571話「誘拐」(SP) (通算第265回目)

 

メモ

*サブタイトルが219話のものと同じだが、両話に接点はあまりない。

*「太陽」では唯一の原作付きの作品。

*「石塚刑事殉職」以来、約1年ぶりとなるスペシャル編の第2弾。中京テレビ15周年記念作品でもあり、90分の放送枠となる。

*スペシャル編は本来、前編と後編に分かれていないが、ブログでは1話分を一度に書くことができないため、半分で分けることとした。

*愛知県、岐阜県、三重県と跨った大規模なロケーションを敢行。

*松尾副社長を演じる高橋氏の、他の俳優と一風異なる、独特のオーラと演技。ボスと松尾、山さんと松尾のカットは大物同士の雰囲気が漂う。

*高橋氏は全作品中2回しかない「役名付きのセンタークレジット」表記のゲストとなった。もう1つは「エスパー少女・愛」の工藤夕貴氏。

*ゲストは非常に豪華だが岩本氏と山谷氏と西岡氏は序盤のみの登場、川辺氏に至ってはワンシーンのみの登場となっている。

*ボスが「七曲署・1983」以来に捜査活動を行っているが、外出をしていない。この後にボスが捜査活動を行うのは、外国を含めれば「ハワイアン・コネクション」、国内ならば「殉職刑事たちよ やすらかに」となる。

*バロンシューズ社のため、何としても社長になろうと、幸恵や捜査員の反感を買ってまで誘拐犯の指示に従わない松尾。靴作りへの物凄い執念は「ラガーの大追跡」を思わせる。

*今回の誘拐犯は、高性能な無線機の作製、身代金の回収法、逮捕されたときの用心の仕方の巧妙さが「太陽」でもトップクラスではないかと思われる。

*コンテナを素早く登るブルース。これ以外にもブルースの活躍が描かれ、「ブルース刑事のテーマ」が頻繁に流れるなど、ブルースを売り出そうとする懸命な制作陣な努力が伺える。

*松尾を引き止めさせようとするトシさんとボギー。ボギーではいつものことだが、常に冷静なトシさんが松尾に掴みかかるまで熱く、焦るのは非常に珍しい。

*ボギーとラガーの対立は「空白0.5秒」でもあるが、どちらも頑固な性格である故か、泥沼となりやすい。山さんが松尾を説得していなければ、大変なこととなっていた。

*ボギーとラガーが他の刑事に殴られるのは、意外にも今回のみ。

*毎回ながら安定感のある、山さんの説得。

*数少ない山さんのロケ参加作。「ドック刑事 雪山に斗う」以来となる。

*東京行きの新幹線に乗ろうとする松尾だったが、直前に山さんの説得に感化され、捜査に協力的となる。

*電車の窓から飛び降り、白装束の男を追い詰める、非常に果敢でアクティブな面がある松尾。

*後半は、三岐鉄道(地上)→日本ライン(水中)→ロープウェー及びヘリコプター(空中)という、3段構成の飽きさせない画面作りとなっている。

*ヘリコプターに乗る山さんとブルース。露口氏は確か高所恐怖症だったと思うが、大丈夫だったのか?

*ブルースは運転中のヘリコプターのスキッドにしがみ付くアクションを披露。危険度は「東京上空17時00分」と同じくらいと思われる。

*結末は誘拐犯2人が、金で雇われた部下と装っていたという、納得できるのか拍子抜けなのかよくわからないもの。私は最初、桐生と川口と岩倉が松尾を社長にさせないため、若者2人を部下に使ったものと思っていた。

*ドックとボギーと誘拐犯の部下との水上戦。ドックは「裏の裏」、「落し穴」に続く水上戦となった。また、「闇の中の殺人者」では水の汚さ故かプールに飛び込まなかったドックだが、今回は水が清浄な故か(?)飛び込んでいる。

*松尾は社長に就任できず、家族も失ってしまったため、今後立ち直ることができたかどうかが不安となる。

*松尾は姿を見ただけで靴のサイズが分かる超能力(?)があるようだが、何故かボスには会ったにもかかわらず、ハイヒールが贈られていた。

*「太陽」では「ラガーのラブレター」と並び、未DVD化の作品。原因は原作の版権による膨大なコストの問題と思われる。ただし、「4800シリーズ」でのビデオ化はされている。

*今回の再放送は、CSでのファミリー劇場の2009年の再放送(1週目)と、2016年のHDリマスター版の再放送(2週目)のみとなっている。なぜか2013年の日テレプラスの「ブルース刑事登場編」の再放送では権利の関係により、未放送となった(ただし、「ラガーのラブレター」は再放送された)。

*また、地方局の再放送もされていない(90分及び120分スペシャルは地方局では枠が取れないらしい)ため、「太陽」では欠番を除いて視聴手段が非常に限られる作品と言える。(なお、「ラガーのラブレター」もジプシー在籍期のため、1980年代後半の再放送枠を除いて、地方局では再放送されていない)

*制作ナンバーは第574話のようで、制作順としては「遠い想い出」→「青い鳥」→「父と子の写真」→「冒険の海」→今回となる。

 

 

キャスト、スタッフ(敬称略)

藤堂俊介:石原裕次郎

春日部一:世良公則

竹本淳二:渡辺徹

澤村誠:又野誠治

岩城令子:長谷直美

 

 

松尾謙三:高橋幸治

松尾幸恵:岩本多代、谷山良夫:山谷初男、川口邦彦:西岡徳馬、桐生副社長:川辺久造、岩倉専務:穂高稔、柏木かおる:富永千香子

斎田勝男:徳弘夏生、江尻修:壇喧太、大木裕司、深作覚、白装束の男:中瀬博文、清水進一、代田鑑之、倉増貴志

協力:プリンセスガーデンホテル、日本ライン名鉄遊船、江陵閣

協力:恵那峡ランド、三岐鉄道、名古屋観光自動車、ニューまごころチェーン

ノンクレジット 名古屋港職員:阿部渡、アパート大家:高山千草

 

 

西條昭:神田正輝

井川利三:地井武男

山村精一:露口茂

 

 

原作:エド・マクベイン 「キングの身代金」(早川書房版)

脚本:小川英、古内一成

監督:山本迪夫