第562話「ブルース刑事登場!」(通算第256回目)

放映日:1983/7/15

 

 

ストーリー

午後4時10分、捜査員は事件を解決させ、安堵した。

捜査一係に、野崎の教え子である澤村誠という新任刑事が着任することとなっていた。

澤村(又野誠治さん)は橘町のボクシングジムにてトレーニングをしていた。

早朝の新宿中央公園にて、浮浪者の平さんこと水島平吉(多々良純さん)のもとに、響組幹部(荻原紀さん)と石戸健吉(36歳)(スーパー・リキさん)が絡んできた。

水島は幹部に「生きていられると若先生の立場が無くなる」と言われ、石戸に頭を叩きつけられ、背骨を折られてしまった。

澤村は新宿中央公園に向かった際、瀕死の水島を発見した。

水島は澤村に自分のハーモニカを託し、絶命した。

西條と春日部は朝食にハンバーガーショップに行こうとした際、澤村と水島を発見した。

澤村は西條と春日部に話しかけられた際、春日部に殴りかかったが、西條に拳銃を向けられた。

西條と春日部は警察手帳を示し、澤村に後ろをむくように指示した。

澤村は水島の殺害について否定し、渋々自分の名前を答えた。

春日部は澤村の服から辞令を入手した。

澤村は西條と春日部を犯人と勘違いして殴りかかったこと、自分が行ったときには水島を死亡していたと説明した。

澤村は水島と友達だったが、水島の素性を知らなかった。

澤村は水島がハーモニカを渡して絶命したこと、ハーモニカでよくブルースを吹いたことも説明したが、犯人の手掛かりについては何も答えなかったと述べた。

澤村は山村に取り調べられていた。

西條は澤村に、水島の遺体の前にいたこと、水島と友達だというのに素性を知らないため、容疑者扱いせざるを負えないと語った。

澤村は頑固に、犯人の手掛かりについて話そうとしなかった。

西條は澤村の、公園に来る前の行動を全て聞いていた。

水島は身元を示すものを持っていなかったが、井川は鞄の中身がぶち撒かれているのが気になっていた。

西條は澤村の所持品にそれらしいものが無かったため、澤村が犯人でなくなると考えていた。

藤堂は澤村を山村に任せ、他の捜査員に水島の事件を捜査させることとした。

春日部は上野公園のかき氷屋から、サングラスをかけて左手に傷のある怖い男が、水島を探していたという情報を得た。

聞き込みの結果、上野、浅草、池袋、新宿で、長身で痩せた不気味な男、プロレスラーのような体の大きな男、背の低いヤクザっぽい男が水島を捜索していたということが判明した。

大規模な組織が水島を捜索していることになったが、水島の仲間が未だに浮かんでいなかった。

山村は喫茶店にて、警察学校教官となった野崎と会話した。

野崎は昨年(1982年)、警察学校在学中の澤村が、傷害容疑で城北署に連行されたことを話した。

澤村は暴走族同士の喧嘩を仲裁しようとして巻き込まれ、一方のリーダーが顎を殴られて骨折したため、ボクシングの経験のある澤村に容疑がかけられた。

幸い、後日に犯人の少年が自首して事なきを得ていた。

犯人の少年は澤村に、被害者のすぐ側にいたのを目撃されていたために、証言を恐れて自首していたが、澤村は被害者のすぐ側にいたからといって犯人と断定できない、不明確な証言で不当に相手を傷つけることを恐れ、そのことを喋らなかった。

澤村は不用意に人を傷つけたくないと思っていたが、野崎は澤村に意気地だが心の中に桁外れの優しさがあると考え、澤村を推薦していた。

澤村が犯人を知っている可能性が出たが、それでも澤村は自白しなさそうなのが予測された。

藤堂は取調室の澤村と会い、お互いに自己紹介をした後、容疑が晴れるまで謹慎を命じ、自分の部下であることを忘れないように念押しした。

西條と春日部は覆面車で澤村を尾行した。

澤村はバスに乗り、自分の豪邸に帰宅した。

澤村は夫人の澤村泉(渡瀬ゆきさん)に行き先を告げず、裏手から家を出て、西條と春日部をまいた。

西條と春日部は澤村が自分で犯人を逮捕する気ではないかと思っていた。

西條と春日部は泉と会い、澤村の部屋を見せてもらった。

澤村はブルースのレコードを大量に所持していた。

澤村夫妻は、アメリカ人で澤村の父親の友達のリバースの豪邸に、来年の春に日本に帰国するまでの期間を住まわせてもらっていた。

泉は澤村が殺人の重要容疑者になっていることについて、全然驚いていなかった。

澤村は上杉秀明(藤木孝さん)の政治家就任記念パーティーに強行に突入し、上杉に水島の友達と名乗った。

響組幹部2名(徳弘夏生さん)と石戸が澤村の前に現れ、出て行くように強要したが、澤村は幹部と石戸を殴り倒した。

澤村はパーティーの職員により、強制的に警察に連行されそうになったが、警察官と言って帰って行った。

澤村は無口で、警察学校の同僚や友人も常連の店すら知らなかった。

井川は水島を探していた男のうち、左手の甲に傷があり、背格好が一致する人物を探し出した。

響組の関係者で、傷害の前科2犯の倉田充(29歳)(山岡八高さん)だった。

石戸は響組の中幹部で傷害の前科6犯、怪力の持ち主だった。

響組は政財界に食い込み、勢力を急速に拡大させていた。

山村は井川と西條と竹本に、響組の捜査と、倉田と石戸の連行を命じた。

澤村は上杉の邸宅で待伏せしていた。

上杉は響組東京支部の支部長(中庸助さん)に電話し、澤村が新人刑事であることを知った。

上杉は澤村が単独で捜査していることから、澤村の殺害を提案したが、澤村がハーモニカでブルースを演奏したことに激しく動揺した。

澤村は生前の水島から、息子の上杉が国会議員に立候補することになったということを聞いていた。

水島は自分の立場を考え、水島と会うことはせず、電話だけにしていた。

水島は上杉の口調から、立派な政治家になると考えて安心し、上杉が幼少期に好きだったブルースを演奏した。

西條と令子はバー「茜」で酒を飲んでいる倉田を発見し、事情聴取しようとしたが、倉田は命を狙われていると思い込み、急に暴れ出した。

倉田は覚醒剤中毒者だった。

倉田は元戸川組の兄貴分で、戸川組壊滅後に子分を食わせるために響組に鞍替えしたが、上納金のノルマのきつさから、商売物の覚醒剤にまで手を出して働いていた。

倉田は井川の説得に何も応じようとしなかったが、井川に好物の鰻重を差し入れられた。

倉田は水島を探していたのが響組であると自白したが、下っ端だったために上層部を知らなかった。

山村の捜査で、響組が一番重宝しているのが、新進政治家の上杉秀明ということが判明した。

上杉は元土木省大臣の上杉哲太郎の元秘書で、現在は養子となり、上杉哲太郎が死亡して急速に脚光を浴びていた。

藤堂は赤坂のグローバルホテルで開催された上杉のパーティーに澤村が乱入したことを告げた。

井川と竹本は響組東京支部に直行したが、組員は1人を除いて全員出払っていた。

留守番の組員はピクニックに出かけたととぼけた。

澤村はゴルフ練習場に出かけた上杉を尾行した。

西條は上杉の仲間から、ゴルフ練習場の常連客であることを聞き出し、ゴルフ練習場に到着した。

西條は澤村に、上杉について聞こうとしたが、澤村は水島のことを語った。

澤村はハーモニカを吹いている水島に話しかけたが、口を聞くまでに1ヶ月かかっていたこと、雨の日も風の日も公園に一人で外に寝て、金があっても簡易宿泊所に宿泊しなかったことを語った。

水島は人と一緒になることを恐れていた。

澤村は犯人のことについて答えようとせず、出発する上杉を尾行した。

西條の覆面車のタイヤがパンクされていたため、澤村は西條に連絡を頼み、強引に上杉の車に乗り込んだ。

井川と春日部は澤村が連絡を頼んだことについて、打ち解けてきたと思って喜んだ。

上杉の旧姓は「水島」で、水島は平凡なサラリーマンだったが、水島を上杉家に養子に出した後、蒸発していた。

水島が上杉の実の父親であることが確定した。

上杉は水島について否定したが、澤村は水島が上杉の出世を喜び、名乗り出る気にならなかったのにも関わらず、実の父親を殺害した上杉に怒りをぶつけた。

上杉は資材置き場で車を降り、澤村は響組幹部の車に轢き殺されそうになった。

澤村は鉄資材を投げ、響組幹部の車を急停車させた。

別の響組幹部の車が到着し、上杉は澤村の殺害を命令した。

澤村は石戸を含む響組幹部を蹴散らした。

東京支部長は水島を見捨てて、幹部と一緒に逃走した。

上杉は澤村に殴られ、金を払うので見逃すように懇願した。

東京支部長と幹部2名(吉中六さん)は西條、春日部、竹本により逮捕された。

上杉はいきなり出てきた水島が悪いと言い訳をした。

澤村は上杉を井川に突き出し、資材置き場を後にした。

澤村は野崎から、もっと素直になるように説教された。

澤村は装備課の係員から、44口径のマグナムを発注していた。

 

 

メモ

*「ジプシー刑事登場!」から「12年目の真実」まで使われていたOPのタイトルバックが一新。

*今回のOPの激走は、ロッキー&スニーカー編以来の2人の新人刑事の激走だが、それ以前に山さんによる指示のシーンが挿入されている。しかし、そのことからか、山さんのフラッシュカットはない。

*9代目新人刑事、澤村誠(ブルース)が着任。警察学校教官に転職した長さんの教え子であり、武闘派。

*ブルースは「太陽」では初めてとなる、「初登場から既婚者の若手刑事」。

*ラガーにとっては初の弟分となるブルース。ちなみに年齢は又野氏の方が年上。

*ブルースは入れ替わりの着任ではないため、ジプシー登場編以来、久しぶりの8人体制となった。

*自分が転職した後に捜査一係に赴任した、トシさんとボギーとは初対面となる長さん。このうち、ボギーとは今回が唯一の接触となった。

*久しぶりの対面となった長さんと山さん。

*初期のブルースは不器用だが、心の中に優しさと悪を許さない心を持つ、無口な性格となっている。

*ブルースの父親はピアニストの澤村航で既に死亡しており、母親もブルースが8歳のときに病死している。

*ブルースの豪邸での生活は今回と「青い鳥」にて描写され、「生と死の賭け」からアパートに引っ越ししている。

*澤村の夫人の泉は、若いためか刑事の妻としては明るいキャラクター。

*ゲストはかつて登場編に出演した方が多数。(中氏:テキサス、徳弘氏:ジプシー、スーパー・リキ氏:ラガー、里木氏:ロッキー)

*藤木氏と徳弘氏はかつて、「青ひげ」で2人組の保険金殺人犯を演じていた。

*ブルースは44口径のマグナムを携帯。初使用は「正義に拳銃を向けた男」。

*ブルースのあだ名は「パイナップル」(byドック)、「マグナム」(byドック)、「怪物」「モンスター」(byボギー)、「ボクサー」(byラガー)という案が出るが、頑固に「ブルース」(音楽)と言ったことにより、「ブルース」と決まる。

*マミーも「ブルース」(「ブルース・リー」から)のあだ名を発案。実際はブルースのダブルミーニングと思われる。

*トシさんのあだ名の発案を断るブルース。

 

 

キャスト、スタッフ(敬称略)

藤堂俊介:石原裕次郎

春日部一:世良公則

竹本淳二:渡辺徹

澤村誠:又野誠治

岩城令子:長谷直美

 

 

野崎太郎:下川辰平

上杉秀明:藤木孝

水島平吉:多々良純

澤村泉:渡瀬ゆき、響組東京支部長:中庸助、響組幹部:徳弘夏生、倉田充:山岡八高、響組幹部:吉中六、石戸健吉:スーパー・リキ

住職:里木佐甫良、おでん屋台の主人:岩城和男、広森信吾(現:森しん)、木場剛、阿部渡

ノンクレジット 響組幹部:荻原紀、澤村のトレーナー:森下明、響組組員:星野晃

 

 

西條昭:神田正輝

井川利三:地井武男

山村精一:露口茂

 

 

脚本:小川英、古内一成

監督:山本迪夫