第191話「冬の女」
放映日:1976/3/12
ストーリー
喫茶店「珈琲王国」従業員の西島知子(浅野真弓さん)は銀行から帰る途中、男に襲われ財布をひったくられた。
通りすがりの男が西島を発見し、ひったくりを追跡して追い詰めたが、男はひったくりにナイフで腹部を突き刺されて死亡した。
ひったくりは逃走した。
事件が七曲署捜査一係に通報され、捜査員が現場に、三上が「珈琲王国」に急行した。
西島は通りすがりの男が死亡したのを聞き、号泣した。
被害金額は店の改装資金の300万円だった。
西島は驚愕してひったくりのことを全く覚えていなかった。
田口は「珈琲王国」に合流した。
田口は西島のことを知っていた。
1年前(1975年頃)、西島は英雄という男との結婚式を挙げようとしていた。
そこに英雄の元恋人(新海百合子さん)が教会に突如入り、英雄をショットガンで射殺した。
元恋人は自分を捨てた英雄を許さなかった。
西島は気絶した。
当時、城南署に勤務していた田口はこの事件を担当していた。
事件は「悲劇の花嫁」という見出しで新聞でも騒がれており、西島は家を出ていた。
ひったくりの男は遺留品を残しておらず、目撃者も現れていなかった。
三上は自分が「珈琲王国」に入る寸前、「珈琲王国」に男の声で、西島の所在を尋ねる電話がかかっていたということを報告した。
西島は電話に出て発言した後、酷く動揺していた。
三上と田口は西島のもとに向かった。
三上はひったくりにとって唯一の目撃者である西島を心配していた。
三上と田口は西島宅に入り、西島にモンタージュ作成の協力を要請したが、西島は何も覚えていなかった。
三上は西島の言動から、犯人に脅迫されているのではないかという感触を得ていた。
田口は西島を張り込んでいたが、銭湯帰りの西島が何者かに襲撃された。
田口は男を追跡したが、暗闇で見失ってしまった。
西島は田口が何としても自分を守ると宣言したことから、「珈琲王国」にかかってきた電話が脅迫電話であることを告げた。
西島はモンタージュ作成に協力し、モンタージュが完成した。
三上と田口は西島宅を張り込んでいた。
田口は西島に好意を持っていた。
翌朝、田口は外出した西島を尾行した。
モンタージュ写真の犯人の男性の収穫は無かった。
「珈琲王国」に西島をクビにしなければ爆弾を仕掛けるという脅迫電話が入ったため、西島は職場をクビになってしまった。
西島は自宅に田口を招き入れようとしたが、自宅に何者かが侵入し、荒らされた形跡があった。
西島宅に犯人から脅迫電話が入った。
西島は犯人の手の届かない場所に行きたいとして、伊豆の温泉場に行き、友達の経営する旅館で働くことになった。
田口は西島の行動に賛成し、藤堂から西島を伊豆まで送迎するように命じられた。
山村は犯行当日、指名手配犯の江原義照(辻萬長さん)によく似た男が銀行近辺を歩いていたという情報を得た。
江原は2年前(1974年頃)に横浜で泥酔して殺人事件を犯しており、警官が発見して職務質問しようとしたところ、逃走していた。
山村は江原の写真を提出した。
江原はモンタージュ写真の犯人とは全く似ていなかったが、共犯者の線が出てきた。
田口と三上と西島はロマンスカーに乗り、伊豆まで向かった。
川にてひったくり犯のナイフと衣服が入った袋が投網に引っかかり、発見された。
三上と田口と西島は伊東駅でロマンスカーを下車し、西島と田口は伊豆急行に乗り換え、三上は東京に帰還することにした。
三上は伊東駅で江原を発見したが、一足違いで江原に伊豆急行に乗られてしまい、タクシーで伊豆急行を追跡した。
川で発見されたナイフと衣服の指紋が江原の指紋と一致し、犯人が江原であることが断定された。
田口と西島と江原は、伊豆高原駅から海洋公園駅に向かうバスに乗った。
田口はバス内に江原がいることに気づき、西島の手を掴んだ江原を振りほどき、逃走する江原を追跡した。
江原は三上と田口の格闘の末に逮捕された。
江原は西島を殺害するつもりだった。
三上と田口は藤堂に江原の逮捕を連絡し、パトカーの到着を待って江原を護送することにした。
西島は販売所に行き、三上と田口にコーヒーを差し入れた。
三上と田口はコーヒーを飲んだ途端、疲労感に襲われてしまった。
三上は西島がコーヒーに薬を入れたことに気づいたが、西島に崖から突き落とされそうになった。
三上は傷だらけになりながらも崖を這い上がり、田口に西島と江原が共犯であることを伝えようとした。
田口は江原に拳銃を奪われ、昏倒してしまった。
山村から、西島が江原の隠れ家の安旅館に通い、夫婦同様の仲になっていたという情報が入った。
三上が崖を登り、田口に声をかけた頃には、西島と江原は既に吊り橋を渡り逃走していた。
三上は意識を失って昏倒したが、静岡県警のパトカーに発見された。
江原と西島は海岸に停泊させていたモーターボートで逃走しようとしていたが、田口が2人を発見し、江原を追い詰めた。
しかし、田口は西島に拳銃で脅迫され、江原を逃がしてしまった。
西島は自分に優しくしてくれた江原に気を許し、田口の説得に耳を貸さなかった。
西島は江原のためなら殺人も躊躇わない性格となっていた。
江原は単独でモーターボートを出し、逃走していた。
田口は西島に左腕を撃たれてしまった。
そこに三上が拳銃を突きつけ、その隙に田口が西島から拳銃を取り上げた。
三上は江原の緊急手配を要請した。
西島は江原をなおも信じていた。
田口は三上の呼びかけに奮起し、西島を逮捕した。
メモ
*「人形の部屋」に続き、可憐な顔と非情な顔の二面性を持つ女性が登場。「人形の部屋」の女性はいわゆる「心の病気」だったが、今回は犯人を妄信し、殺人すら躊躇わなくなった女性である。
*何となく話の展開は「死ぬな スニーカー」に酷似している。
*辻萬長氏が若い。
*今後、地味な役柄で「太陽」に多く出演する新海百合子氏だが、初出演は結婚式場に乱入してショットガンを発射する物騒な役柄となった。
*テキサスは「決定的瞬間」、「死ぬな! テキサス」とこれまでに死にかかっているが、今回は血まみれで崖から突き落とされそうになるという過去最大のピンチに遭う。
*ボン悲恋編の第1章。
*OPのハイライトにはボンと西島が新宿中央公園で話す未使用カットがある。
*次回予告は「太陽」でもかなりホラー演出が濃厚で、不気味なものとなっている。
キャスト、スタッフ(敬称略)
藤堂俊介:石原裕次郎
三上順:勝野洋
田口良:宮内淳
野崎太郎:下川辰平
矢島明子:木村理恵
西島知子:浅野真弓
江原義照:辻萬長、英雄の元恋人:新海百合子
鶴田耕、鈴木恒
「珈琲王国」マスター:若尾義昭、神父:大月ウルフ、警官:鹿島信哉
石塚誠:竜雷太
島公之:小野寺昭
山村精一:露口茂
協力:伊豆急行株式会社、伊豆あた川荘
脚本:畑嶺明、小川英
監督:竹林進