第179話「親と子の条件」

放映日:1975/12/19

 

 

ストーリー

一係室では、事件のスピード解決を祝って飲み会が催されていた。

一係室に山村宛に高子から電話が入り、帰宅した。

三上は山村宅に判例集を返しに訪れていた。

高子(町田祥子さん)の遠縁の妻が病死し、山村夫妻は5日前からその子供を一時的に引き取っていた。

高子は子供に情が移っていた。

山村と三上はコーヒーを飲みに行こうと外出していたが、突然銃声が聞こえた。

町の時計店から強盗犯人の沼田慶三(41歳)(小瀬格さん)が飛び出し、逃走した。

山村は時計店に踏み込んだが、主人は射殺され、女店員は茫然としていた。

山村は警官に後を任せて沼田を追跡した。

三上は沼田を追跡していたが、沼田はタクシー運転手に拳銃を向け、タクシーを乗っ取って逃走した。

沼田は三上に向けて一発発砲したが、三上に回避された。

沼田の拳銃にはあと2発が残っていた。

藤堂は沼田のタクシーを緊急手配した。

沼田は店内で発砲し、ケースに陳列された商品を強奪しようとしたが、時計も現金も強奪されていなかった。

タクシーが発見されたが、運転手は拳銃で殴られて負傷し、売上金も奪われていた。

指紋から傷害と賭博行為で前科2犯の沼田が割り出された。

沼田には沼田和枝(18歳)という娘と、沼田敏夫(12歳)という息子がいた。

山村と三上は青葉荘にある沼田宅を訪れ、沼田の友人と偽り、敏夫(永久勲雄さん)に沼田のことを質問した。

和枝は駅前の喫茶店「シベール」で働いていた。

敏夫は警察を嫌っており、刑事の山村に反抗的な態度をとった。

三上は和枝(立原和美さん)に事情聴取を行ったが、和枝は沼田の起こした拳銃強盗事件のことを知らなかった。

和枝は昨夜に沼田と会ったことを認めたが、沼田を父親と思っておらず、生計を立てているのが自分であることを話した。

枝は沼田の捜査に非協力的だった。

和枝は帰宅し、沼田には関係ないとして、敏夫に警察に余計なことを喋らないように言い聞かせた。

沼田は以前に別れた夫人の代志江を今でも追いかけ回しており、金も奪っていないため、高飛びをしていないと推測された。

代志江は水商売を転々としていたため、住所が不明だった。

沼田の拳銃の弾は、3ヶ月前に竜神会幹部の吉岡が作製した、改造拳銃3丁と手製の弾丸20発と同一のものであると判明した。

竜神会のチンピラが沼田を匿っているとも考えられた。

三上は和枝の張り込みに行く寸前、藤堂と野崎に山村が遠縁の親戚の赤ん坊を貰ったことを伝えた。

山村は通学中の敏夫を尾行していたが、敏夫は新聞で沼田が強盗殺人事件を起こしたことを知り、鞄を置いて走り去った。

石塚は雀荘で、吉岡の弟分の秋田(山崎猛さん)を発見した。秋田は逃走したが、石塚と島に取り押さえられた。

石塚は秋田が吉岡から残りの拳銃と弾を預かり、小遣い稼ぎのために沼田に売ったことを見抜いていた。

秋田は沼田の隠れ家を自白した。

三上は「シベール」を張り込んでいた。

敏夫は沼田が強盗殺人を犯したことにショックを隠せなかった。

野崎と石塚と島は沼田の隠れ家である4丁目のバー街に突入したが、沼田は既に一足違いで潜伏場所を抜け出していた。

沼田は「シベール」に電話をかけ、和枝に金を工面するように要求した。

三上は和枝に沼田の居場所を聞き出すように頼んだが、和枝は沼田にも三上にも関係ないと怒った。

和枝は店主に説明を求められ、「シベール」を辞める決意をした。和枝は三上を殴って店を飛び出した。

沼田は別荘である小屋に潜伏していた。

沼田は拳銃を隠した後、敏夫の貯金箱を発見して破壊し、現金を入手した。

山村は公園のベンチに座っている敏夫に話しかけた。

敏夫は殺人犯の息子であるために登校する気にならず、沼田が犯行を重ねる度に和枝が失業するのを心配していた。

敏夫は代志江に逃げられてぐれた沼田を最低と思っていた。

山村は敏夫の鞄に入っていた英和辞書を見た際、「入学おめでとう 代志江」と書かれていたことから、敏夫が代志江と時々会っていると思っていた。

敏夫は山村を会った中で一番頭のいい刑事と言って、沼田が泥酔したときに自宅を抜け出して泊まる別荘を案内した。

潜伏中の沼田は扉の穴から山村の姿を見た。沼田は拳銃を構え、別荘に入ってきた敏夫を山村と間違えて発砲した。

沼田は逃走し、敏夫は城南中央病院に搬送された。

敏夫の手術が開始して1時間が経過した頃、藤堂が病院に駆けつけた。

沼田は敏夫を撃ったことから、自暴自棄になって代志江を道連れにする可能性が出てきた。

三上は行方不明になった和枝を必死に捜索していた。

和枝は弁当屋に勤めていた。

山村は独身の藤堂に、親子とは何かを尋ねたが、藤堂は逆に山村から聞き出そうとしていた。

敏夫の手術は成功し、山村は敏夫の病室で待機していた。

敏夫は無意識のうちに暖かい心を持った沼田を求めていた。

三上は和枝を発見し、何も知らなかった和枝に、沼田が敏夫に撃たれたこと、敏夫が助かったことを伝えた。

和枝は沼田が泥酔していたときに代志江を殺害してやると言っていたことを思い出した。

和枝は沼田と代志江が殺し合えばいいと思っていたが、三上は和枝を殴った。三上は和枝に、なぜ娘として沼田の身を案じることが出来ないのかと叱った。

山村は敏夫の手を握って眠っていた。

敏夫は自分が沼田に撃たれたとき、自分を庇い、ずっと付き添いをする山村が本当の父親であると感じていた。

山村は敏夫を大人の男として認め、自分に子供がいないことを告げた。

山村は沼田が敏夫を自分と間違えて発砲したこと、代志江を保護しなければならないことを伝えた。

敏夫は代志江が矢追町2丁目のフラワーマンションにいることを教えた。

三上も和枝から代志江の住所を掴んでおり、フラワーマンションに直行した。

代志江はフラワーマンションに帰宅していたが、そこに敏夫が死亡したと思い込んでいる沼田が現れ、射殺されそうになった。

沼田は代志江を殺害した後に自殺するつもりだった。

沼田は発砲して拳銃の弾を使い切り、山村と三上に逮捕された。

山村は和枝と敏夫が、代志江の居場所を教えたことを告げた。

代志江は和枝と敏夫が自分の味方と思い込んだが、山村は母親に捨てられた子供の気持ちを真剣に考えたことがあるのかと叱咤した。

山村は和枝と敏夫が沼田と代志江を助けようとしたのが、和枝と敏夫が立派な人間であるからと突きつけた。

山村は和枝と敏夫が立派に育つと思っていた。

 

 

メモ

*子供のできなかった高子が遠縁の子供を貰う。この子供は後に隆と名付けられ、10年以上山村のもとで暮らすことになる。後年の「さらば! 山村刑事」では、隆の母親である秋元夫人が10年前(1975年頃)、秋元のヨーロッパ転勤が決定した際に亡くなったと語られている。

*正確なサブタイトルは「親と子の條件」だが、「條件」表記は日本語として間違っているので、「条件」表記とした。(「條」は「条」の旧字体である。)

*小瀬格氏の「太陽」初出演作。後に他署の刑事役を多く演じる小瀬氏だが、今回は酷い父親で強盗犯の悪役。

*立原和美(すどうかづみ)氏は後に「我がいとしき子よ」にも出演しているが、そちらでは今回の代志江のような愚劣な母親を演じている。折しもレギュラーメンバーの赤ん坊が初登場する回でもある。

*敏夫が山さんを認め、真実を打ち明けるシーンが見ていて心地が良い。

*テキサスは誕生してまもなく父親を亡くし、父親の顔を知らない。なお、テキサスの母親は「殉職刑事たちよ、やすらかに」の時点で死亡していることが明言されている。

*テキサスがベテラン刑事のような叱咤、説得をしている。

*ラスト、赤ん坊用品を買う山さん。途中でボスが現れ、靴をあげようとするが、赤ん坊はまだ歩けなかった。

 

 

キャスト、スタッフ(敬称略)

藤堂俊介:石原裕次郎

三上順:勝野洋

田口良:宮内淳

野崎太郎:下川辰平

 

 

山村高子:町田祥子、矢島明子:木村理恵

沼田慶三:小瀬格

沼田和枝:立原和美(現:すどうかづみ)、沼田敏夫:永久勲雄

秋田:山崎猛、大坪日出代、近松敏夫、酒井郷博、森本三郎、岩瀬ゆうこ、日下部光宏

ノンクレジット 秋田の麻雀仲間:戸塚孝、秋田の麻雀仲間:小坂生男、山村隆:小椋基広

 

 

石塚誠:竜雷太

島公之:小野寺昭

山村精一:露口茂

 

 

脚本:鴨井達比古、小川英

監督:竹林進