第170話「再出発」

放映日:1975/10/17

 

 

ストーリー

石塚と田口は、七曲署の玄関の前で佐野次郎(織田あきらさん)と婚約者の関口光子(22歳)(志摩みずえさん)と会った。

佐野は島に、関口と結婚することを報告するために七曲署を訪れていた。

佐野の挙式は10月17日だった。

佐野は元戸川組の組員であり、4年前(1971年頃)に殺人未遂事件を起こしていた。

島は休暇を返上して佐野のために尽くしていた。

10月17日は4年前に佐野が逮捕された日であり、佐野は再出発をしようとしていた。

佐野と関口はデパートにて新居のための家具と時計を見ていた。

関口は矢追町二丁目山手病院前の停留所でバスを降り、佐野と別れた。

関口は大金が落ちた財布を拾い、新婚用の家具を買うためにこっそり持ち帰ってしまった。

それを田代信男(36歳)(沢りつおさん)という中年の男が目撃していた。

一係室に新宿中央公園での殺人事件の通報が入った。

被害者は田代であり、死亡推定時刻は午前0時から午前1時の間、死因は鈍器による後頭部打撲だった。

田代の遺体からは財布が発見されなかった。

野崎と三上は田代の顔と名前に聞き覚えがあった。

田代はセールスマンであり、2ヶ月前に現在の会社に入社し、成績もまあまあで社内の評判も悪くなかった。

鑑識の見解では、凶器は石ではないかと思われた。

田代は3年前(1972年頃)に恐喝及び婦女暴行容疑で城北署に逮捕されていた。

田代の手口は人気のない場所にわざと大金の入った財布を落として人に拾わせ、それをネタに恐喝するというものだった。

城南署の調査では、田代は逮捕されるまでに20数件の犯行を重ねていたが、被害届は1件のみだった。

田代が最近3年前の犯行を再び行ったという可能性が出てきた。

中年の女性(金子勝美さん)が午前0時頃、若い女性が血相変えて飛び出してくるのを目撃していた。

目撃者のもとに作られたモンタージュ写真の女性は関口に酷似した。

関口は職場のレストランの「パークサイド」を欠勤しており、アパートにも帰宅していなかった。

藤堂は石塚と島に佐野を捜査するように命じた。

石塚と島は佐野の職場である東名トレーディング自動車サービスセンターに向かい、島が単身で佐野を尋ねた。

佐野は最終バスの午後10時30分頃に帰宅したと述べた。

島は佐野に、関口から連絡があったらすぐに知らせるように伝えて去った。

島は佐野が連絡するかどうか疑問に思い、自動車サービスセンターを張り込むことにした。

関口は佐野に、すぐに会うように電話をかけた。

佐野は自動車サービスセンターを出ようとしたが、石塚と島の覆面車を発見した。

自動車サービスセンターから自動車を牽引するレッカー車が出発した。

関口は電話の近くで待機していた。

自動車サービスセンターが終業の時間となったが、佐野はもういなかった。

島は佐野が、レッカー車が牽引していたポンコツ車に乗ってサービスセンターを出発したと直感した。

島は帰宅した佐野の自宅に上がり込んだ。

佐野は新宿を歩いただけだと言い、関口の居場所を話そうとしなかった。

佐野は島から関口に殺人容疑がかけられていることを聞かされても、全く動揺しなかった。

島は自分を信用するように佐野に頼み込んだが、佐野は島が密かに見張っていたことに怒りを募らせた。

佐野は4年間島を頼り、言うとおりにしてきたが、島への協力を拒否した。

島は4年前の10月17日を思い出していた。

佐野はその日に短刀で人を刺し、島に追跡されていた。

島は佐野を地下道で捕らえたが、車から銃撃され、佐野を庇って負傷していた。

佐野は必死に島に助けを懇願していた。

関口が七曲署捜査一係に出頭してきた。

関口は殺人をしていないと主張したが、藤堂は殺人事件がまだ報道されていないのに、関口が自分に容疑をかけられていることを知っているのに不審を持った。

関口は佐野から電話で知らされたこと、昼間に佐野と会ったこと、佐野から口止めされたことを伝えた。

関口は午後10時40分頃、矢追町二丁目のバスの停留所を少し歩いたところで、顔に大きな傷のある見知らぬ男に、車に押し込められ、朝まで監禁されたと証言した。

山村は関口に田代の写真を見せたが、関口は田代に会っていないと述べた。

三上は関口の供述を信じようと思っていた。

山村は関口の供述に矢追町の遊び場という言葉が少し出てきたことが引っかかった。

島は関口を車で送迎した。

佐野は関口の事件の全貌を知っていたが、予定通りに挙式をするつもりでいた。

捜査員は夜の街を捜査していた。

三上は関口を車に引きずり込んだ犯人の川崎(森川正太さん)を雀荘で発見し、格闘で制して逮捕した。

川崎は田代が殺害された時刻に関口を車に引きずり込み、多摩川沿いにいたと供述し、関口の供述と一致した。

島は関口の供述が事実な場合、喋らないのが普通だと認識しており、納得がいかなかった。

島は佐野が、関口に殺人容疑がかけられたと言っているにも関わらず被害者が誰かと聞こうとしなかったことにも不審な点を抱いていた。

島は関口が川崎に監禁されたのは、関口のアリバイのための佐野の工作ではないかと推理していた。

山村は関口の台詞を覚えてきたかのような態度から、島と同意見だった。

島は3ヶ月前、川崎が佐野に内密に車の修理をしてもらったという情報を得た。

島は単独で自動車を修理中の佐野にあたった。

佐野は明日にどうしても挙式をする決意でいた。

佐野は結婚式の費用に80万円、新婚旅行の費用に20万円、新居を借りる費用に15万円、合計150万円近くを払いこんでおり、断固自首を拒否した。

山村と三上は川崎を取り調べていた。

川崎の車から微量の血液反応が検出された。

川崎は3ヶ月前の7月15日、老人を轢き逃げし、内密に佐野に車の修理を頼んでいた。

川崎は激しく否定したが、山村に監禁されたときの関口の服装を尋ねられた。

川崎はジーパンと答えたが、当日に関口はスカートを履いていた。

島は佐野に本当の再出発をしてもらいたいために、明日の結婚式の前までに関口の逮捕状を請求した。

田口が田代殺害の凶器の石を発見した。

島はダイヤモンドホールで開催される佐野と関口の結婚披露宴で待機していたが、三上から関口の逮捕状を渡された。

凶器の石から関口の指紋が検出されていた。

島は控室で逮捕状を見せ、関口を連行しようとしたが、そこに子供を人質に取った佐野が現れた。

島は拳銃を取り出し、ナイフを捨てるように要求した。

佐野は島を撃てないと思っていたが、島は佐野の右手を発砲した。

関口は田代に、警察に知られたくなければ言うとおりになるように強要されたため、乱暴されそうになった隙に田代を石で殺害していた。

島は拘留中の佐野に面会し、関口には情状酌量の余地があり、執行猶予になる可能性があることを告げた。

佐野はどうしても10月17日に挙式したかった。

島は佐野が10月17日に島たちを結婚式に紹介することにより、4年前の自分が立派な式を挙げられるほど成長したこと、新しい人生の出発点にしようとしていたと思っていた。

島は関口に婚姻届を署名させており、佐野に署名させた。

婚姻届の届出日は10月17日扱いとなっていた。

 

 

メモ

*川崎に当日の関口の服装を尋ねて、矛盾点から川崎を打破した山さん。もしも川崎が「スカート」と答えたら、「ジーパン」を正解にしていたのだろうか。

*殿下が結婚披露宴でウェディングドレスを着ている最中の女性を逮捕するのは「音の告発」を思わせる。

*殿下はかつて自分が世話をした男にも、罪を犯そうとしている者に容赦なく発砲。「拳銃の条件」を思わせる。

*佐野はやや「10月17日」に固執しすぎたような気がする。素直に自首させておけば、関口も罪がより軽くなり、佐野自身も罪を犯さなくて済んだかもしれない。

*ラストシーンは児玉監督担当回であるが故か無音。

 

 

キャスト、スタッフ(敬称略)

藤堂俊介:石原裕次郎

三上順:勝野洋

田口良:宮内淳

野崎太郎:下川辰平

 

 

佐野次郎:織田あきら、関口光子:志摩みずえ

川崎:森川正太、田代信男:沢りつお、公園の目撃者:金子勝美

三浦伸、吉田弘子、山田博幸

 

 

石塚誠:竜雷太

島公之:小野寺昭

山村精一:露口茂

 

 

脚本:桃井章、小川英

監督:児玉進