第165話「回転木馬の女」
放映日:1975/9/12
ストーリー
中原菊枝(金沢碧さん)は空港にて、帰還する夫の中原健介(藤巻潤さん)を出迎えた。
山村と三上は中原夫妻を尾行した。
中原には宝石密輸の容疑がかかっており、女性の声で竜神会と絡んでいるという密告電話が入っていた。
中原夫妻はレストランにて食事をしていたが、そこに竜神会組員2名(戸塚孝さん、永野明彦さん)が入ってきた。
中原と組員は2億円相当の宝石を洗面所で取引をしようとしたが、山村と三上が発見し、中身を確かめようとして格闘となった。
中原は激しく抵抗したが、石塚と三上により逮捕された。
菊枝は中原の逮捕の場面を目撃してしまった。
島は事情聴取のために菊枝を自宅まで送迎しようとしたが、菊枝は知らなかったと伝えて単独で帰宅した。
島は中原宅まで向かっていたが、竜神会の組員の一人が中原宅を見張っていた。
藤堂は組員が菊枝に何か仕掛けた場合に、不審尋問で逮捕するように命じた。
取調室の中原は竜神会が菊枝を襲撃したことを知って激昂し、知っていることを話すから菊枝を守るように懇願した。
竜神会の組員が外出する菊枝を車で尾行していたため、島も尾行を開始した。
菊枝は遊園地を訪れ、回転木馬の係員の松本(永井譲滋さん)と一緒に開業していない回転木馬を眺めていた。
菊枝は自分と松本との娘が回転木馬に乗っているところを想像していた。
尾行していた竜神会組員は中原の逮捕を知らなかったが、藤堂が竜神会の顧問弁護士を七曲署に呼び、中原が逮捕されたことを告げたため、組員は去っていた。
三上も遊園地に駆けつけ、島から松本を調査するように頼まれた。
中原は明朝に釈放されることになった。
中原観光会社は菊枝の父親が経営していた会社で、中原は婿養子であり、会社を倒産させては菊枝に申し訳ないという理由で密輸を行っていた。
中原は空手5段だった。
藤堂は捜査員に、事件の背後関係を探るように命じた。
一係室に菊枝から、変な男が自分を見張っているという電話が入り、島が出動した。
菊枝は隠し事をしていないと述べた。
中原夫妻の子供は半年前に交通事故死しており、菊枝は大事にしていた玩具を処分する気になれなかった。
中原宅に、大至急に通りのスナックに来いという電話が入った。
島と菊枝が通りを歩行中、後ろから、車が疾走してきたが、間一髪で回避していた。
菊枝は自分が警察に密告したと白状した。
島と菊枝は中原宅に戻ったが、窓の風で部屋の花瓶が落ちて割れていた。
菊枝は窓を開けた覚えがないと主張したが、途端に停電し、ガラスの割れるような音がした。
再びガラスの割れた音が聞こえたため、島は家の外に出た。
島は菊枝の悲鳴を聞いて家に戻ったが、菊枝は既にその場にいなかった。
菊枝は薄茶色のセダンに乗った男に連れ去られた。
島は車に向かって発砲したが、当たらず、尾行を開始した。
菊枝を誘拐したセダンは甲州街道を八王子方面に向かい、30分ほど前に山中湖方面の出口を通過していた。
中原は菊枝の誘拐に心当たりが全く無く、激しく動揺していた。
中原宅に菊枝を誘拐した男から、中原が隠している宝石を午後12時にスナック「シルクロード」に持ってくるよう要求する電話が入った。
中原は知らないと主張した。
午後1時になっても、「シルクロード」に菊枝を誘拐した男は現れず、中原たちは自宅に待機していた。
中原宅に誘拐犯から、約束を破ったので菊枝を殺害するという電話が入り、中原は要求を必ず聞くので菊枝を殺害しないように懇願した。
山梨県警から山中湖の空き別荘で女の悲鳴を聞いたという連絡が入り、島と三上が出動した。
島と三上は空き別荘に直行したが、菊枝はおらず、衣服が残されているだけだった。
島は山梨県警の鑑識を呼び、遊園地に咲いていた花と同じ花が落ちているのを発見した。
松本は4日前に遊園地を辞め、アパートも引き払っていた。
松本の故郷は岩手県で、脅迫電話の声に東北訛りがあったため、誘拐犯は松本ではないかと考えられた。
島は自分を岩手に行かせるように要請し、藤堂から承諾を貰った。
島は岩手を調査する最中、農作業に従事する松本と菊枝を発見した。
島は逃走する菊枝を取り押さえ、菊枝は号泣した。
菊枝は中原に付いて行けず、自分が殺害されたと思わせるために松本と偽装誘拐を提案していた。
中原夫妻の娘は回転木馬が好きで、毎日木馬に乗って遊んでいた。
中原は菊枝に徹底的に尽くし、何でも買い漁り、密輸にまで手を出していた。
しかし、菊枝は自分が中原の着せ替え人形に過ぎないと思っていた。
藤堂は松本と菊枝が偽装誘拐を演じて中原を脅迫したにも関わらず、2人を連行しなかった島に注意した。
島は2人の逮捕に反対し、中原に自分から話すと伝えた。
藤堂は調査と記録が残っていることを忘れないように念押しした。
島は中原宅に向かったが、菊枝は既に戻っていた。
菊枝は松本に黙って中原に全てを話す覚悟を決めていた。
島は自分から中原に話そうとしていたが、菊枝は却下した。
中原が帰宅し、菊枝を殴り、相手の男を言うように強要した。
菊枝は答えようとしなかったが、島が突入し、自分が菊枝の相手だと嘘を言った。
中原は島に帰るよう伝えたが、島は帰らず、島は中原に徹底的に痛めつけられた。
中原は菊枝も殺害しようとしたが、島が菊枝を殴らないように制止したため、中原は殴るのを止めた。
中原は島に菊枝を幸せにするよう伝えて去った。
一係室に菊枝と松本が現れ、島の安否を尋ねた。
松本は島に礼を言おうとしたが、島は隠れた。
メモ
*格闘に強いゴリさんとテキサスの2人がかりですら大苦戦した中原。「太陽」史上の犯人でもトップクラスの強敵。
*永井氏は「沈黙」や「逃亡者」&「追跡者」の殺し屋役とは全く違う爽やかな印象。
*ゴリさんは空手5段以上らしい。(本人の冗談かもしれないが)
*松本と菊枝の偽装誘拐に使われた空き別荘は、「刑事狂乱」で鮫島が倉橋律子を匿った館と同じ?
*殿下が岩手を捜査するシーンでは、小野寺氏の持ち歌である「白いページ」が流れている。前話の「バラの好きな君へ」で「白いページ」のピアノバージョンが流れていたのは布石か?
*里木佐甫良氏が演じる農夫は、「白いページ」がバックに流れている、岩手での殿下の捜査シーンのみに登場。一瞬のみで台詞もない。
*中原も菊枝も根っからの悪人ではないのにすれ違ってしまう悲劇。
*殿下が中原に、自分が菊枝の相手の男と嘘を言うシーンでは、イメージ映像で炎が燃えている。なぜか、この時期の殿下主演作は非日常的なイメージ映像が挿入されていることがある(「霧の旅」と「リスと刑事」)。
*殿下は「自首」に続き、メインゲストにボコボコにされてしまう。
*今作は畑氏の「太陽」初執筆作。畑氏は今後、殿下と三好恵子との「あるシリーズ」を手掛ける。
キャスト、スタッフ(敬称略)
藤堂俊介:石原裕次郎
三上順:勝野洋
島公之:小野寺昭
野崎太郎:下川辰平
中原健介:藤巻潤
中原菊枝:金沢碧
松本:永井譲滋、伊達三郎、農夫:里木佐甫良
高木真二、竹内輝二、竜神会組員:戸塚孝、永野明彦、西内章、鈴木輝江
石塚誠:竜雷太
山村精一:露口茂
脚本:畑嶺明、小川英
監督:児玉進