第151話「刑事の妻」
放映日:1975/6/6
ストーリー
石塚は喫茶店に急行し、待ち合わせていた道代(武原英子さん)と合流した。
石塚は道代を山村と高子(町田祥子さん)に会わせた。
石塚のプロポーズは仲人を山村に依頼することだった。
山村は承諾したが、島から山手通り付近で発生した轢き逃げ事件の通報が入り、出動した。
轢き逃げ事件の被害者は、半年前に2人を殺害し、給料300万円を強奪した指名手配犯の尾崎政男だった。
現場近辺の運送店の運転手が、尾崎の死亡時刻と同一時刻にライトバンを目撃していた。
尾崎はコンクリートの電柱に頭を打ち付けて即死していた。
尾崎の膝に付着していた青い塗料は車のものだった。
轢き逃げの加害者である画家の小野勝(五木繁則さん)は自首しようとしていたが、妻の小野幸子(二宮さよ子さん)はチャンスを掴んだことを理由に自首させなかった。
土曜日、道代は太陽出版社からの帰り際に石塚を目撃したが、石塚は気づかなかった。
島は夢の国社のライトバンの塗料が剥げていることを発見し、加害車両であると確信した。
小野は昨日に運転を担当していたが、早朝に車を返して以降、不在だった。
小野は新人の登竜門といわれる新光会第43回展覧会に入選していた。
小野夫妻は新聞で自分が轢いた尾崎が兇悪指名手配犯であることを確認し、安堵したが、小野宅に石塚と島が訪れた。
幸子は石塚に小野がいないと誤魔化したが、石塚は自分が来た理由を尋ねない幸子を不審に思い、強行に突入した。
小野はベランダから逃走した。
石塚と島は小野を追跡したが、石塚は車を発進させる途中に幸子の妨害に遭った。
幸子は小野が何も悪いことをしていないと言った。
石塚は東陽画廊に赴き、小野の「少女」という絵を見ていた。
「少女」は入選が取り消しになってしまい、石塚は「少女」を収蔵しようとする店員(鹿島信哉さん)に抗議した。
道代は高子に、石塚が自分に気づかなかったことを話していた。
石塚は非番の日である今日に道代をドライブに誘おうとしていたが、電話すらしていなかった。
道代は石塚がただ忙しいだけじゃなく、石塚の中に道代の居場所なんていないのではないかという不安を述べた。
高子は愛情さえあれば、2人で解決できない問題は無いと説得した。
三上は幸子を尾行していた。
山村の調査によると、幸子は宇都宮の旧家の娘であったが、同じ町の貧乏画家である小野に惚れ、5年前(1970年頃)に駆け落ちして上京していた。
幸子は友人にきっと幸せを掴むと宣言しており、銀行に80万円の預金をしていた。
幸子は石塚の自宅を探し当て、待機していたが、そこに道代が石塚宅を訪れた。
道代は置手紙を残して去った。
幸子は言伝を盗み読んだ。
幸子は入選が取り消されて返却された「少女」の絵を、アパートの大家から渡された。
三上は石塚に、幸子が石塚宅に来たことを説明し、幸子の言動を怖いと評した。
幸子は「少女」の絵を見ながら泣いていた。
石塚は幸子が本気で小野を逃走させようとしていると思っていた。
山村は道代が石塚のことばかり考えていると告げた。
山村は自分たちが今まで結婚生活をまあまあ過ごせた理由は、月並みの夫婦喧嘩を繰り返してきたからと話し、道代に電話をするように念押しした。
三上は幸子の尾行を担当していたが、幸子は道代を尾行していた。
幸子は三上を発見した後、道代を横断歩道に突き飛ばした。
道代は右腕に軽傷を負った。
三上は幸子に質問をしたが、幸子は恍けたふりをした。
道代の母親の小林静子(露原千草さん)は道代を心配していたが、道代は石塚が必ず守ってくれると思っていた。
石塚は幸子に対して直接怒り、説得したが、幸子は人の幸せをむしり取りながら幸せそうにしている石塚と三上を許せないと言った。
野崎と石塚は小野宅を張り込んでいた。
早朝、小野のアパートの隣部屋に小野から電話がかかった。小野は初めて東京に出たときの旅館に滞在していた。
石塚は強引に小野からの電話を取ったが、幸子が電話を切った。
藤堂は三上に道代のガードを、石塚に小野夫婦が83万円を一度に卸すことができる城東銀行矢追支店の張り込みを命じた。
幸子は出版社に電話をかけ、道代が非番であることを確認した。
三上は道代のガードに就いた。
道代はスーパーマーケットで買い物をしていたが、幸子が道代を尾行しており、幸子は道代の買い物籠に密かに缶詰を入れた。
幸子はスーパーマーケットの職員に道代が万引き犯であると嘘を言い、道代は警備員(広田正光さん)に事務所に連行されそうになった。
三上は幸子を発見したが、逃げられてしまった。
石塚は藤堂から、道代の万引き容疑の事件を聞かされ、すぐに電話するように命じられた。三上は道代の弁解をしていた。
スーパーマーケット石塚から電話がかかったが、石塚は自分が銀行を離れられないので気持ちをしっかり持つように励まして電話を切った。
道代は山村宅を訪れていた。
幸子は銀行から預金し、タクシーに乗った。
石塚は山村の車に乗り、タクシーを追跡した。
山村と石塚は旅館から逃走しようとする小野夫婦を包囲した。
山村と石塚は直進したが、蕎麦屋のカブが転倒した隙に小野夫婦は逃走し、非常階段を登った。
道代は婚約解消のために山村宅を訪れていたが、思い直し、石塚にはっきり言いたいことを言う決意を固めた。
小野夫婦はビルの屋上から飛び降り自殺をしようとしていたが、石塚は必ず引きずりあげて自殺を止めると宣言した。
石塚は同情するが、小野夫婦が飛び降りた場合、下を走行している車の運転手の誰かが人を殺害してしまうと説得した。
小野は飛び降りようとする幸子を引き止めた。
石塚と道代は口喧嘩をしていた。
メモ
*セミレギュラー同士の共演は今回のみ。
*山さんを紹介するとき、落ち着きのなくテンションの高いゴリさん。
*ゴリさんによると、高子は山さんの目に痺れたらしい。
*どのような手段なのかは不明だが、ゴリさんの自宅を探し当てた幸子。後年、「ひとりぼっちの死」の犯人もゴリさんの自宅を探し当てた。(こちらもゴリさんプロポーズ編)
*道代はゴリさんをきちんと理解しているようで、ゴリさんは捜査中には自分に構っていられないが、ゴリさんが必ず自分を助けてくれると思っていた。
*山さんは結婚生活を暮らせた理由が、夫婦喧嘩を繰り返してきたと説明。しかし、山さんと高子の夫婦喧嘩は想像できない。(笑)
*「太陽」史上でも上位にあたる悪女の幸子。何の関係もない道代に数々の醜い悪行を働くは、自分は何もしていない被害者だと思い込むはで、同情の余地は全くない。女の嫉妬が怖いとつくづく考えさせられる
*山さんの好物がメロンであることが判明。高子が旅行をすっぽかされたと少し怒っていたが、「七曲藤堂一家」のことかな?
*最後のビルの屋上は柵が無く、非常に危険なシーン。
*脚本の加賀美氏は今回と「虹」を執筆した。
キャスト、スタッフ(敬称略)
藤堂俊介:石原裕次郎
三上順:勝野洋
島公之:小野寺昭
野崎太郎:下川辰平
小林道代:武原英子
小野幸子:二宮さよ子
山村高子:町田祥子、小野勝:五木繁則、小林静子:露原千草
吉田柳児、スーパーマーケット警備員:広田正光、丸山詠二、東陽画廊店員:鹿島信哉、湯川尚子、前田未来、絵:井口文秀
石塚誠:竜雷太
山村精一:露口茂
脚本:小川英、加賀美しげ子
監督:小澤啓一