第126話「跳弾」

放映日:1974/12/13

 

 

ストーリー

石塚と三上は、質屋強盗殺人事件の2人の犯人である井上松夫(沖田駿一さん)と沢村伸次(藤井つとむさん)を河原まで追跡した。

井上が発砲してきたため、三上は川の水面に向けて威嚇射撃した。

しかし、三上は向こうの土手で女性が倒れ、男が駆けつけるのを目撃した。

転倒して井上に見捨てられた沢村は石塚により逮捕された。

鑑識から一係室に、土手で倒れた女性の大腿部から摘出された弾丸が、三上の銃弾と断定されたという連絡が入った。

藤堂と三上は、被害者の浦林広美(志摩みずえさん)が入院している国立大蔵病院に向かい、父親の浦林(堺左千夫さん)と会った。

広美は浦林の一人娘であり、来年に結婚することになっていた。

浦林は広美が撃たれた土手の近辺で小さな町工場を経営していた。

病院に広美の婚約者である原健二郎(酒井修さん)が現れ、藤堂と三上に嫌味を言った。

西山署長(平田昭彦さん)は三上に状況判断のミスを指摘したが、三上は川の中に発砲したと強調した。

沢村は野崎と石塚に取り調べられていたが、井上が発砲したこと、井上が強盗事件を計画して射殺したのが井上であると自白した。

沢村はどこに逃走するつもりだったかを供述しなかった。

藤堂は偶発的に発生する跳弾ではないかと推理した。

三上の拳銃の銃口が水面を向いていることが証明できれば、三上の無実を証明することができた。

石塚は証人になろうとしたが、刑事の石塚には不可能だった。

三上は広美の側に男がいたのを目撃していた。

三上は広美の病室に入った。

広美は跳弾に撃たれた際に、男が近くにいたことを否認した。沢村は山村に取り調べられていた。

沢村は故郷の茨城県に帰るつもりはなく、府中にいる石川実という友人から、金を借りて神戸に逃走するつもりだったと述べた。

石川は沢村の少年院時代からの付き合いであり、浦林が経営する浦林製作所に勤務していた。

三上は藤堂から、浦林製作所に行って石川と会うように命じられた。

島は石川(保積ペペさん)に、井上が発言した場合に場所を聞き出すように頼んだ。

石川は三上と島に、少年院に入所していたことを言わないように懇願した。

井上は石川に電話で10万円を要求した。

石川は井上と沢村を裏切って逃走していた。

島と三上は浦林製作所を張り込んでいた。

浦林製作所は経営不振で、原の実家である原産業という取引先が無かった場合、今頃倒産していた。

浦林は広美のボーイフレンドについてかなり厳しく、広美と一緒に映画に行って免職させられた工員もいた。

島は広美が嘘をついているのではないかと思っていた。石川は二葉アパートに帰宅した。

三上は石川の部屋に直行したが、石川は姿を消していた。石川は神社で待ち合わせをしていた。

井上が石川と合流し、石川は持ち合わせの3500円を渡した。三上は石川と井上を発見したが、井上は石川を人質に取った。

三上は拳銃を撃つことができず、井上に逃走されてしまった。藤堂は石川の釈放を決定した。

三上は石川をアパートまで送迎した。石川は前科と少年院に入所していたことを隠して地道に働いていた。

三上は石川に、威嚇射撃に失敗して目撃者が発見できないと免職になることを話した。

石川は2年前(1972年頃)に北海道の釧路に逃走し、漁師として働いていた経験を話した。

浦林は広美に石川の事件のことを伝えた。

広美は経歴なんてどうでもいいと言ったが、浦林は認めなかった。

浦林は原が、広美が跳弾に撃たれた際、側に男がいたことを酷く気にしていたことを伝え、浦林は本当なら許さないと怒った。

石塚から、石川が工場を早退したこと、三上の跳弾事件が発生した日、煙草屋の店主が浦林と石川が土手を歩いているのを目撃したことを報告した。

三上は一係室を飛び出したが、前に山村が現れた。

山村は三上に、三上が考えなければならないのは石川と広美が隠した事実だけだということ、他人の心情に土足で踏み込む権利が無いという考えを伝えた。

原が石川を連れて一係室に現れた。

原の目的は広美と石川が会っていたことについて知ることだった。

三上は現場に広美しかいなかったと伝えた。

石川を署長に真実を証言し、西山も跳弾を認めた。

石川は三上が原に嘘を言ったときに内心は安堵をしていたが、三上が汚名を着せられると思い、庇ってくれた三上に応えた。

石川は井上から逃走することを決意し、二葉アパートに帰った。

井上は二葉アパートに潜んでおり、石川を強盗に引きずり込もうとしていた。

そこに三上が現れ、三上は石川に七曲署に連絡するように要請した。

石川の連絡により、山村と島、野崎と石塚が現場に急行した。

三上は井上を廃屋まで追い詰めたが、井上に足を撃たれた。

しかし、井上の拳銃の弾が切れ、井上は三上により逮捕された。

原と広美の縁談は破談になったが、広美は原の人柄を理解し、納得していた。

石川は再出発を誓い、漁師になることを決意した。

 

 

メモ

*偶然発生した跳弾事件に加え、浦林がかなり厳しかったこと、原の嫌味さが絡まって起こってしまった悲劇。

*跳弾はブルースの「相棒」でも発生し、犯人に重傷を負わせている。

*婚約者の原はかなり嫌味な男。縁談が破談になって良かったのかもしれない。

*テキサスが拳銃を撃てないシーンは「拳銃の条件」を思い出す。

*テキサスが昔漁師をしていた過去を披露。後に「海のテキサス」や「星の神話」で活かされている。

*テキサスが井上に投げたドラム缶に入っていた黒い液体は石油?

*ラスト、浦林が号泣するシーンがある。原と広美の縁談が破談になったことにより、浦林製作所が倒産してしまったものと思われる。

*今回、チャコは未登場。ただし、クレジットされているので、シーンカットの可能性もある。

*今作は金子成人氏の「太陽」唯一の執筆作。デビュー間もない金子氏がプロット募集で入賞し、脚本を担当した回らしい。

*今作は「仰げば尊し」と同時撮影。

 

 

キャスト、スタッフ(敬称略)
藤堂俊介:石原裕次郎
三上順:勝野洋
島公之:小野寺昭
野崎太郎:下川辰平

 

 

長山久子:浅野ゆう子(未登場)
西山署長:平田昭彦
浦林広美:志摩みずえ、石川実:保積ペペ
原健二郎:酒井修、井上松夫:沖田駿一(現:沖田峻一郎)
浦林社長:堺左千夫、沢村伸次:藤井つとむ
ノンクレジット 鑑識の声:今井和雄

 

 

石塚誠:竜雷太
山村精一:露口茂

 

 

脚本:金子成人
監督:小澤啓一