第124話「仰げば尊し」

放映日:1974/11/29


 

 

ストーリー
石塚と三上は夜の街をパトロール中、矢追町派出所から田村正俊(松村達雄さん)という老人が出るのを目撃した。

派出所では武居収巡査が頭部を殴られて死亡していた。

石塚と三上は田村を一係室に連行した。

田村は派出所を不審に思い捜索していたと述べて抗議し、捜査に協力しないと主張した。

野崎が一係室に入った。

田村は石塚と三上に臍を捻って歪みを治すと言い、臍を出すように要求した。

野崎は田村の発言から、田村がヘソデンと呼ばれる、自分の若草小学校在籍時代の恩師だったことを思い出した。

藤堂は田村を容疑者扱いしていなかった。

田村は散歩の途中に道に迷い、道に聞こうとして派出所に立ち寄ったと言った。

鑑識の結果、死因は鈍器による後頭部の打撲で、死亡時刻が午後10時30分頃だった。

拳銃が盗まれており、派出所脇の路上にオートバイのタイヤ痕があり、犯行時の前後に付着したものと推測された。

田村はオートバイを見ていなかった。

藤堂はオートバイの持ち主の捜索を命じた。

野崎と三上はオートバイアクセサリーショップの店主である長門(柳生博さん)に尋ねた。

長門は山口勇という男が警官と口論していたことを思い出した。

山口(千葉裕さん)は工場の臨時工をしていた。

山口は職場の工場に野崎と三上が来たのを目撃し、オートバイで逃走した。

野崎と三上は山口を追跡したが、自動車が通ることのできない狭い路地に追い込まれた。

山口は子供を避けようとして横転し、オートバイを捨てて逃走した。

野崎と三上は山口が逃走したと思われるアパートを捜査していた。

三上は住人から不審な物音がする部屋があることを聞き、突入したが、そこは田村の部屋だった。

田村は山口が入ってこなかったと告げたが、部屋の紙袋から武居のものと同型の拳銃が発見された。

田村は山口が警官を殺害するような男でないとうっかり口を漏らしてしまった。

山口は田村の最後の教え子で、不良仲間に騙されて非行歴があった。

野崎は正直に言わないと拳銃不法所持で逮捕すると警告した。

野崎は藤堂が田村を逮捕に踏み切ったため、悲しんでいた。

野崎は怒りのあまり、茶碗を破壊し、器物破損の現行犯で逮捕するように告げた。

藤堂は野崎を田村と同じ牢屋に入れた。

田村は野崎が警察官なのに留置されたことに怒り、臍を出した。

一係室には田村の教え子や父兄から抗議の電話が殺到していた。

山口のオートバイの道具箱から、凶器と思われるスパナが発見された。

スパナから血液反応が検出され、血液型は武居と同じものだった。

田村は野崎に、小学校時代に「人間にとって5つの大切なこと」として教えた「仁、義、礼、知、信」のことについて語った。

田村と野崎は釈放された。

田村は張り込み中の石塚を発見し、煙草を捨てたことを注意した。

田村はアクセサリーショップに集まる山口のバイク仲間や長門から、山口の居場所を突き止めようとしていた。

長門は山口のオートバイ仲間の女(愛田純さん)に、アクセサリーショップに来ないように注意したが、田村に逆に注意された。

山口の仲間の女が田村を連れて出発したために、藤堂と山村は野崎を連絡係に任命して出動しようとした。

一係室に田村から、オートバイに乗車中に交通検問に引っかかったという電話が入り、野崎は現場に出動した。

田村はスピード違反とヘルメット未着用で2人乗りしていたために罰金を要求されていた。

田村は謝罪したが、山口の仲間の女には罰を与えないように懇願した。

田村は山口を信じていた。

野崎は田村を自宅まで送迎したが、田村宅の前に山口の仲間の女が待機していた。

山口の仲間の女は山口の居場所を知っていた。

野崎はその会話を陰で聞いていた。

田村は山口の仲間の女により、山口の隠れ家に案内され、山口は再会した。

山口は武居を殺害していないと言った。

隠れ家の前に野崎と三上が現れ、三上は山口を逮捕した。

山口は田村を罵った。

田村は山口から犯行の有無を尋ね、犯人であった場合は自首させようと思っていた。

田村は「信」ができない野崎とは口を聞こうとしなかった。

山口は山村によって取り調べられたが、スパナに武居の血痕が付着していたことを知らなかった。

山口は殺害当日の晩、武居に職務質問されて連行されていた。

山口は拳銃が知らない間に道具箱に入れられていたと供述し、高笑いをした。

野崎は山口の牢屋に入り、田村の蔑称を言った山口を殴った後、同じ田村の教え子である山口を信じると宣言した。

野崎は山口の供述を全て信用することから出発したいという言伝を残し、単独行動していた。

三上は山口の名前を持ち出した長門なら、オートバイの道具箱に拳銃やスパナを隠せると指摘した。

三上は張り込み中の野崎と合流したが、長門がオートバイで出発し、尾行した。

野崎と三上はラーメン屋の屋台で食事中、長門が覚醒剤密売の前科4犯の戸川組組員と接触しているのを目撃した。

アクセサリーショップに出入りしている数人の暴走族が覚醒剤常用者であることが判明し、長門が覚醒剤の売人であると推測された。

長門が派出所に連行された山口を尾行し、山口のオートバイの道具箱からスパナを強奪した。

そして山口が帰った後に武居を殺害して拳銃を強奪し、山口のオートバイの道具箱に拳銃とスパナを隠し入れたと推理された。

野崎と三上は長門に、覚醒剤の容疑でアクセサリーショップの家宅捜索をするかもしれないという鎌をかけた。

長門はアタッシェケースを持って車で出発し、環状8号線に向かっていた。

捜査員は長門を尾行し、高架橋下の空間に追い詰めた。

長門は覚醒剤が入っていたアタッシェケースを投げて逃走したが、三上に投げ飛ばされ、野崎に逮捕された。

上海風南国飯店では、田村を励ます会が行われていたが、田村は山口が出席していなかったために暗い表情を浮かべていた。

そこに山口と山口の仲間が現れ、野崎も入った。

 

 

メモ

*「シンデレラ刑事」以来、久しぶりでテキサス編初の長さん主演作。
*「戦争前」という台詞が出ることに時代を感じさせる。
*長さんは小学校時代の修学旅行で寝小便をしてしまったらしい。
*田村に臍を抓られた被害者(?)はゴリさんと長さん。ゴリさんは煙草をポイ捨てしていたが、現在だと立派なマナー違反で罰金まで取られる。
*今作は安斉氏の「太陽」初執筆作品。安斉氏は全て田波氏と共同で執筆している。
*今作は「跳弾」と同時撮影。

 

 

キャスト、スタッフ(敬称略)
藤堂俊介:石原裕次郎
三上順:勝野洋
島公之:小野寺昭
野崎太郎:下川辰平

 

 

長山久子:浅野ゆう子
田村正俊:松村達雄
長門:柳生博、山口勇:千葉裕
山口の仲間の女:愛田純、野瀬哲男
八木和子、小海とよ子、奥村真吾

 

 

石塚誠:竜雷太
山村精一:露口茂

 

 

脚本:田波靖男、安斉あゆ子、小川英
監督:小澤啓一