第120話「拳銃の条件」
放映日:1974/11/1
ストーリー
石塚と島と三上は拳銃の反射訓練を行っていた。
石塚は標的を見て、凶器が銃器であるか瞬間的に確認し、利き腕または肩を、動きを封じるときは大腿部を撃つように指導した。
射撃訓練場に、覆面車の車両整備を行っている、修理工で銃マニアの浩(小原秀明さん)が現れた。
午前1時30分、当直中の島に、矢追町2丁目の坂田宝石店に拳銃強盗が入ったという密告電話が入った。
島は現場に急行したが、坂田宝石店に異常は見られなかった。
島は工事現場で待機中、不審な物音を聞き、坂田宝石店に向かった。
坂田宝石店から島に向かって2人の男が発砲してきた。
島は車を発進し、男2人を追跡したが、発砲で車のヘッドライトを破壊されてしまった。
島は強盗の見張り役である森川安信(竹田将二さん)を発見した。
島は森川が発砲しようとしたため、右肩を撃ち、森川は倒れた。
強盗2人は逃走してしまった。
島が工事現場で自転車を発見した後、警邏中の警官2人が銃声を聞いて現場に駆けつけていた。
島は救急車を手配するように命じたが、森川は心臓発作で死亡していた。
さらに、森川が所持していた拳銃が無くなっていた。
坂田宝石店では8000万円相当の宝石が強奪されていた。
島は西山署長(平田昭彦さん)に、心臓が衰弱していた森川が島の1発で死亡したことを指摘された。
島は森川が懐中電灯で強盗2人にサインを送ったことを主張した。
森川は妻と2人の娘を持つ、高速道路の料金徴収係として真面目に働いている男だった。
工事現場に落ちていた自転車は森川のものであり、懐中電灯は自転車に付属していたものだった。
西山は森川が通りすがりに銃声を聞き、懐中電灯を手に何かを見ようとしていたのではないかと推測した。
島は拳銃をはっきり見たと主張したが、西山署長は暗闇の中でいきなり森川に懐中電灯を突きつけられて目が眩んだのではないかと指摘した。
藤堂は森川を強盗の一人と断定し、部下の確認したことを信じると述べた。
藤堂は誰かが拳銃を持ち去ったか、森川が死亡する直前に投げ捨てたと推理し、拳銃の捜索に全力を尽くすと言った。
島の前に、覆面車のヘッドライトを修理した浩が覆面車に乗って現れた。
島は森川が拳銃を持っていないのかと思うようになった。
島は浩を自宅まで送迎した。
浩は姉の義江に嫌な男が言い寄っていることを怒り、島に相談していた。
島は工事現場に行き、状況を思い出していた。
浩は義江の勤務するバーに行ったが、そこには義江に言い寄る古谷(石丸博也さん)がいた。
古谷は義江を強引に神戸に連れて行こうとしていた。
浩がバーに入り、行くなと注意した。古谷は浩を殴った。
古谷は強盗犯の1人であり、浩を見張り役に誘い、密告したら殺害すると脅迫していた。
古谷は義江に感謝するよう言い残して暴行した後、タクシーに乗って去ったが、浩は古谷を尾行していた。
浩は森川から拳銃を奪い、車の中に隠していた。
浩は古谷が警察に逮捕されなかった場合、古谷を射殺しようとしていた。
島は反射訓練を行っていたが、自信を喪失していた。
石塚と三上も反射訓練を行ったが、島は三上が標的の腕を一発で狙うのを見て、訓練場から去った。
一係室では捜査会議が行われていた。
森川には約1時間の犯行時間のアリバイが無かったが、犯人の1人であることを証明するものも発見されていなかった。
七曲署捜査一係では、情報提供者と犯人の正体を掴んでいなかった。
野崎は森川が28万円で購入したピアノについて不審を持った。
森川は1年前(1973年頃)に会社から前借りしたと言って現金でピアノを購入していたが、会社に前借の証拠は無かった。
藤堂は島に留守番を命じ、本庁に向かった。
浩は一係室に電話をかけ、強盗犯2人の隠れ家が3丁目の曙貸倉庫の中であることを告げ、うまくやるように念押しして電話を切った。
島は事件を山村と三上、野崎と石塚に連絡した。
野崎は自分たちが行くまで手を出さないように注意した。
島は曙貸倉庫に到着して突入し、工事現場から逃走した車と同型の車(多摩55 ね 32-09)を発見した。
島は古谷と、古谷の共犯で貸倉庫の管理人である宮下守の話し声を聞き、宮下と対面した。
島は古谷と宮下が拳銃を持っていることを確認したが、古谷に足を撃たれてしまった。
貸倉庫の向かいの倉庫で拳銃を構えていた浩は宮下に発砲した。
宮下は右腕を撃たれ、古谷に取り残されてしまった。
山村、野崎、石塚、三上が曙貸倉庫に到着し、石塚は島から車のナンバーを聞き出して追跡した。
山村は宮下を逮捕し、島は宮下を撃ったのが自分でないと言って、三上に向かいの倉庫の捜査を命じた。
三上は倉庫の屋上で弾を発見した。藤堂は西山署長に呼ばれていた。
西山は島の報告書の内容に激怒した。
西山は藤堂の意見である強硬策を方針変更する気が無く、逮捕した宮下の自供で森川の共犯説が立証できない場合、藤堂も島も処分すると警告した。
島の足の傷はかすり傷で済んでいた。
山村は病院の宮下を尋問していたが、宮下は森川に対して知らないと言っていた。
藤堂は山村の腕を信頼していた。
島は自分の行動に責任を感じ、辞表と拳銃と手帳と手錠を提出したが、藤堂は慰留した。
山村は弘生警察病院に行き、宮下と会った。
藤堂は島を射撃訓練場に連れて行ったが、島は拳銃に自信を持つことができなくなっていた。
しかし、藤堂は拳銃を握るときには、犯人の命を自分に委ねられたと思うようにしていた。
藤堂はその責任と重圧に耐えられる腕と信念を持つものが拳銃の資格および条件と考えていた。
島は自信を取り戻した。
三上は宮下が自白したことを報告した。
森川はサラリーマン金融で働いていたヤクザの古谷から金を借りてピアノを購入していたが、金を返せなくて強盗の片棒を手伝わされていた。
島は三上から、古谷の恋人の義江の弟が浩であることを聞かされた。
自動車修理工場で働いている浩に古谷が近づいていた。
島は捜査員に、密告者が浩であること、浩が現場に隠れて森川から拳銃を盗み、贖罪として密告したこと、浩が宮下を発砲したことを連絡した。
古谷が浩の密告に気づく危険性があったため、島は現場に急行した。
古谷は浩の前に現れ、浩に拳銃を突きつけた。
島と三上が自動車修理工場に到着し、三上は古谷を格闘で制して逮捕した。
浩は車から拳銃を取り出したが、一係捜査員に包囲された。
島は浩に拳銃を突きつけた。
浩は島が自分を逮捕できるのかと嘲笑したが、島は浩の右肩を撃った。
メモ
*ボスの名言が光る回。
*殿下主演作で初めての拳銃がテーマになった話。後年の殿下主演「撃てなかった拳銃」にも似ているような気がする。(脚本は同じ四十物氏)
*テキサスは拳銃の反射訓練の成果があまり良くなかったが、後に改善されていた。
*反射訓練の成果から、殿下の無実を主張するテキサス。
*宮下が蟹江敬三氏に似ている。病室で喫煙しているがいいのか?
*予告編には、島が森川の葬式に赴き、娘から森川を返してと糾弾されるシーンがあるが、本編では全てカットされている。
*予告ナレーションは一切なし。
キャスト、スタッフ(敬称略)
藤堂俊介:石原裕次郎
三上順:勝野洋
島公之:小野寺昭
野崎太郎:下川辰平
長山久子:浅野ゆう子
西山署長:平田昭彦
浩:小原秀明、古谷:石丸博也
上野綾子、武部秋子、脇山誓史
森川安信:竹田将二(後の竹田光裕)、石崎洋光、厚木つよし
石塚誠:竜雷太
山村精一:露口茂
脚本:小川英、四十物光男
監督:竹林進