第108話「地獄の中の愛」

放映日:1974/8/9

 

 

ストーリー

オートバイを走らせていた高校生が、ダンプカーを避けようとして横転し、死亡する事故が発生した。

高校生は重症の麻薬中毒者であった。

藤堂は捜査員に、麻薬ブローカーの戸川巌(田口計さん)の写真を見せ、戸川をマークすると宣言した。

戸川は3年前(1971年頃)に麻薬密売容疑で逮捕されたが、証拠不十分で不起訴になっていた。

戸川は利口で、自分では一切麻薬の密輸や密売には関与しないが、安全に密輸された麻薬を国内の麻薬密売組織に仲介し、利ザヤを得ていた。

藤堂は捜査員に、戸川の麻薬の入手先と卸し先の捜査を命じた。

野崎と島は戸川を尾行していた。

野崎は戸川が麻薬を5000万円で購入し、1億円で組織に販売し、末端価格になると10億円となるため、麻薬が2kgから4㎏と推測していた。

野崎は被害者の高校生が俊一と同い年の17歳であることを気にし、そのような若者に麻薬を販売する戸川を許せなかった。

石塚と柴田は被害者の高校生の仲間に麻薬のことを尋ねたが、仲間に知らないと述べられた。

柴田が高校生の仲間の腕を強引に捲ったところ、麻薬中毒の痕跡があった。

石塚と柴田は高校生の仲間を検挙した。

戸川はゴルフ場のレストランで食事をしていたが、向かいの席に座った津森親子が置いたマッチ箱を回収した。

戸川は便所に入り、マッチ箱の中の麻薬のサンプルを確認した後、マッチ箱をトイレに流した。

野崎はマッチ箱を回収した。

島が津森の乗用車のナンバー「品川55 と 11-02」を報告した。

車の所有者が津森物産の社長で、東京都世田谷区砧町165番地に住む津森泰造(45歳)(五藤雅博さん)であることが判明した。

津森物産は資本金5000万円で、東南アジアの海産物を輸入販売していた。

津森には城南大学4年の津森恵(21歳)という娘がいた。

城南大学は藤堂が在籍していた大学であった。

藤堂は山村に、戸川と津森の関係の捜査を命じた。

藤堂は深く悩んでいた。

石塚は病院に麻薬中毒者の暴走族を搬送させたが、禁断症状以外何も出なかった。

野崎が回収したマッチ箱からヘロインが検出された。

野崎は津森が戸川との取引相手で、麻薬の密輸先であると確信した。

石塚は藤堂の命令で島と戸川との張り込みを交代した。

恵(菅本烈子さん)は城南大学バスケットボール部のマネージャーをしていた。

部員の北沢良(谷岡行二さん)は恵の婚約者であった。

かつてバスケットボール部に所属していた藤堂は体育館を訪れた。

藤堂は良に、恵を頼むように念押しした。

藤堂は良と恵の仲人を務めることを拒否した。

石塚と柴田は戸川の尾行を、野崎と島は津森の尾行を担当していた。

戸川と津森は高速道路を走行していた。

戸川と津森は羽田空港駐車場に到着して降車し、捜査員も到着したが、2人に気づかれてしまった。

戸川は石塚と柴田の尾行から逃走し、津森は空港の階段を登って逃走した。

戸川は取り押さえたが、津森にはホームからモノレールに乗って逃げられてしまった。

野崎は津森の緊急手配を連絡した。

津森は緊急手配を掻い潜り、流通センター駅で下車してタクシーに乗っていた。

藤堂と山村は戸川を取り調べたが、アタッシェケースの中身は5000万円であった。

戸川は5000万円の使い道と津森の所在を誤魔化した。

山村は戸川に付き合うことにした。

野崎と島は津森を発見し、津森に任意同行を拒否されたため、麻薬密売容疑で緊急逮捕した。

恵は帰宅中に、津森の逮捕の瞬間を目撃してしまい、藤堂に助けてもらうように要求した。

恵は島から津森の容疑を聞かされた。

藤堂たちは津森を取り調べたが、津森のアタッシェケースの中には書物しか入っていなかった。

津森産業は1年前(1973年頃)、手形詐欺に引っかかり倒産寸前になったが、間もなく実績なしに再建していた。

津森はその頃から麻薬の密売をしていると推測された。

津森は釈放された。

藤堂は野崎に津森の尾行を、石塚に戸川の尾行を命じた。

藤堂は麻薬の受け渡しが遅くなれば、麻薬組織が取引を急がせようとしてボロを出す可能性に賭けていた

恵は城南大学のバスケットボール部の部室のロッカーに、麻薬入りのアタッシェケースを隠していた。

津森がアタッシェケースを隠したのは、大井町競馬場から南町まで、矢追町から世田谷の津森邸までのどこかと推定された。

藤堂は城南大学にアタッシェケースがあると直感した。

山村より、恵が城南大学に行き、黒いアタッシェケースを持って大学を去ったという連絡が入った。

恵はアタッシェケースを開け、良に麻薬を見せた。

良は藤堂に報告しようとしたが、恵に津森を売ることを拒否され、婚約を解消された。

良は城南大学を訪れ、藤堂と再会した。

良は恵が黙って婚約を解消したと報告したが、藤堂に殴られた。

良は藤堂に恵を見逃すように懇願したが、藤堂に無視された。

恵は津森にアタッシェケースのことについて電話した。

恵は津森が他人のように思えると話し、津森に麻薬を守るように命じられたが、津森の娘として自分のやり方で償うと言って電話を切った。

石塚は戸川と接触した。

戸川の本拠地である戸川芸能に、麻薬組織の首謀者から、麻薬取引の期日が過ぎているという電話がかかった。

戸川は津森に連絡したが、津森は自宅にも麻薬が無いことを連絡した。

恵が失踪して、1週間が経過していた。

良は恵が自宅にも友達の家にも帰宅していないことで苦悩していた。

一係室に良とバスケットボール部員が入ってきた。

良は恵が一人で贖罪をしていると思っていた。

良とバスケットボール部員は恵の捜索を開始した。

良と藤堂は飲み屋街で、麻薬中毒の禁断症状に陥っていた恵を発見した。

藤堂は津森邸に恵を連れ出した。

津森は病院に通報しようとしたが、藤堂に制止された。

恵は自分にできるたった1つの贖罪が、自分に品物の麻薬を投与することであると考えていた。

良は恵を守ると宣言し、病院に連れて行った。

恵はアタッシェケースの居場所を自白し、津森は戸川に麻薬のアタッシェケースを渡した。

戸川が麻薬組織の社長室に入り、アタッシェケースを渡そうとした瞬間に、藤堂が現れた。

恵はあと1週間で退院できるぐらいに容態が回復していた。

 

 

メモ

*五藤(武内)氏の珍しい悪役。津森の設定年齢は45歳だが、五藤氏の当時の年齢は52歳(60代にしか見えない)

*チンピラ役常連の吉中氏の珍しい善役。(どうみても大学生には見えない(笑))

*谷岡氏は前回「ジーパン刑事登場!」のストーカー気味の凶悪犯を演じており、台詞も少なかったが、今回は爽やかな役で台詞も多い。

 

 

キャスト、スタッフ(敬称略)

藤堂俊介:石原裕次郎

柴田純:松田優作

島公之:小野寺昭

野崎太郎:下川辰平

 

 

永井久美:青木英美

戸川巌:田口計

北沢良:谷岡行二(後の谷岡弘規)、津森恵:菅本烈子

津森泰造:五藤雅博(後の武内文平)、青沼三郎

粕谷正治、城南大学バスケットボール部部員:吉中正一(現:吉中六)、山尾範彦

 

 

石塚誠:竜雷太

山村精一:露口茂

 

 

脚本:播磨幸治

監督:木下亮