第102話「愛が終った朝」
放映日:1974/6/28
ストーリー
豪雨の夜、伸子は藤堂のマンションに呼ばれていた。
藤堂は伸子に、柴田が撮影したカップルの写真をスライドで見せた。
男は吉行彰(19歳)(内田喜郎さん)、覚醒剤の水増しを行っているグループの1人であった。
女は七曲署少年課婦警の三好秋子(江夏夕子さん)であった。
1週間前、七曲署捜査一係は吉行が所属している覚醒剤の密造組織のアジトを突き止めて踏み込んだが、一足違いで品物を他の場所に移転された。
情報漏洩者は三好だった。
伸子はディスコで吉行と踊る三好を張り込んでいた。
三好は伸子に絡んできたチンピラを注意したが、チンピラに逆上された。
吉行がチンピラを説得させようとしたが、逆にディスコの駐車場で殴られてしまった。
伸子のもとに石塚と柴田が訪れ、差し入れを渡した後に張り込みを交代した。
吉行は店で午後5時まで勤務しており、島が張り込みに出動した。
山村は覚醒剤関係の人物にあたっていたが、今回の水増し覚醒剤には巨大な覚醒剤組織は関わっておらず、吉行のようなチンピラが仲間で扱っている程度と考えていた。
柴田は強引に三好か吉行を自白させようとしていたが、野崎に署長が辞職するかもしれないという理由で止められた。
山村は三好に偽の手入れの情報を流すことを提案した。
密造所を突き止めて証拠品を押収する以外に方法がないため、一か八かの賭けであった。
藤堂は柴田に、伸子に作戦を伝えるように要請した。
石塚は警邏部の部長(向井淳一郎さん)に、密造組織のアジトを今夜の11時の手入れのために、20名の応援を求める偽の情報を伝えた。
三好は偽の情報を聞いていた。
柴田は伸子に作戦を伝えた。
作戦は三好の内通を受けた吉行が仲間に連絡し、アジトから覚醒剤を別の場所に移転させたところを検挙するというものであった。
吉行と早退を装った三好が出発し、島が吉行を、伸子が三好を尾行した。
藤堂は、吉行が不良少年の頃に三好が補導して面倒を見たことにより、吉行と三好が恋人同士の関係になったことを知っていた。
三好は自宅のアパートに入った。
柴田は、事件のことで悩む伸子を励ました。
石塚が島の張り込みに同行した。
三好が洗濯物のエプロンを階下に落としたため、三好に伸子の尾行がばれてしまった。
三好は部屋に伸子に招き入れた。
三好は婦警という職業のおかげで吉行に会えたと思い、情報漏洩を後悔しておらず、密造所が発見されないと確信していた。
伸子は三好に対し、三好の情報漏洩を知っているのが捜査一係の捜査員だけだと話し、更生する最後のチャンスだと宣告した。
藤堂は三好が密造所の所在を教えてくれたことにして、以前のことを帳消しにするつもりだった。
しかし、三好は説得に応じなかった。
吉行と仲間の中村努(三井恒さん)はガソリンスタンドでガソリンを給油中、石塚と島の尾行に気づいてしまった。
藤堂は尾行を中止し、警邏課の手入れの中止を連絡した。
吉行は三好が裏切らないと思っていたが、努が三好を警戒していた。
吉行は三好に一緒に逃走するように電話をかけた。
三好は江の島の展望台で吉行と落ち合うことにした。
伸子は連絡しようとしたが、三好の鞄から出した拳銃で脅迫された。
石塚と島は署に帰還し、藤堂は石塚に、伸子と合流して三好を警護するように命じた。
三好は伸子の発言から別の刑事が来る可能性を案じ、伸子を連れて外出することにした。
三好は吉行に裏切ったと思われたくなく、一緒に吉行と逮捕される覚悟ができていた。
三好は伸子に、自分を江の島まで見逃すように懇願し、見逃したら覚醒剤の密造場所を言うと約束した。
三好は伸子を連れ、石塚と一足違いのタイミングで車を出発させた。
三好は車内で柴田のことについて話した。
努は吉行に、三好を殺害する任務を任せ、明日の明け方に密造所に集合し、証拠品を処分するように伝えた。
密造団はこの仕事を最後に廃業するつもりであった。
三好は伸子を騙し、途中の山道で強引に降ろした。
石塚は三好のアパートを引き続き張り込んでいた。
三好は公衆電話にて一係室の柴田に、密造所が横浜のヨットハーバーに停泊している「パール号」の中だということを通報した。
三好は伸子の約束であること、吉行と一緒に逃げて逮捕される覚悟ができていることを強調し、伸子に謝罪して電話を切った。
柴田は藤堂に一連のことを報告した。
一係捜査員は江ノ島に向かった。
三好は吉行と再会したが、ナイフで腹部を刺された。
吉行は三好の鞄を回収して去った。
伸子は遅れて江ノ島の岩場に到着し、三好を捜索したが、三好の遺体を発見してしまった。
吉行はヨットハーバーに戻ろうとしたが、一係捜査員がヨットハーバーに到着したのを目撃し、逃走した。
一係捜査員は麻薬密造団を逮捕した。
吉行は海岸を逃走中、伸子と遭遇し、足元に威嚇射撃された。
吉行は観念し、柴田に逮捕された。
伸子は泣きながら、柴田に三好の遺体の回収を頼んだ。
伸子は藤堂のマンションを訪れていた。
メモ
*当時の新聞のテレビ欄では「ジーパン・シンコ その愛1」と付けられていたらしい。
*「黒幕は誰だ」に続き、訪れた女性にバスローブを着せるボス。
*石原氏の右腕負傷の影響か、ボスがギプスをはめている。
*ジーパン編では数多い、「犯罪者である男を愛し、同情して逃がそうとする女性」の話。しかし、今回は犯罪者と交際している婦警という無理のある設定。また、情報漏洩をするわ、説得を無視してシンコに拳銃を向け、吉行を逃がそうとするわで、非常に自分勝手すぎる女性として描かれている。吉行に刺殺される最期を遂げたが、同情よりも自業自得、因果応報という感情が強い。
*むしろ、自堕落な三好婦警のせいで更生できず、仲間に命じられて殺人を犯し、伸子に拳銃を向けられる吉行の方がかわいそうに思える。
*シンコのジーパンへの差し入れ(サンドイッチ)を勝手に食べてしまうゴリさんが、ゴリさんらしくて良い。
*署長が名前だけ登場。
*三好婦警を「男が見る目がない」と評し、七曲署には自分や殿下のようなかっこいい男子が多いと言うゴリさん。やっぱり良いキャラだ。
キャスト、スタッフ(敬称略)
藤堂俊介:石原裕次郎
柴田純:松田優作
内田伸子:関根恵子(現:高橋惠子)
島公之:小野寺昭
野崎太郎:下川辰平
永井久美:青木英美
三好秋子:江夏夕子
吉行彰:内田喜郎
中村努:三井恒、七曲署警邏部部長:向井淳一郎
石井礼子、長田純一、長橋悟
石塚誠:竜雷太
山村精一:露口茂
脚本:市川森一
監督:木下亮