第98話「手錠」

放映日:1974/5/31

 

 

ストーリー

給料日、石塚は宿直明けにデートを行おうとしていた。

石塚は久美から鏡をプレゼントされた。

中光商事の経理課員である桜井新一と服部悟郎は、信用金庫から社員の給料を引き出して車に乗ろうとした際、松沢達夫(25歳)(溝口舜亮さん)と三原雄次(上田耕一さん)によって脅迫された。

河原にて桜井と服部の射殺体が発見された。

目撃者は発見されなかった。

藤堂は野崎に中光商事の捜査を、柴田に解剖に立ち会って拳銃の種類の調査を命じた。

島は藤堂に被害者の近辺に落ちていた靴ベラを提出し、藤堂に指紋照合を命じられた。

藤堂は石塚と待機した。

野崎は中光商事の社長(五藤雅博さん)から事情聴取を行った。

社長は強奪された金額が1200万円で、経理課員は全員知っていたこと、経理課員は給料日だったこともあり全員出勤していたことを話した。

中光商事には半年前に三原雄次という社員が、100万円を横領したために退職していた。

社長は三原が横領した金を弁済するという約束を信じ、自宅まで取りに行かせたが、三原は引っ越しており、現住所は不明だった。

島から、靴ベラに付着していた指紋照合の結果から、靴ベラが松沢達夫という男の物であることを連絡した。

松沢は北里溶接所の工員で、傷害の前科があった。

石塚は食いかけの天丼を残し、出動した。

石塚は北里溶接所の工員(広田正光さん)に事情を聞いたが、話を聞いていた松沢は逃走した。

石塚は空き地で松沢を取り押さえたが、手錠を松沢の左手にかけた後、松沢にナイフで腹部を刺されてしまった。

石塚は手錠を自分の右手にかけた。

松沢は拳銃を強奪し、手錠を切断しようとしたが、石塚の拳銃に弾が入っていなかった。

サラリーマン風の男(今井和雄さん)が松沢と石塚を目撃したが、松沢に拳銃で脅迫され、逃げてしまった。

松沢は石塚を連れ、石塚の覆面車を奪い取り、車を走行させた。

石塚は手錠の鍵を窓から放り投げた。

松沢は鍵を回収しようとしたが、後ろにパトカーが接近していたため、そのまま車を走らせた。

藤堂は松沢と盗難車(品川55 す-6205)を緊急手配した。

山村は現場に血痕が多数残っていること、石塚が松沢と手錠で繋がれていることを報告した。

捜査員は石塚を捜索していた。

藤堂は石塚を心配していた。

夜になり、倉庫に居座った松沢は、石塚が気絶している隙に石やナイフで手錠を切断しようとしていたが、うまくいかなかった。

石塚は松沢のナイフを取り押さえようとしたが、松沢に暴行され、ナイフを回収されてしまった。

松沢は手錠の鍵を探しに戻ろうとしたが、石塚に抵抗された。

松沢は石塚に手錠さえ外せば病院に行けると忠告したが、石塚はそう簡単には死なないと返した。

松沢はナイフで石塚の手首を切断しようとしていたが、結局石塚が死ぬのを待つことにした。

藤堂は山村とともに、石塚が刺された空き地に赴いていた。

一係捜査員は帰宅せず、宿直室に泊まっていた。

野崎と島は北里溶接社員寮を訪れ、松沢の部屋を捜索していた。

寮母は松沢が実家に仕送りしていたため、遊ぶ金が無く、寮でゴロゴロしていたことを記憶していた。

松沢の机の引出しから、娯楽センターに勤務している三原の名刺が発見された。

三原は娯楽センターに住み込みで働いていたが、3日ほど前から帰ってこなくなっていた。

石塚は目を覚まし、倉庫の壁の隙間から、外にジョニーという大型犬の飼い主(菅沼赫さん)が散歩しに来ているを目撃した。

石塚は針金を発見したが、松沢に見抜かれた。

石塚は久美から貰った手鏡で光を反射させ、飼い主に存在を気づかせようとした。

松沢は石塚に気づき、石塚もろとも2階に引き上げた。

飼い主は倉庫を捜索したが、石塚を見つけることはできず、戻ってしまった。

松沢は石塚に暴行を加えた。藤堂から、玉木町の盛り場で男が拳銃を発砲しているという連絡が入り、山村と柴田が現場に駆けつけた。

派出所からの連絡によると、人相が松沢によく似ていた。

柴田は屋根を伝って発砲犯の気を反らし、山村が拳銃を撃ち落とした。

発砲犯は松沢とは別人だった。

石塚は倉庫なら食料があると気づき、松沢とともに倉庫を捜索し、鮭の缶詰を見つけた。

石塚は缶詰が入っていた箱に硬貨を置き、松沢とともに缶詰の中身の鮭を食べた。

松沢はかつて北海道で開拓をしていたことを話した。

松沢は贅沢な暮らしがしたくて強盗を犯していた。

石塚は松沢が拳銃を所持していなかったため、拳銃を撃ったのが松沢でないと推測し、説得したが、効果は無かった。

松沢は深夜、倉庫を抜け出して三原のもとに電話をかけた。

三原は午後8時に松沢が到着すると思っていた。

松沢は三原に対し、鑢を持って倉庫に来るように要求した。

早朝、松沢は瀕死の石塚と共に寝ていた。石

塚は仲間が裏切らず、ここを発見すると信じ、松沢に自首を勧めた。

ジョニーの飼い主は倉庫でジョニーを遊ばせていたが、ジョニーは盗難車を発見し、飼い主は連絡した。

しかし、野崎と島と柴田が駆けつけた頃には、もう車は発進していた。

松沢は三原のもとに移動しようとしていた。野崎は倉庫を捜索中、鮭の缶詰と4枚の硬貨を発見した。

野崎は段ボール箱の下から、松沢が三原にかけた電話番号「04-5371」のメモを探し当てた。

電話番号は八王子郊外の不定館であった。

松沢は吊り橋を歩いている三原を発見し、三原のもとまで歩いて行ったが、三原が拳銃を発砲してきた。

三原は拳銃で足を撃たれ、吊り橋から転落しそうになった。石塚はなんとか松沢を引き上げようとしたが、意識が朦朧としていた。

そこに山村たちが駆けつけ、石塚を救出し、拳銃を撃ち尽くした三原は坂を転げ落ちながら柴田に逮捕された。

石塚は病院で意識を取り戻した。松沢の傷は大したことがなく、石塚に感謝していた。

石塚は藤堂に天丼がどうなったか聞いたが、天丼は藤堂が食べていた。藤堂は1ヶ月間、石塚が食べる天丼の代金を支払っていた。

しかし、石塚が退院するのは半月なので、石塚が使える分は半月分しかなかった。

 

 

メモ

*ゴリさん生命の危機編。

*刑事が容疑者と手錠で繋がれてしまう話の1つ。他には「手錠が朝日に光った」、「希望のサンバ」、「危険なふたり」がある。

*ジーパンはかっこいい女性と夢の中でデートするのが楽しみらしい。(自分と同じ(笑))

*ゴリさんによると、刑事にはいつ何が起きるか分からないので、身辺整理をきちんと行う覚悟が必要らしい。

*いつもゴリさんに厳しい久美だが、今回は優しく、手鏡をプレゼント。

*拳銃に銃弾が入っていなかったため、手錠の切断を阻止できたゴリさん。なかなかのファインプレーである。(マカロニは跳弾の恐れがあるという理由で実行していなかった。)

*ノンスタントで屋根を登る松田氏。

*山さんが拳銃を発砲。

*松沢が比較的温厚な部類であったことも救いであった。

*ゴリさんは幼少期、鮭缶も食べさせてくれないほどの貧乏だったようだ。

*今回は千葉テレビ放映分をレビューしているが、電話番号のメモにぼかしが入っていた。

 

 

キャスト、スタッフ(敬称略)

藤堂俊介:石原裕次郎

柴田純:松田優作

島公之:小野寺昭

野崎太郎:下川辰平

 

 

永井久美:青木英美

松沢達夫:溝口舜亮

中光商事社長:五藤雅博(後の武内文平)、ジョニーの飼い主:菅沼赫

三原雄次:上田耕一、北里溶接所工員:広田正光

サラリーマン風の男:今井和雄、高村透、春江ふかみ

 

 

石塚誠:竜雷太

山村精一:露口茂

 

 

脚本:柏倉敏之

監督:野村孝