第95話「愛のシルクロード」

放映日:1974/5/10

 

 

ストーリー

高架橋の下で愚連隊の一味である中村昌夫の刺殺体と凶器の包丁が発見された。チンピラ同士のいざこざと思われた。

付近から加害者と思われる伊藤啓一(21歳)(山西道広さん)の定期入れと学生証が発見された。

中村は通称マー坊で、矢追町界隈を根城にしている強請と集りの常習犯であり、場所柄からして学生と顔見知りが多かった。

中村と伊藤に面識がある可能性があった。

伊藤は2年前(1972年頃)に普通自動車の免許を取得しており、凶器に付着していた指紋と完全に一致した。

伊藤は城南大学文学部史学科3年で、本籍は青森県であり、帰省先は実父の再婚先の大崎町山森恵三方、新宿区矢追町3丁目8番地たいら荘に住んでいた。

石塚と柴田は伊藤宅を捜索していた。

石塚は伊藤に金があると思えず、都内に潜伏していると推測していた。そこに山村と伸子が入ってきた。

山村の調査では、伊藤は真面目な学生でチンピラとの付き合いは無かったが、矢追町のスナックでアルバイトをしていたため、お互いに顔見知りと推測された。

伸子は中央アジアのシルクロードのポスターや本を発見した。

伊藤の本の間から、同じ学生の及川弥生(杉田景子さん)の写真が見つかった。

柴田と伸子は喫茶店にて及川の事情聴取を行った。及川はかつて1年前(1973年頃)まで伊藤と交際していたが、去年の秋に別れていた。

伸子は及川が伊藤の殺人について気にしていないことを疑った。

藤堂は伸子の勘を信頼していた。

石塚は藤堂に促され、柴田と共に及川の張り込みを行った。

伸子は藤堂から伊藤の交友関係の調査を命じられた。

山村は愚連隊の一味を取り押さえた。

柴田は及川のアパートの向かいにある工事中のビルで張り込んでいた。

石塚は及川を尾行していたが、特に気になるところは無かった。

早朝になり及川が出発したため、柴田が尾行した。

柴田は城南大学の張り込み中、伸子が合流した。

張り込みを始めて1週間が経過した。

及川が出発し、柴田が再び尾行した。

及川は叔父の夫婦を駅まで迎えに行き、自宅に招き入れた後、駅まで見送っていた。

島が一係室に帰還し、伊藤の故郷が相当な過疎地帯で誰か入っているとすぐ分かること、実母の再婚の影響でほとんど帰省していないため、故郷に帰ることはほとんどないことを報告した。

石塚の張り込んでいるビルに島が到着した。

柴田は雨の中、及川を尾行していたが、及川が3人のチンピラにより車に連れ去られそうになったため、チンピラを叩きのめし、撤退させた。

及川は雨に濡れながらも柴田の手をハンカチで手当てして去った。柴田の尾行が及川にばれてしまった。

柴田は及川が事件に関係ないと思っていたが、藤堂に勘だけで物事を決めつけるなと返された。

藤堂は柴田に対し、及川とデートするように命じた。柴田は及川のハンカチを返しに行く名目で自宅を訪れた。

及川は柴田に感謝し、自宅に招き入れた。石塚は柴田に嫉妬した。

柴田は及川のデートに同行した。及川は射的ゲームの最中、柴田が拳銃を所持しているのを確認してしまった。

及川は柴田に伊藤との経緯を話した。

及川は大学入学後に間もなく伊藤と知り合っており、伊藤はシルクロードを車で縦走する計画に夢中になっていた。

しかし、伊藤は費用の貯蓄のためにアルバイトを重ね、デートをすっぽかすようになったため、及川は別れていた。

伸子の調査により、伊藤が先月末に休学届を出してシルクロードに出発する寸前に計画を中止していること、理由は不明だがその頃から伊藤が陰気になったことが判明した。時期が、中村が矢追町近辺から姿を消し、方々を豪遊していた時期と一致していた。

及川は神社にておみくじを引き、木に結んでいる間に伊藤からの連絡を木から取っていた。それを伊藤が目撃していた。

及川は洗面所にて連絡の内容を確認した。

及川は電車内にて伊藤の向かいに立ち、伊藤の要求通りに柴田から拳銃を盗んで伊藤に渡した。

柴田は駅を降りた後に拳銃を奪われたことに気が付き、疾走した。柴田は及川の部屋に突入したが、及川は帰っておらず、中には石塚がいた。

及川は柴田に謝罪しており、。島は伊藤が先月末に預金を全額下ろしていたことを報告した。

山村は中村の兄貴分である川越が、中村が殺害された直後から姿を消しており、拳銃を持ち歩いているという噂があることを思い出した。

山村は伊藤が銀行から全財産を降ろした直後に、伊藤のシルクロードの縦走計画を知っていた中村と川越に強奪されたという仮説を立てた。

柴田は及川から拳銃を取られたことを悔やんでいた。柴田は神社が及川と伊藤の連絡先だということに気が付いた。

及川は神社に赴き、伊藤からの連絡を探していた最中に柴田に発見された。

山村と石塚は雀荘で川越の弟分から情報を聞き出していた。及川は愚連隊に夢を破壊され、さらに殺人を犯した伊藤に同情していた。

及川は伊藤を愛し、川越の隠れ家を発見していた。柴田は自分の拳銃の22口径では伊藤に勝ち目がないことを伝えた。

及川が川越の隠れ家を自白し、藤堂、山村、石塚、柴田、伸子、及川が伊藤の隠れ家に向かった。

伊藤は金を返すために川越に挑戦したが、川越に右腕を撃たれ窮地に立った。そこに柴田が現れた。

柴田は川越の発砲をかわしながら拳銃を拾い、川越を打ちのめして逮捕した。

伊藤は病院に搬送され、及川も逮捕された。伸子は柴田の腕にハンカチを巻いた。

 

 

メモ

*映画撮影終了のためか、「最後の標的」以来13話ぶりにシンコが登場。

*「シルク道路」byジーパン「ロード」と「道路」はほぼ同じ意味。(笑)

*ただのラーメンを「これが鰻というんですね、まるでラーメンみたいですね」というジーパンが笑える。

*大学の講義(経済学)に出席するシンコ。学生でないのにいいの?

*「捜査は100のうち99までが無駄なことをやっているが、その無駄が最後の1つを生かす」 ボスの捜査に対する信念。

*長さんは前半に青森に出かけたきり登場せず。

*女性に不器用な部分を見せるジーパンが可愛い。

*若手刑事の悲恋話でありながら、拳銃を奪われる話でもある。

*ここのところ、「犯罪者である男を愛し、同情して逃がそうとする女性」の話(「女として刑事として」、「裏切り」、今作、「愛が終った朝」)が続くが、今作が一番同情できるかな…

*「最後の標的」以来、ジーパンの拳銃の腕が確実に上昇しているのがよく分かる。

 

 

キャスト、スタッフ(敬称略)

藤堂俊介:石原裕次郎

柴田純:松田優作

内田伸子:関根恵子(現:高橋惠子)

島公之:小野寺昭

野崎太郎:下川辰平

 

 

永井久美:青木英美

及川弥生:杉田景子

伊藤啓一:山西道広

青木敏夫、森本三郎、尾崎八重

佐藤勝貫、新井一夫、川越の弟分:小坂生男

ノンクレジット 山村と話している男:大宮幸悦

 

 

石塚誠:竜雷太

山村精一:露口茂

 

 

脚本:長野洋

監督:木下亮