第83話「午前10時爆破予定」

放映日:1974/2/15

 

 

ストーリー

石塚は縁談のために、巡査部長昇進試験の勉強に励んでいた。

石塚は乗り気だったが、結婚相手側の父親が平刑事に娘はやれないと言ったためであった。

島と柴田は焼鳥屋で石塚と共に食事をしながら応援をしていた。

城東大学教育学部教授の郡司武彦(波多野憲さん)の自宅宛に差出人不明の小包が届いた。

小包の中には「罪と罰」が入っていたが、郡司が本をケースから出した途端に爆発した。

郡司は上半身に酷い火傷を負っていたが、命に別状は無かった。

爆弾は「罪と罰」のケースの中に入っており、ケースを開けると爆発する仕組みになっていた。

鑑識の結果、爆弾がダイナマイトではないかと思われた。

山村と柴田は郡司と面会したが、郡司には人や学生に恨まれる覚えが無かった

郡司夫人の話から、最近吉岡勝という予備校生から脅迫電話がしきりにかかっていたことが判明した。

吉岡は郡司がアルバイトで教えていた東予備校の生徒で、金持ちの息子であった。

吉岡は郡司に金を届けて裏口入学を頼み込んだが、郡司は協力せずに落第したために、郡司教授を恨んでいると推測された。

吉岡のマンションは七曲署の管内にあった。石塚と柴田は吉岡のマンションを張り込んでいた。吉岡は受験勉強のために部屋を借りていた。

野崎は受験勉強をする時間のために石塚と交代しようとしたが、石塚は断った。

吉岡(田利之さん)が帰宅し、石塚たちは吉岡を尋ねたが、吉岡は逃走した。

石塚たちは吉岡を公園で捕らえたが、吉岡は自分でないと泣くばかりであった。

筆跡鑑定の結果、吉岡が犯人でないことが証明された。

石塚は郡司教授に教わったが落第した受験生すべてに犯行の可能性があると推測した。

一係室に「罪と罰」の主人公のラスコールニコフを名乗る男から、もう一度爆破を行うという電話が入った。

逆探知の結果、荻窪の公衆電話からかかっていることが判明した。藤堂は考え直せと忠告したが、爆弾魔は取り合わなかった。

山村たちは公衆電話に向かったが、既にいなくなっていた。路線バスの最後尾に置かれた紙包みが爆発する事件が発生した。

紙包みの中身は本に仕掛けられていた爆薬であった。

被害者は死者がいなかったが、重傷者2名、軽傷者4名という状態であった。

犯人の目撃者はおらず、気付いたときには紙包みが置かれている状態であった。

バスの路線図から、犯人が乗ったバス停は5丁目か中町であると推理された。

藤堂は石塚に電話番として残るように命じた、試験勉強するように促した。

石塚は図書館で試験問題を調べている最中、郡司の本を見つけた。

本には×で覆われたページがあり、本を借りていたのは安西成夫(武岡淳一さん)という男であった。

安西は東予備校の生徒で、城東大学の医学部を三浪しており、鑑識の結果、貸出申込書と爆発物の小包に書かれた筆跡が一致した。

安西は大沢自動車修理工場で住み込みのアルバイトをしていた。

山村と柴田は大沢自動車修理工場を訪れ、工場長(鈴木治夫さん)を尋ねた。

工場長によると、安西は4日前から姿を消しており、陰気な男で何を考えているか分からなかった。

安西は予備校にも姿を現していなかった。

昇進試験当日になった。

一係室に再び安西から電話が入った。

安西は城東大学病院を午前10時に、建物が吹っ飛ぶほどの爆弾で爆破すると警告した。

藤堂は石塚に対し、試験に行くよう命じて励ました。

藤堂は爆破事件のことを院長(加藤武さん)に話し、入院患者を退避させるよう命じた。

午前9時になったが、石塚は連絡を待っていて試験会場に行っていなかった。

心臓弁膜症の少年の手術を除き、患者の退避が終了したと思われたが、少年の容態が思ったよりも重傷で時間がかかる可能性が出た。

人工心臓を使った手術なので目が離せず、移動が不可能な状態になってしまった。

院長は担当医が動揺しないかを心配していた。

石塚は一係室を出たが、爆破事件が心配ですぐに戻り、ギリギリまで待つことにした。

石塚が試験会場に向かおうとした際に安西から電話が入った。

石塚は電話を録音した際に、安西が「病院」と「勉強」を発言したため、病院が見える位置にある七曲図書館に安西がいると断定し、図書館に向かった。

石塚は七曲図書館に到着し、屋上で安西を発見したが、安西はダイナマイトを持って脅迫した。

石塚は爆破を楽しもうとしている安西に怒りを燃やした。石塚は病院に医師と子供が残っている、死者が出たら取返しがつかないと警告した。

安西は着火したダイナマイトを投げたが、石塚は火を消した。

石塚は生きる勇気があればやり直しができると説得し、安西から爆弾の場所がリネン室の枕の中にあることを聞き出した。

手術が10時までに終わらなくなった。石塚から爆弾の場所を伝える連絡が入り、柴田が爆弾を発見した。

安西はクリーニング屋のアルバイトをしていたため、爆弾を枕の中に仕掛けることができた。

藤堂と石塚は少年の見舞いに行った。

 

 

メモ

*ゴリさんと爆弾魔の初の対決。「爆弾」、「爆破魔」、「ボス、俺が行きます!」とゴリさんは爆弾魔との対決が多い。

*長さんは事件が忙しいという理由で、昇格試験に合格したのが5回目だったらしい。

*今回落第してしまう巡査部長昇格試験。「パズル」でも殿下とともに昇格試験に挑むが、そちらも事件の解決のために試験会場を飛び出している。

*バスの爆破は今回、空いている状態だったために負傷者が少なく済んだが、「愛と怒り」ではラッシュ時のバスだったために被害者が多数という状態になってしまった。

*法律に関する問題が何問か出て興味深い。また、「船が沈没して海に飛び込んだところ、救命道具が1つしか浮かんでおらず、AとBが奪い合った結果、Aが助かってBが溺死した。Aは殺人者になるか」という問題を聞くと、「世にも奇妙な物語」で露口氏が出演していた「三人死ぬ」を思い出す。

*ダイナマイトの出所に関しては不明。

*ボスの席にちゃっかり座る久美。山さんやゴリさんや殿下など大多数のメンバーがボスの席に座っていないので、これは辞めて欲しかった。

 

 

キャスト、スタッフ(敬称略)

藤堂俊介:石原裕次郎

柴田純:松田優作

島公之:小野寺昭

野崎太郎:下川辰平

 

 

永井久美:青木英美

城東大学病院院長:加藤武

郡司武彦:波多野憲、安西成夫:武岡淳一

吉岡勝:田利之、城東大学病院の看護婦:東静子、川口節子、大沢自動車修理工場の工場長:鈴木治夫

岩瀬ゆう子、渡辺市松、内山朋子、市川ひろし

 

 

石塚誠:竜雷太

山村精一:露口茂

 

 

脚本:柏倉敏之、小川英

監督:高瀬昌弘