第54話「汚れなき刑事魂」

放映日:1973/7/27

 

 

ストーリー

柴田は非番の日に、朝食を食べてすぐパチンコをしていた。

柴田は帰宅し、景品として得た大量にタバコをたきに見せたが、たき(菅井きんさん)から缶詰でも貰ってくればいいのにと呆れられた。

スナック「チャネル」内で爆発事件が発生し、藤堂と野崎と石塚と島が現場検証をしていた。

柴田が遅れて駆けつけ、野崎から3人の死亡者が出たことを伝えられた。

柴田は爆死体を見て気分が悪くなった。

山村が、生存者五名の内の二人は意識不明で、1人も面会謝絶の状態だが、残る2人は元気であるため、手当てが終り次第報告することを連絡した。

柴田は藤堂に、病院に行って山村の補助をするよう命じられた。

山村は生存者の1人の池上平吉(武藤章生さん)から事情聴取をしていた。

池上は気が付いたときには爆発が起きて気絶していたと述べた。

柴田は治療室にて、生存者の一人である牧恭一(水谷豊さん)から事情聴取しようとした。

牧は柴田の知人であった。

牧は柴田と再会を喜び、1ヶ月前から「Chanel」でバイトしていること、トイレに行くタイミングが良かったことを言った。

一係室にて捜査会議が行われ、野崎が爆破事件の犠牲者を説明した。

死亡者は「Chanel」のママである滝田染子(東静子さん)、保全信用金庫の理事である川島健太郎(草間璋夫さん)、写真家の梅津圭助(門脇三郎さん)であった。

重傷者は「Chanel」のコックである林和正、俳優である小金井四郎、木下哲也(今井和雄さん)であった。

竜神会組員の池上と、学生でありコック見習いの牧は軽傷で済んでいた。

石塚が鑑識の報告を説明した。

爆発の中心地点は、店の入口に近い川島の席であることが推定され、爆発物はダイナマイトであることが判明した。

現場の遺留品により、目覚まし時計と乾電池を使った時限装置と推測された。

藤堂は特定の人物を殺害するために他の人物を巻き添えにしたと推察し、野崎に犯人の割り出しを、石塚と島に出入りした人物の洗い出しを、山村に被害者の調査を命じた。

久美は柴田に拳銃を渡したが、携帯を拒否された。

山村は牧から調査しようとした。

柴田は牧を良い奴と言ったが、山村から牧が犯人の可能性もあると伝えられた。

柴田は山村に抗議した。

山村と柴田は保全信用金庫を訪ね、幹部の平井栄三(見明凡太朗さん)にあたった。

平井は川島が次の理事長に内定していたが、理事長の椅子をめぐり、内部抗争が起こっていたと述べた。

聞き込みの収穫は出なかった。

池上は病院を脱走し、戸川組の組員(村山達也さん)を刺殺しようとしていたが、柴田に制された。

池上は戸川組が自分を殺そうとしていると直感していた。

組員は組員に追跡され、ナカヨシビル2Fの戸川興業(戸川組)に逃げ込んだ。

柴田は戸川組に侵入したところ、戸川組の幹部の角顔(堀田真三さん)に池上の舎弟と間違われ、拳銃を突きつけられた。
角顔は池上の殺害に発破などしないと告げた。

柴田は自分の身分を伝えた後に、角顔に銃刀等不法所持で逮捕することを宣告した。

柴田は戸川組の組員が抵抗してきたために、全員と格闘して蹴散らした。

石塚は柴田に戸川組の組員を蹴散らしたことを叱咤した。

山村が一係室に帰り、竜神会と戸川組の仲が険悪だが、事件とは無関係であることを報告した。

山村と久美は柴田を慰めた。

山村と柴田はパチンコ店にて牧を張り込んでいた。

牧は、かつて丹沢の飯場で一緒に働いていた作業員(中島元さん)と再会したが、覚えていないと言い張った。

山村は作業員を聞きこんだが、作業員によると、牧は働いて2,3日後に姿を消していた。

丹沢の飯場では、ダイナマイトの数と帳簿が合っていないという事態が発生していた。

牧は先月の半ばに飯場で働いていたために、牧が犯人と断定され、藤堂が令状を取りに行った。

柴田は牧の自宅に向かって牧に聞き込みをしようとしたが、牧の挙動が不審だった。

牧は母親の急病で4時30分の汽車に乗ると誤魔化した。

柴田は牧を信じ、パトカーで東京駅まで送迎した。

藤堂は柴田と牧が乗ったパトカーを手配し、石塚と島を東京駅に向かわせた。

牧は柴田が東京駅で土産を買っている隙に姿を消していた。

牧はコインロッカーで荷物を交換しようとしていた。

牧は柴田と合流し、コインロッカーの荷物を開けようとしていた。

石塚は牧が柴田に暴行を加えようとするのを発見し、追跡したが逃げられてしまった。

牧がコインロッカーに隠していた鞄から1000万円が発見された。

柴田は河川敷にて思いに耽っていたが、そこに山村が駆けつけた。

柴田は未だに牧のことを良い人だと思っており、牧との出会いを語った。

牧は柴田がかつて鶴岡町の交番に勤務していた頃、トラックに轢かれそうになった少女を助けていた。

牧は元々子供が好きであり、一緒に河川敷でサッカーをしたこともあった。

山村は柴田に注意した。

野崎は一係室にて、保全信用金庫の経理内容が杜撰で、使途不明金が1億円あることを報告した。

1億円は川島が横領していたことになっていたため、何者かが川島に罪を着せた可能性が出てきた。

藤堂は、牧が保全信用金庫の幹部から1000万円で殺人を請け負ったと推測した。

山村は新理事長になった平井が怪しいと直感し、張り込んだ。

柴田は平井宅に接近した子供を見て、平井の子供が負傷したとき、牧に平井宅まで送迎されていたことを話した。

石塚は、若い男が保全信用金庫に平井を名指しで電話してきたことを報告した。

牧は報酬を手に入れ損なったため、高飛びができないと推理された。

野崎と柴田は平井を尾行していた。

柴田は自宅にて、たきに何故大量のタバコを買ったのかと尋ねられていた。

柴田は友達の牧が悪い男だと思えないと答え、たきから「刑事には向かないかもしれないが、亡くなった父親そっくりで、そういう柴田が好きだ」という返事を貰った。

牧は柴田宅に電話をかけ、自分がオートレース場にいること、自首をするつもりなので一人で来てほしいと伝えた。

たきは藤堂に、単独で行ってしまった柴田のことを報告した。

石塚と島はタクシーで出発する平井を尾行した。

柴田がオートレース場に到着し、牧も遅れて到着した。

牧はダイナマイトで柴田を脅迫し、手錠を手にかけろと命じた。

柴田は牧を説得したが、無効果だった。

牧は自分が変わった理由と自分の過去を話した。

牧の父親は借金の影響で自殺しており、経営していた小さな町工場が倒産していた。

しかし、牧は誰も助けてくれなかったことで、大学を卒業できなくなり、就職も無くなった。

それ以降、牧は金に執着するようになり、世間への復讐を誓うようになっていた。

平井と石塚と島がオートレース場に到着した。

牧は柴田を上の階に連れ出し、手錠をパイプに繋がせた。

平井は牧に1000万円を渡そうとしたが、石塚と島が駆けつけ、牧を逮捕しようとした。

牧は石塚と島に、拳銃を捨てるように脅迫した。

密かに藤堂と山村と野崎も到着した。

牧は平井を見捨てて1000万円を強奪し、柴田を人質に連れ出して逃走しようとした。

牧は柴田が人質になることを拒否したため、平井を人質に連れ出すことにした。

牧は柴田が手錠を破壊したことで観念し、ダイナマイトを放した。

藤堂と山村は柴田を称賛した。

 

 

 

メモ

*関根氏が映画の撮影に入ったため、しばらく(「新宿に朝は来るけれど」まで)シンコが欠場。

*「特定の人物を殺害するために、他の人物を巻き添えにする爆破」 非常に巧妙で残酷な犯行。後に「愛と怒り」や「島刑事よ、永遠に」でも使われた。

*牧を徹底的に信じるジーパン。しかし非情な形で裏切られてしまう…

*椅子で背中を叩かれようが怯まずに4人を蹴散らすジーパン。空手二段の腕らしい。

*「頑固な奴ですなあ」今回の山さんは若干軽口が多い。

*久美が読んでいたのは「華麗なる完全犯罪」(実在する本?)

*パチンコ店で山本リンダ氏の「狙い撃ち」が流れていた。

*休み中にジーパンが履いているのが下駄というのが時代を感じさせる。

*「就職をパーにした」は「時限爆弾 街に消える」を、「過去の影響で金に執着するようになった犯人」は「愛と怒り」を思い出す。

*手錠を素手で破壊するジーパン。凄い破壊力。

*ジーパン編からボスが現場に出ることが多くなる。

*角顔(戸川組幹部)の名前は劇中未呼称。ソースはノベライズ。

 

 

キャスト、スタッフ(敬称略)

藤堂俊介:石原裕次郎
柴田純:松田優作
島公之:小野寺昭
野崎太郎:下川辰平

 

 

永井久美:青木英美、柴田たき:菅井きん
牧恭一:水谷豊
平井栄三:見明凡太朗、池上平吉:武藤章生
角顔:堀田真三(現:堀田眞三)、作業員:中島元、戸川組組員:村山達也
梅津圭助:門脇三郎、由起卓也、宇留木耕嗣、川島健太郎:草間璋夫、木下哲也:今井和雄、滝田染子:東静子

ノンクレジット 戸川組組員:新井一夫

 

 

石塚誠:竜雷太
山村精一:露口茂

 

 

脚本:長野洋、小川英
監督:高瀬昌弘