第51話「危険を盗んだ女」
放映日:1973/7/6
ストーリー
島はバスで通勤中に、原田京子という若い女性(大原麗子さん)に足を踏まれ、謝罪された。
途中に原田が松尾俊夫という中年の男(灰地順さん)の財布を盗み取るのを目撃し、バスを降りた原田を松尾と共に追尾した。
松尾が原田に抗議した後、島は刑事と名乗った。山本町派出所で、原田の鞄の中を拝見した結果、松尾の財布が見つかった。
しかし、松尾は財布が似ているけれど違うと否認し、原田は島に謝罪を強制させた。
島の謝罪を確認したため原田は去ったが、帰り道で松尾と再び遭遇した。
松尾は原田から財布を強奪しようとして島に見つかり、逃走した。島は踏切で逃げられてしまった。
後日、松尾の遺体が各下水に繋がっている川から発見された。
松尾の遺体は手を縄で縛られ、タバコの火をつけられたと思われる火傷があったために、リンチされていたと推測された。
島は遺体が松尾と確認し、一係室にて事件を報告した。財布に人が見られてはならない物が入っている可能性が出てきた。
松尾は推定年齢42~43歳、鑑識の結果、死因は後頭部挫傷、死亡時刻は今朝の午前3時頃であり、衣服からごく少量のシアンが検出されたことが判明した。石塚が松尾の身元を報告した。松尾は公文書偽造(偽札の原版作り)の前科5犯で、先月の末に出所していた。
報告書によると、偽札の原版づくりでは3本の指に入るレベルの実力者であった。
藤堂は島に原田からの事情聴取を、山村と野崎と石塚と早見に矢野川のドブさらいを命じた。
藤堂によるとシアンは印刷の原版を洗うために使用し、シアンの垂れ流しは現在禁止されているために、上流に偽札工場があると推測された。
一係室に、管内のマンションの空き巣が入ったために、応援を要請する通報が入った。
早見は二係室の手が空いていないのをいいことに、空き巣事件を担当することにした。
早見は空き巣の被害者である原田の自宅に向かった。
原田は警察に通報する気が無かったが、管理人が勝手に通報していた。
原田は片づけないと盗まれた物が分からないこと、未婚であること、デザイナーをしていることを述べた後、警察に帰るよう要請した。
早見は島に、空き巣の被害者が女スリとそっくりであることを連絡し、島も駆けつけた。
島は原田に松尾が殺害されたことを告げ、財布の中身を尋ねたが、原田は財布の中身を答えようとしないまま島と早見を帰らせた。
帰り際に島は、空き巣が偽造団の一味で、偽札を取り返そうとしているのではないかと推測した。
原田は偽札の入った財布を水槽に隠していたが、水槽から出して中身を確認し、偽札であると確信した。
島と早見は外出した原田を追跡したが、偽造団の一人である奥村(土方弘さん)にも尾行されていた。
原田は高級レストランで食事をしていた。
原田は食事後、島と早見を挑発した際に自分の伝票をこっそり入れていた。
原田を追跡していた島は、原田が偽造団メンバーの2人に拉致されかけているのを目撃した。
島は原田を助けようと偽造団の2人と格闘したが、奥村に後頭部を殴られて気絶させられてしまった。
原田と島は車内に拉致された。早見は一係室にて島との行動を藤堂に報告した。
野崎が空き巣事件の報告書を持ってきた。報告書には、拳銃事件で指名手配中の奥村の指紋が発見されたことが書かれていた。
奥村は拳銃密輸の大手商人である秋山の弟分であった。
秋山(武藤英司さん)と奥村は偽札工場にて、原田から偽札の隠し場所を聞き出そうとしていた。
秋山は口を割らない原田を島と共に、地下室に監禁した。奥村は地下室の机の下に盗聴用マイクを仕掛けていた。
島は偽札の財布の隠し場所を質問したが、原田は島が立ち回りしている隙に島のポケットに財布を入れていた。
島は原田に、偽札を敵のポケットに入れてくれないかと提案した。
目的は秋山たちに偽札を使わせることで、警察が工場を突き止めやすくさせることであった。
島は偽札に、警察に連絡乞うと記入した。
秋山と奥村と部下2名が地下室に入り、島から財布を強奪しようとしていた。
島が部下2名と格闘している隙に、原田は秋山に駆け寄って秋山の財布を盗み取った。原田はすぐに偽札を入れて秋山のポケットに戻した。
奥村は偽札が1枚足りないとして原田から聞き出そうとしたが、原田は答えなかった。
島は秋山たちに偽札の番号が同じなので銀行で露見しているだろうと告げた。
しかし、秋山は元々偽札を日本で使う気はなく、外国で使って拳銃を大量に買うつもりであることを伝えた。
島は食事を要求し、秋山は最後の晩餐として偽札の1万円札で出前を購入してくることを伝えた。
一係は未だに島と原田の所在を掴んでいなかった。偽造団のメンバーが、中華料理の出前を持ってきた。
野崎によると、採集した水を全部調査するのに明日の夕方までかかるとのことだった。
出前の青年が中華料理屋に帰り、おつりの金の3000円を渡した。朝になっても、島からは連絡が来なかった。
島と原田は結局中華料理を食べなかった。原田は諦めかけていた。原田はネズミの死体を発見し、島は料理に毒が入っていたと確信した。
偽札の印刷が完了し、奥村と部下2名は地下室に向かったが、島と原田は気絶したふりをしていた。
島が部下2名と格闘している間に、原田は奥村の拳銃を盗み取り、島も部下から拳銃を奪い取った。
島と原田は建物から脱出しようとしていたが、大勢の部下たちが追いかけようとしていた。
島は屋上に逃げ、原田は浴室に隠れた。しかし、原田は浴室から出ようとした隙に偽造団の一味(吉中正一さん)に捕まってしまった。
西多摩市の中華料理屋の女将(岸井あや子さん)が偽札を発見した。
石塚は藤堂に島と原田の居場所が判明したことを報告し、出発した。
島と原田は拳銃の弾が尽きたために、秋山と奥村によって窮地に立たされていた。藤堂たちが工場に到着し、偽造団全員を逮捕した。
後日、原田は一緒のバスに乗り合わせた島から警察手帳を盗み取った。原田は島のおかげで足を洗う気になったとして自首をした。
メモ
*スリの技術を起用にこなす原田。「太陽」史上でもトップクラスの腕。
*偽札の原版と聞くと「ニセモノ・ほんもの」を思い出す。「ニセモノ・ほんもの」の犯人の若林は相当の熟練者だったが、松尾も同等の腕を持っていたということか?
*その松尾も財布をすられ、刑事に同伴されてしまったのが運の尽きであった。
*スリ、偽札、ドブさらいなどが初登場。
*運よくドブさらいを回避するマカロニ。
*原田により、高級レストランの1万2000円を払わされるマカロニと殿下。「ありがとう、テキサス坊や」でテキサスは同じような目に逢う。
*ゴリさんはドブさらいが大嫌いらしい。マスクを付けた方がいいのでは?
キャスト、スタッフ(敬称略)
藤堂俊介:石原裕次郎
早見淳:萩原健一
島公之:小野寺昭
野崎太郎:下川辰平
原田京子:大原麗子
秋山:武藤英司、松尾俊夫:灰地順
奥村:土方弘、北川陽一郎(未登場)、中華料理屋女将:岸井あや子
亀井三郎、宮田弘子、奥山正勝、金子富士雄、久本昇、久保田鉄男
ノンクレジット 偽造団の一味:吉中正一(現:吉中六)
石塚誠:竜雷太
山村精一:露口茂
脚本:田波靖男、四十物光男
監督:竹林進