第43話「きれいな花にはトゲがある」
放映日:1973/5/11
ストーリー
半月前から3日おきに、一係室の石塚宛に大きな花束が贈られるようになっていた。
一係の面々は冷やかしたが、石塚は贈られる理由がさっぱり分からなかった。
石塚が桐野大吾に関する事件の裁判の打ち合わせで検事局に行く最中、七曲署に石塚の結婚相手と名乗る西田とも子(二本柳敏恵さん)が現れた。
西田は藤堂と面会した後、ホステスとして勤めているクラブ「deroi」のマッチを残した。
藤堂と石塚は「deroi」に赴き、石塚と西田が初対面することになった。
石塚は西田を全く知らなかったが、西田は同僚のホステスに石塚を婚約者と紹介していた。
石塚は西田になぜ結婚をしなければならないのかと抗議し、西田は怒って立ち去ろうとした。
石塚は西田を引き止めようとした際、西田をテーブルに転倒させ、負傷させてしまった。
藤堂は署長室に呼ばれていた。
署長室に、西田の代理人として沢村弁護士(高野真二さん)が来訪していた。
沢村の目的は石塚を告訴することで、石塚の容疑は結婚詐欺と暴行傷害であった。
沢村は、
*西田が石塚の暴力によりテーブルの角に顔をぶつけたため、口の中が切れていること
*石塚が西田の結婚の約束をして5万円を騙し取ったこと
*西田が殺されても示談には応じないつもりであること
を述べた後に、署長室を去った。
署長(南原宏治さん)は藤堂に、石塚の取り調べを開始すること、石塚の起訴が確定した場合にはすぐに懲戒免職にさせることを命じた。
山村と早見が石塚の取り調べを、野崎と島が西田の取調べをすることになった。
西田は2月13日(火曜日)の深夜1時頃に小さなスナック「ジュリー」で石塚と出会ったこと、石塚が月給の前借をするのは嫌だということで5万円借りたことを述べた。
西田は石塚と家具を見に行き、ベッドの予約をしたことも告げた。
藤堂は一係の面々に、石塚の容疑を晴らすことを目的として西田の供述を1つ1つ潰していくよう命じた。
山村は銀行員の浜口に、石塚が西田の印鑑と通帳を持って預金を下ろしに来たのかと尋ねたところ、浜口は日付も金額も明確であると答えた。
島は家具屋に尋ねたところ、石塚の名義で1万円預かったと証言した。
野崎は「ジュリー」にて、マスター(鹿島信哉さん)に結婚の話をしたのかと尋ねたところ、マスターは当日の行動を正確に話した。
結局、石塚の容疑は決定的のままであった。
藤堂は石塚を食事に誘ったが、その光景が写真に撮られ、新聞の一面を飾ってしまった。
署長は会議室で藤堂の行動を非難したが、藤堂は石塚の何を知っているのかと抗議した。
署長は石塚を謹慎させること、捜査を二係の手に回すことを命令した。
石塚は辞表を出して拳銃と手帳と手錠を返還したが、藤堂は逃亡及び証拠隠滅の恐れがあるとして山村に石塚を逮捕及び留置させた。
捜査員は石塚を白だと信じており、藤堂は辞職覚悟で全員に捜査を命じた。
捜査員は再び浜口と家具屋と「ジュリー」マスターにあたったが、結果は何も出なかった。
藤堂は検察庁を訪れ、検事(奥野匡さん)と会った。
検事は相手が政財界の怪物である桐野であり、有罪の決め手が石塚の証言1つで決まるために、石塚を心配していた。
桐野事件は他に証人2名がいたが、前言を否定していた。
山村はスキャンダルと裁判沙汰で石塚を刑事失格に追い込み、桐野の有罪の決め手を無くすことが目的だと推測した。
桐野事件の犯人は死の直前に裏で殺人を指示したのが桐野と証言し、石塚と同行していた医師と看護婦もそれを聞いて証言していた。
医師と看護婦は証言を翻していた。浜口ら3人の証言がどれも似たような台詞であること、言い逃れを用意していることが引っかかった。
裏で弁護士が手を引いていること、証言者が買収及び脅迫されていることが推測された。
藤堂は一係に、石塚の留置期限である明日の午後3時、桐野の第1回公判がある明後日までに石塚の冤罪を晴らすよう命じた。
医師(野村明司さん)と看護婦は山村に、よほど確かでないかぎり証明すべきではないとして証言を撤回したことを述べた。
山村は医師と看護婦が自分の目を見ないことを気にし、一生を壊さないようによく考えるよう警告した。
伸子は浜口を、島は家具屋を、野崎は「ジュリー」マスターを帰宅まで尾行したが、何も聞き出すことはできなかった。
早見は山村の成果を信じたが、山村も看護婦から証言を聞き出すことはできなかった。
藤堂は石塚を釈放し、藤堂と石塚は沢村弁護事務所に赴いた。
沢村弁護士は石塚のような不誠実な男が刑事であることを許せなかった。
藤堂は石塚が西田と約束通り結婚することを報告し、示談に持ち込むことと石塚の辞職回避に成功した。
藤堂は沢村弁護士を張り込み、石塚は西田のマンションに行くことになった。島は西田の部屋の前に石塚名義の花束を置いた。
沢村弁護士は西田に電話をかけ、石塚の起訴が不可能になるために部屋を出て逃亡するよう命じた。
西田は部屋を出た際に島に呼び止められたが、隣の部屋にいた男と共にエレベーターに乗せられた。
男はエレベーター内にて、西田に送迎の車が来ているので走れと伝えたが、エレベーターの前に野崎と伸子がいた。
しかし、男2人と野崎が格闘している隙に、西田は車に乗ってしまった。
伸子はマンションに赴いた石塚に西田を誘拐した車を報告し、追跡させた。
西田は車内の男たちが自分を殺害すると直感した。
石塚の車が西田を載せた車に追いついた。
追跡の末に西田を載せた車は一斗缶の地帯に激突し、爆発した。
西田は石塚によって救助された。
藤堂が高級中華料理店にいる桐野(山本武さん)と沢村弁護士を尋ね、西田たちが逮捕された事実を告げた。
石塚に拳銃と手錠と手帳が返還され、伸子が石塚に花束を贈った。
メモ
*「オシンコ刑事誕生」以来、5話ぶりに一係全員が揃った。
*「ある日、女が燃えた」のときのように証拠が無く窮地に陥る一係、「正義」や「ゴリさんが殺人犯?」のときのように冤罪をかけられそうになるゴリさん。
*女性に疎いゴリさんを狡猾で厄介な罠にはめたグループ。殿下だったらうまく対処できた?
*相変わらず無能すぎる署長。
*ゴリさんの本籍地は「長崎県長崎市大浜町2-3」、現住所は「新宿区藍住町5-18 まどか荘内」
*山さん「俺だってやりたくてやっているわけじゃないんだ!」 マカロニ「適当にやろうよね」 皆のゴリさんを想う気持ちは強い。
*ゴリさんは煎餅布団でないと寝ることができないらしい。
*長さんですら「気が狂っているとしか思えないよ!」と怒る始末。
*殿下がゴリさんのものと似たような青い背広と青いシャツを着ている。
*怒りながらパスタを食うゴリさん。
*ボスは10年前から(1963年頃)一緒に仕事をしてきたらしい。(ということは「石塚刑事殉職」までを総計すると約19年間、長い年月)
*BGMの使用パターンがいつもと異なる。
*「太陽」初のカーアクション。しかし、「この仕事が好きだから」などと同じく冗長。予告でもカーアクションの映像がメインになっている。
*今回は斎藤監督の「太陽」初監督作品。
キャスト、スタッフ(敬称略)
藤堂俊介:石原裕次郎
早見淳:萩原健一
内田伸子:関根恵子(現:高橋惠子)
島公之:小野寺昭
野崎太郎:下川辰平
署長:南原宏治
西田とも子:二本柳敏恵(現:二本柳俊衣)、沢村弁護士:高野真二(現:高野眞二)
桐野大吾:山本武、検事:奥野匡、医師:野村明司、桐生かほる
「ジュリー」マスター:鹿島信哉、籾山豊、浜口の上司:加藤茂雄、宮原貴子、安藤純子、宗岡千恵子
石塚誠:竜雷太
山村精一:露口茂
脚本:小川英、鴨井達比古
監督:斎藤光正