第41話「ある日、女が燃えた」

放映日:1973/4/27

 

 

ストーリー

深夜、山村と石塚は車を走らせていた。

山村は不審な炎を発見し、消火した。

燃えているのは山下梨絵という女性であった。
山下の焼死体の近くに、遺書のようなものや300万円が入った通帳が発見された。

山下のマンションの管理人は何も知らなかった。
野崎は船で暮らしている山下の兄(森本景武さん)に遺体の確認を要請した。
山村は遺書が山下の筆跡かどうか確認したが、その通りであった。
山下の兄によると、山下は最近生活が狂ってしまい、自宅にも寄り付いていない状態であった。
山下はコールガールをしているという噂があった。

監察院での結論によると、死因は全身火傷であり、自殺と考えられた。
山村は山下の死因に疑問を抱き、捜査の続行を申請した。
山村は風俗業界の男(石井宏明さん)に山下のことを尋ねたが、知らなかった。
風俗業界の男によると、大きいビルを建てる洋裁店「CAN」の中にコールガールの組織があるという噂があった。
山村は「CAN」に赴き、店長の河村真紀(牧紀子さん)に山下のことを聞いたが、河村は知らないと述べた。
しかし、山村が下の事務所で入手したモデルクラブの写真帳には、山下が写っていた。
河村は、1度2度使ったモデルの顔を覚えていないと伝え、山村を帰らせた。
河村は日本でもトップクラスのデザイナーで、アメリカにも店を出そうとしているほどであった。
「CAN」のモデルがタクシーで出発し、山村と石塚が尾行した。

モデルは高級料理店で食事をしていた。
山村と石塚は食事を済ませた後に、モデルの乗った外車を山道まで尾行したが、到着した先には別荘が点在していた。
外車の持ち主は河村であったが、河村はショーの打ち合わせでデパートに行っており、外車もデパートの駐車場にあった。
外車が逃げ込んだ別荘の中の一軒に泊まっていたのは、南米のある政府の調査官であった。
山村が鑑識に山下の遺体の再調査を申請したが、鑑識課長の友村(西川敬三郎さん)が今朝に、署長の許可を取って山下の遺族に引き渡してしまっていた。
友村は捜査一課が、山下の遺体を自殺と断定したからと述べたが、山村は捜査中だと抗議した。
山村は山下の兄を訪ねたが、山下の遺体を火葬にしてしまっていた。
署長が捜査中止の命令を出したために、捜査の費用を出すことができなくなってしまった。
藤堂は山村に捜査費を渡した後に、気の済むまでやれと告げた。
山村は河村を尾行し、河村が赤い外車に乗ったことを確認した後はタクシーで尾行した。
山村は河村のマンションを発見したが、駐車場で山村の顔を見て驚愕していた、寿司屋の出前の男(土屋靖雄さん)が気になった。
一係室で島は、山下が深夜密かに船から家財道具を持ち出していたという報告をした。
山下は母親の名義で三鷹にある土地を購入し、家を建てようとしていた。
土地と合わせると2000万円という高額なので、山下一家には手が出ないと推測した。

山村は河村が主催する新作発表会の会場に赴いた。
山村は待合室で喫煙していたが、モデルから河村のことを話したいと誘われた。
モデルは河村が嫌いなので、部屋で話すと言って近づいたが、モデルは服を割き、山村が乱暴してきたと叫んだ。
山村は署長室に招集され、署長(南原宏治さん)に、解決した事件なので無駄な金や時間を浪費するなと抗議された。
山村は署長に休暇をとれと言われた後、病院で高子の薬を購入していたが、その薬は保険が降りなかった。
山村は再び河村のマンションを訪れたとき、再び寿司屋の出前の男を発見した。
出前の男の寿司桶の中には札束が入っており、山村は強引に出前の男を河村の自宅まで向かわせ、自宅に侵入した。
山村は河村の自宅の浴室で、麻薬と注射器を発見した。山村は河村の生あくびから河村が麻薬中毒者と察していた。
河村は山村に700万円の小切手を渡し、スウェーデンに心臓発作の完全治療に成功した病院があるという情報を言った。
河村は高子の心配をするそぶりを見せ、事件から手を引くようにということ、薬を返してと要求した。
しかし山村は小切手を破り捨て、決して事件から退却しないことを告げた後、山下の最後の客を言ったら麻薬を返すと迫った。
河村は麻薬の中毒症状に耐えられず、最後の客が大創製鋼会長の息子の影山英俊であると答えた。
山村は麻薬を浴槽に捨てた後、救急車を呼んだ。

影山の父親の影山悠作は政界の黒幕でもあった。
山村は最悪の場合、藤堂の職も危ないことを心配していたが、藤堂に心配しないように励まされた。

山村は影山(浅香春彦さん)を追跡していた。
山村は早朝に、かつて自分に冤罪をかけようとしたモデルが乗車しようとしているのを発見し、同乗した。
山村は強引にアクセルを踏み、真実を言わないと二人で心中することになると脅迫した。
モデルは、影山がモデル達に覚醒剤を打たせ、幻覚症状を楽しんでいたために嫌われていたこと、山下はお金のためなら何でもする人だったために、モデル達は死因が覚醒剤の打ちすぎだと推測していたことを告げた。
山村は山下が影山の部屋で急死したこと、家族を家で買収して自殺で打ち止めにしようとしたこと、間に入ったのが河村ではないかと推測し、藤堂に報告したが、河村は運ばれた病院で自殺していた。
野崎は影山から山下の家族に直接金が出ないと証拠にならないと報告した。
山村は影山の行為を許せないうえに、事件を闇に葬らせたくないために捜査を諦めたくなかった。
石塚は山村に、影山が今晩に未開発地域の調査団として1年間海外に行くこと、現在出発前の打ち合わせを重役としていることを報告した。
野崎は山村を宥めた。
外を歩いていた山村のもとに鑑識助手の高田(北川陽一郎さん)が現れ、山下の爪の間から山下のものでない肉片が発見されたと報告した。
高田は山下が絶命直前に影山を引っ掻いたと考え、影山の体に傷跡があると推測した。
監察院の友村はその事実を隠蔽していた。高田は喜んで証人になると告げた。
山村のもとに藤堂が駆けつけ、捜索令状がないことを告げたが、山村は自分の仕事だと言った。
山村は強引に会議中の影山を訪れ、影山の胸にあるひっかき傷を確認した。
山村は警部補に降格させられてしまった。野崎は友村が隠蔽したことを認めたことを伝えた。

 

 

メモ
*「女性が燃えた」ことから始まった事件は、後に「刑事・山さん」でも使われている。
*ゴリさんと山さんは高級料理店だからなのか、アイスクリームを注文。
*ステーキを食べるモデルたちを睨みながらイチゴ味のアイスクリームを食べるゴリさん。
*ゴリさんと山さん、高速道路でバリケードを壊しているぞ。
*「スウェーデンの病院」情報の真偽は不明。もしも真実であり、ここで買収されていた場合、「刑事の妻が死んだ日」の悲劇は無かった…?

*山さんの弱点の一つは「心臓病の高子」。この弱点は「切札」でも相手に使われてしまう。
*「知りたいことを知るためならどんな汚い手でも使う」 山さんの行動の原理がこの言葉に収束されている。今回、山さんの「真実を知るためになら違法行為も躊躇わない」一面が明かされた。
*七曲署一係お得意の、「真実を喋るまで車を高速で発進する」戦法が初めて使われた。ほかに「怒れ! マカロニ」、「父と子の再会」、「したたかな目撃者」、「鹿児島・東京・大捜査線」、「戦士よ翔べ!」で使用されている。
*殿下「いつもの山さんらしくないですよ」→山さん「いつもの俺がどんな俺だっていうんだ!」 今回の事件、証拠を消されたこと(遺体は火葬され、家族は買収)、影山の非情な悪事、買収行為に冷静ながらに大きな怒りを燃やしていた山さん。
*「太陽」のタイトルバックに使われそうな、美しい夕陽。
*無能な署長。
*高田助手の勇気ある一言。
*「これは俺の仕事なんだ」 山さんがボスに対してタメ口を使った唯一のシーン。

 

 

キャスト、スタッフ(敬称略)
藤堂俊介:石原裕次郎
早見淳:萩原健一
島公之:小野寺昭
野崎太郎:下川辰平

 

 

七曲署署長:南原宏治
河村真紀:牧紀子、影山英俊:浅香春彦
森るみ子、芦田昌子、会議場前の男:池田生二、寿司屋の出前持ち:土屋靖雄、風俗業界の男:石井宏明、杉浦千江子
友村課長:西川敬三郎、高田助手:北川陽一郎、佐野哲也、会議場前の男:向井淳一郎、会議場前の男:今井和雄、山下の兄:森本景武、佐野禎男

 

 

石塚誠:竜雷太
山村精一:露口茂

 

 

脚本:鎌田敏夫
監督:土屋統吾郎