第39話「帰って来た裏切者」

放映日:1973/4/13

 

 

ストーリー

藤堂は刑務所にて、来月に出所する白木剛(宍戸錠さん)という男と面会していた。

白木は懲役7年の刑だったが、保釈がついて5年で仮出所できることになっていた。

藤堂は白木に、自分の友人が待つ北九州の工場で勤務するよう伝えた。

白木は自分の密告の影響で戸川組の幹部が逮捕されたために、戸川組の連中に恨まれていると推測した。

白木の母親である房江は東京に残っていたが、白木は母親より恋人の松崎みどりとともに九州に行くと述べた。

松崎は5年間、白木を待ち、手紙を絶やさず、月に1度の面会日にはどんな日でも来ていた。

白木によると、松崎はバー「黒猫」に勤務していた。

藤堂はバーの女将の町子(27歳)(平井道子さん)に松崎の居場所を尋ねたが、知らなかった。

松崎は車内で戸川組の組員と来栖(川辺久造さん)に問われていた。

組員は白木が出所して松崎と結婚するのではないかと推測した。

来栖は密告した者が幸せになるのは調子が良すぎると思っていた。

来栖は松崎を絞殺した。

早朝、松崎の遺体が発見され、藤堂たちが駆けつけて身元を確認した。

野崎は一係室にて、犯行推定時刻が昨夜の8時から9時前後であること、車が盗難車であることを報告した。

ちょうど藤堂と島が「黒猫」で飲んでいた時刻であった。

藤堂は島に、かつて解散した戸川組の資料を借りてくるよう命じた。

山村と野崎が6年前(1967年頃)の事件を説明した。

麻薬売買のもつれでの殺人事件であったが、その時に戸川組の幹部であった白木が自首していた。

藤堂は大幹部か組長が殺害し、身代わりで自首したと推測し、白木を厳しく問い詰めた。

山村が取調室に白木房江(菅井きんさん)を連れだしたところ、房江は白木を殴った。

数回の取調べの末、白木は自白した。

藤堂は白木の出所直前に松崎が殺害されたことが偶然とは思えないと推測した。

藤堂が出所した白木を訪ね、松崎が殺害されたことと松崎を守ろうとしたが手遅れだったことを伝えた。

藤堂と白木は、房江のいるアパートのゆたか荘を訪れた。

房江は松崎の供養をしていたが、白木は仏壇で自分の遺影を発見した。

藤堂は白木が殺害された場合、警察の威信に関わると言った。

島は「黒猫」を訪れ、酒を飲んでいた白木を発見した。

白木は町子に松崎の居場所を聞いていたが、町子は知らなかった。

来栖は白木に電話をかけ、もっと苦しまなければならないこと、次は房江を殺害すると宣言された。

来栖は房江が経営しているおでん屋の屋台で食事をしていた。

そこに白木も現れ、酒を注文した。

房江と白木が屋台の営業を終わらせて一緒に帰宅している最中、川本治郎(20歳)という男が爆弾を投げ込んだ。

白木は島の一声で屋台を投げ出し、屋台は爆破された。

房江は負傷してしまった。

島は川本を追跡したが、逃げられてしまった。

島は「黒猫」で川本を発見し、強制的に連行した。

川本は印刷工であった。

山村は川本に対し、厳しく尋問した。

川本は白木が川本を知らないと証言しために、早朝に釈放されてしまった。

野崎は川本を尾行していたが、野崎も白木に尾行されていた。

川本は駅の売店で、隣にいた女に野崎が尾行していることを伝えられた。

川本は線路を伝って、野崎のいないホームに逃げ込み、電車に乗った。

野崎はホームに取り残された。

白木は川本を捕まえたが、藤堂が尾行していた。

白木は西永福駅で降り、空き地にて川本に暴行し、誰に頼まれたのかと尋ねた。

白木は川本が知らないと答えたために川本を苦しめたが、藤堂が駆けつけて川本を連行した。

来栖は町子から、戸川組の組員を利用し、刑事の注意をそらした隙に白木を殺害することを提案された。

来栖は、雀荘にいる戸川組組員の西田(内田勝正さん)に電話をかけた。

房江は屋台を買おうとしたが、資金の無さで買えなかった。

白木は西田率いる組員によって空き地に連れ去られ、暴行された。

房江が白木を庇いに来た。

白木は房江を殴った西田たちを追い払ったが、拳銃を構えた来栖が来た。

来栖は白木と房江を始末しに来たこと、自分が松崎を殺害したことを伝えた。

藤堂たちが駆けつけ、来栖に発砲し、来栖を逮捕した。

藤堂はチンピラの復讐にしては異様に手が込んでいて、執念深いことを疑問に思っていた。

山村は女の手口と推測し、藤堂は戸川組関係の女性を当たるように要請した。

満智子は猫を毒殺し、水筒に毒を詰めていた。

七曲署の刑事(玉川伊佐男さん)が一係室に、戸川組関係の女性のリストを持ってきた。

リストの中に満智子の名前があった。

町子は本名を木村知子といった。

島が町子のアパートを訪ねたが、満智子は黒い着物を着て外出していた。

藤堂が白木宅に電話をかけたが、白木は松崎の墓がある「のぞみ霊園」に向かっていた。

藤堂と島ものぞみ霊園に向かった。

白木は町子と電車で相席になり、一緒に墓参りをしていた。

町子は白木に毒入りの酒を飲ませようとしていた。

藤堂と島が駆けつけ、満智子を逮捕した。

藤堂は白木が危うく墓の前で自殺したことになるところだったこと、町子が組長の愛人だったことを告げた。

町子は戸川組の組長の後妻になるところだったが、白木の密告のせいで台無しになっていた。

藤堂は白木に再出発するよう告げて去った。

 

 

メモ

*「ボスと出所してきた宍戸錠」という点で「父と子の再会」と似ている回。

*1回解散している戸川組。その後梶田組や響組、竜神会とともに矢追町を牛耳るが、「石塚刑事殉職」で再び解散。しかし、「デュークという名の刑事」のあたりでは再建されていたようだ。

*山さんは白木の事件を境に犯人の落としに取り掛かるようになったらしい。

*「鶴が飛んだ日」や「スコッチよ静かに眠れ」で犯人のアジトとなる「黒猫」が初登場。

*この後にジーパンの母親の柴田たきを演じる菅井きん氏が出演。宍戸氏と菅井氏の年齢差は7歳(!)。

*「彼は立派な刑事だった」と同じ場所で密会している川辺久造氏。

*内田勝正氏が若い。

*マカロニは今回、何もしていない。

*玉川伊佐男氏が演じる七曲署の刑事。「俺たちはプロだ」で七曲署に転勤してきた田丸と同一人物かは不明。

*「刑事の指に小鳥が…」に引き続き、表裏の顔が激しい女性が登場。

 

 

キャスト、スタッフ(敬称略)

藤堂俊介:石原裕次郎

早見淳:萩原健一

島公之:小野寺昭

野崎太郎:下川辰平

 

 

白木剛:宍戸錠

白木房江:菅井きん、七曲署刑事:玉川伊佐男

来栖:川辺久造、西田:内田勝正

町子(木村知子):平井道子、村井宏、佐羽裕子、小貫瑞恵

ノンクレジット 雀荘の男:大宮幸悦、雀荘の男:小坂生男

 

 

石塚誠:竜雷太

山村精一:露口茂

 

 

脚本:石松愛弘

監督:竹林進