第4話「プールサイドに黒いバラ」

放映日:1972/8/11

 

 

ストーリー
雨の降る夜、石塚と早見は一係室にて将棋をしていた。

石塚と早見の勝負では早見が勝った。
伸子が雨で「宗吉」の客が来ないという理由で、一係室におにぎりの差し入れを持ってきた。
石塚と早見はかじりつくが、伸子に料金50円を徴収された。

伸子は恵まれない子供たちに、料金を寄付することにしていた。
一係室に歩道橋から転落した死体の通報があった。

死因は打撲による首の骨折だった。
早見は不用意に歩道橋の手すりに触れようとしたため、石塚に叱咤された。
美山(山東昭子さん)は早見に事件のことを聞こうとしたが、早見に拒否された。
死体の身元が、世界商事アジア部に勤務している相川正弥(独身、28歳)と判明した。
鑑識からの報告によると、相川の遺体からかなりのアルコール分が検出されていた。

相川は死亡した当日に香港から帰国しているため、泥酔して歩道橋から落ちたものと推測された。

早見は歩道橋から立小便をしたという過去を話し、山村に叱咤された。

相川は事故死の可能性が強くなった。
石塚は、転落死体にもかかわらず、前ではなく後ろに泥がついていたことから、後ろ向きの手すりに寄ったあげく、そのまま転落したと考えた。

七曲署は事故と他殺の両面から捜査をすることにした。
相川の同僚に昨日の相川の動向を聞いたところ、相川は昼過ぎに香港に帰り、仕事の報告をした後に退社していた。

帰国日は会社の規定で休日だった。

相川はオリエントホテルのプールの会員で、よく通っていた。

相川の同僚は相川が金回りを良くしていた理由が分からなかった。
石塚と早見は手分けをして、早見がマンションを、石塚がプールを捜査することとなった。
マンションの管理人は相川が帰宅したのが午後3時であると証言した。
マンションの玄関の事務所は6時に閉まってしまうので、相川が夜の何時に外出したかは分からなかった。

早見は女性の毛髪を拾った。
プールの支配人である岸和田(浜田晃さん)は、相川が午後2時頃に来ていたことを証言した。
岸和田は、ロッカールームの受付係で会員のサービス係担当の岡村(浜美枝さん)に、相川のロッカーを開けるよう要請した。
相川は2時10分にプールを訪れ、2時30分に帰っており、会員同士で親しいものがいなかった。
相川の行動をまとめると、

*午後12時15分に羽田着の航空便で日本に帰国、午後1時前に退社した。
*午後2時10分にオリエントプールに現れ、20分で帰り、午後3時頃に帰宅、午後11時頃に死亡した。
相川は給料以上の生活をしていたが、島の捜査によると、相川の実家は平凡な農家だった。
早見の考えは、相川が近日中に会社の重役の娘と結婚することになっていたので、昔の恋人が彼を恨んで殺害したというものだった。
麻薬捜査官が以前取り組んでいた事件と関連があるという本庁の意向により、七曲署は捜査から手を引くことが決定した。

相川は麻薬の運び屋をしていた。
麻薬捜査官の話では、刑事が嗅ぎまわると密輸組織が感づいて、隠密に捜査ができないとのことだった。
早見はこの事件から手を引かず、プールの岡村から調査しようとしていた。

早見はプールに潜入し、溺れたフリをした。
早見は岡村にデートを要求したが、断られた。

山村は竹内(片岡五郎さん)と麻雀をしていた。
記者たちは山村からネタを聞き出そうとしたが、山村が頑固に転落事件と言い続けたために諦めた。
早見はバーで岡村と一緒に酒を飲み、岡村に相川のことを聞いた際、岡村の動揺した表情を見た。
早見は岡村の背中から抜けた毛髪を採取した。

岡村の毛髪と相川の部屋にあった毛髪が一致した。
石塚は「宗吉」で酒を飲んでいた。

泥酔した宗吉(ハナ肇さん)は、石塚が伸子とデートをしたと冗談を言ったため、娘を刑事の嫁にはさせないと激怒した。
早見は石塚に、岡村の毛髪と相川の部屋に落ちていた毛髪が一致したと伝えた。
しかし石塚は、岡村がプールに勤務していたのはつい最近であり、相川がプールの会員になったのはずっと昔であるため、岡村が犯人ではないと答えた。
石塚も事件から手を引いていなかった。

石塚は岸和田を尾行してまかれたが、今度は島が尾行した。
山村の捜査により、関西で麻薬の売人とされている南栄造がオリエントホテルに宿泊していることが判明した。
山村と野崎も事件から手を引いていなかった。

岡村は相川の部屋に入ったことを認めた。
プールの受付に岡村宛の電話がかかった。

電話の声は、写真の男が七曲署刑事であることを密告した。
島はバーで岸和田を張り込んでいた。

南(深江章喜さん)はバーで岸和田の隣に座ったが、すぐ部屋を出た。
島はチンピラの足を蹴ったため、チンピラと乱闘になってしまった。

石塚も乱闘に加わった。

石塚と島は藤堂に、尾行中に乱闘騒ぎになったことを叱責された。
石塚と島
は面が割れているため、早見がメインとなって岸和田をマークすることになったが、公務ではなく個人的行動なので、藤堂から警察手帳を預けられた。

石塚と早見はラーメンを食べながら張り込んでいた。
朝になり、岸和田が外出した。

岡村が岸和田のマンションに向かったため、早見も追跡した。
岡村は岸和田の部屋を調査していた際、岸和田の部下に呼び止められ、鞄だけ持ってすぐに退出するのであれば取引現場に行かせるが、余計なことをするのであればすぐに消すと脅迫した。

岸和田の部下は岡村を殺害しようとしたが、早見に阻止された。
早見は岸和田の部下を花瓶で叩きつけて撃退し、詰問しようとしたが、岡村に叩かれて気絶した。

岸和田の部下は手錠で拘束されていた。
置かれていた手紙には、自分が麻薬捜査官の小林房江と書かれていた。

早見は麻薬捜査本部の自動車を尾行した。
南と岸和田はプレハブ小屋で取引をしていたが、小林がプレハブ小屋に到着した。

早見は麻薬捜査官に呼び止められた。
岸和田は置物の中に隠した麻薬を出したと同時に、小林に拳銃を突き出した。
麻薬捜査官(宇南山宏さん)は、1年越しの捜査で黒幕の正体を探りたいので、早見に吹き込むのを待つように命じた。
岸和田が小林の荷物を調査し、コンパクトに偽装した通信機でどこに話したのかを詰問した。
早見は小林の悲鳴を聞いて待てなくなり、駐車されていたオートバイでプレハブ小屋に突入し、部下を蹴散らした。
南は麻薬捜査官に逮捕された。

岸和田は拳銃を撃って逃走したが、早見にオートバイで追われ、格闘の末に逮捕された。
岸和田は相川を殺害したこと、相川が都合のよいときだけ運び屋をやり、急にもう止めたと言ったので殺害したことを自供した。
岸和田は黒幕の正体を自白しなかった。

小林は早見の行動のせいで大物を取り逃がしたと悔しがっていた。
藤堂は署長(野口元夫さん)に、厚生省から厳重な抗議が来ていると叱咤された。

小林は早見に感謝した。

 

 

メモ
*予告ではタイトルが「あの女を追え!」になっていた。タイトルが前回と被るから変更したのかな?
*麻薬Gメンの村岡房江(今回は小林房江)初登場。以後、ジーパンやテキサス、ボンと組んで活躍する。(ジーパン:「別れは白いハンカチで」、テキサス:「ありがとう、テキサス坊や」、ボン:「赤ちゃん」)
*「太陽」初の麻薬事件。
*捜査室の将棋はまだ本物の将棋セットではなく紙将棋。
*おにぎり頬張りながら電話に出るゴリさん。
*立小便をしたと話すマカロニ。法に引っかかるぞ。(「俺の拳銃を返せ!」でも立小便をし、そして「13日金曜日 マカロニ死す」では工事現場に立小便をした結果…)
*カレーに生卵をかけるゴリさん。そしてそのまま聞きこむゴリさん。早見も言っていたが食いながら聞きこむなよ。(笑)
*水着美女にうっとりするゴリさん。
*溺れたフリをして岡村の谷間を見るマカロニ。セコいぞ(笑)。
*「事故なんてくそ面白くもねえ」by山さん
*宗吉は伸子を刑事の嫁には絶対させたくないようだ。これは「ジーパン・シンコ その愛と死」にも受け継がれる。
*椅子で頭を叩かれようが、ビールの瓶で叩かれようがひるまないタフなゴリさん。
*なぜか面が割れているゴリさんも張り込んでいる。
*マカロニは他の刑事に比べて格闘が不得意だが、物を投げることでカバーしている。
*後半の無線担当はゴリさん。
*ラストに署長が登場。署長が次に出るのは「男のつぐない」で、演者も南原宏治氏に交代している。

*南の名前は劇中未呼称。ソースは台本。
*今作は田波氏と四十物氏の太陽初執筆作品。四十物氏はマカロニ編とジーパン編は田波氏との共同名義だが、「テキサス刑事登場」より小川氏との共同名義が多くなる。そして四十物氏は最終回近くまで「太陽」に参加し続け、多くの名作を書き上げる。

 

 

キャスト、スタッフ(敬称略)

藤堂俊介:石原裕次郎
早見淳:萩原健一
内田伸子:関根恵子(現:高橋惠子)
島公之:小野寺昭
野崎太郎:下川辰平

 

 

小林房江(村岡房江):浜美枝(特別出演)
南栄造:深江章喜、岸和田:浜田晃、麻薬捜査官:宇南山宏
美山優子:山東昭子、竹内六郎:片岡五郎、署長:野口元夫、永谷悟一
新聞記者:峰恵研、新聞記者:池水通洋、山田貴光、浅井みゆき、都家歌六、田川恒夫

 

 

石塚誠:竜雷太
山村精一:露口茂

内田宗吉:ハナ肇

 

 

脚本:田波靖男、四十物光男

監督:澤田幸弘