我々がより大なる善を享受することを妨げるような善は、実は悪である。なぜなら物は我々がそれを相互に比較する限りにおいてのみ善あるいは悪と言われるからである。
およそ何びとも、自分が善と判断することは、より大なる善への希望あるいは損害への恐れからでなくてはこれをないがしろにしないこと、また何らかの悪は、より大なる悪を避けんがためあるいはより大なる善への希望からでなくてはこれをしのばないこと、これは人間の本性の普遍的法則である。言いかえれば、各人は2つの善のうち自分がより大であると判断するものを選び又2つの悪のうちで自分により小であると思えるものを選ぶ。