『今日からこちらに配属になりました。茂木忍です。よろしくお願いします』
新人研修を終えて配属先が決定して今日からここで働くことになった
"茂木くんの指導係は…向井地よろしく頼む"
「向井地です。よろしくお願いします。」
向井地先輩の教え方はめちゃくちゃ分かりやすい
でもそれに付いていけない時に申し訳なくなる
『あの、すみません。さっき教わったことで申し訳ないんですがここまで出来たんですけどこの先がわからなくなっちゃって…』
「あ、うん。ちょっと見せて………。
うん、まずはここまで出来たのすごいよ、よくできたね。考え方も合ってる。
で、この先は…だから、……にする。
どう?私も説明うまくなくてごめんね」
俺が追いつけないだけなのに向井地先輩に謝らせてしまった
俺がミスをした、単純なミスだ。
なのに…部長に怒られてるのは向井地先輩で何も悪くないのに
『向井地先輩すみません、俺の確認ミスで』
「え?違うよ、茂木くんの責任じゃない。そのチェックを怠ったのは私。今度は私も一緒に気をつけるから頑張ろうね」
『すみませんでした…』
マジで凹んだ…
俺ってばいつも小さな所でミスる
子供の時からずっとだ
気をつけてたつもりだったのに
その日初めて向井地先輩にご飯を誘われた
先輩はお酒そんなに強くないみたいで顔も赤くてほろ酔い状態でいつもと違う雰囲気だ
「私なんか全然覚えられなくて先輩にすごく迷惑かけたよー。でも茂木くんは飲み込み早いし、一生懸命ですごいよ、羨ましいなー。
だから、1回のミスでそんなに落ち込まないで大丈夫だから」
『俺ってそんなに顔に出てますか?』
「うん、耳があったら垂れてるみたいでかわいい、ふふふ」
ドキッ!!
かわいいのはどっちだよ///
「それじゃ、また明日ね」
『いや、あの。送らせてください
あ、ダメなら家までなんて言わないんで…
あ、でも彼氏がいたら迷惑ですね…』
うまい言葉が見つからない
むしろ変な事ばっか浮かんでくるし
「茂木くんって優しいね。
彼氏いないし、それじゃ送ってもらおうかな?」
頬がほんのり赤く染まってる先輩を一人で帰したくなかった
「帰り道気をつけてね?」
酔ってる向井地先輩ダメだ///
可愛すぎる//
いやさ、身長差はあるけどさ、あの角度は////
俺は誓った!
あんなミスはもうしない。
向井地先輩に謝らせることがないように仕事に励んだ
好きな人を悲しませたくない
向井地くん、これから頼むよ
「至らないところが沢山ありますが精一杯やらせていただきます。よろしくお願いします」
向井地先輩の頑張りが評価されてチーフになった
それからだ…
まだ残ってる
また残ってる
俺も仕事が上手くこなせなくて何度も残業してるが、先輩はそれ以上だ
確かにチーフともなれば俺が知らない沢山の業務をやってると思うが、いくらなんでも多すぎじゃないか?
"向井地くん、先方に直接説明行ってほしいんだけど行けるか?"
え、課長??お前が行けよ?課長の取引先の仕事やん
「はい。わかりました」
先輩も断ればいいのに上司の言葉だと言えないだろうけど…
"あちらが向井地指名してきたんだ
書類はこれだから、よろしく頼む"
嘘だろ!??量ありすぎだろ、なんでデータ化してねーんだよ
しかもあそこの会社の課長の担当って色々と有名なおっさんだったよな…
『ムカつく…』
[ダメだよ、止めなよ、茂木くんまで目つけられちゃうよ]
込山がなんか言ってるけど
知るか、そんなこと
『課長…』
"なんだ、茂木。"
[な、なんでもないですよ、ね??茂木くん]
『いくら何でも量が多すぎかと…』
"あ?先方が紙で用意しろって言うんだから仕方ないだろ?何が言いたいんだ。早く仕事に戻れ"
[はい、すぐに戻ります。行くよ]
掴まれた腕を解く
『自分もその案件関わってます。量が多いと思うのと勉強したいので付いて行かせてもらいたいんですが…』
"茂木には茂木の仕事があるだろ、それが終わってるなら『終わってます』
………
なんとか課長を黙らして先輩の手助けができるかわからないが付いてきてしまった
『先輩、持ちます』
「あ、うん。ありがと」
大量の書類を車に乗せて発進させる
助手席でもパソコンと書類に目を向けてる
急に言われたから急いでまとめてるのか、だとしたら1人だったらどうしていたのだろう
「茂木くん、私に付いてきても勉強にならないと思うよ?」
書類に目を向けながらそんなことを言われた
『え、いや…』
本当の理由は違くて勉強と嘘ついたから言い訳が何もできない
「茂木くんこっち向いて。ネクタイ曲がってる」
『あ、すみません///』
「え、あっ、ごめんね///行こっか//」
行きの車で作ったのか書類とパワーポイント両方で説明する先輩はカッコ良すぎて言葉にならなかった
いやー向井地さんみたいな可愛らしい方が来てくれたからここに決めたいところだがもう少しこれと言うものが…
先輩を下から上に舐めるようにみやがって
さすが有名クソジジイ
こうなったら…
『すみませんが私からも一つ宜しいでしょうか?』
「茂木くん!?」
何だね…君は。今は私と向井地さんが大事な話をしているんだ。本来なら外に出ていてほしいものだが…
誰がこんなジジイと先輩を2人きりにするもんか
『御社と弊社の内容をデータ化したファイルにまとめたのでこれで今後はやりやすくなるかと思いまして、提案させていただきました。
先輩、これお願いします』
先輩にデータ化したファイルを渡そうと思ったら手が震えていて落としてしまった
その後、クソジジイを黙らせるファイルを渡し、後から来た担当者と無事に契約を済ませることができた
帰り道
行きと違って先輩は窓の外に目を向けている
会社の地下駐車場に着いたから降りようとすると
「茂木くん…」
『は、はい』
急に声をかけられた
「さっきは本当にありがとう…」
『あ、いえ。自分はあれくらいしか。
って、え!?先輩?』
「…グスッ、あれ?グスッ、戻らなきゃグスッ」
ギュッ
『嫌なら突き飛ばしてください』
俺より小さな体で責任を負い、上司に無理な仕事を振られ、クソじじいにあんな風に見られたら誰だってこうなるよ
本当はこんなやり方ダメなんだろうけど体が反射的に動いて抱きしめてしまった
「グスッ、こ、怖かった…グズッ」
俺のスーツの袖を握ってる
なんて声をかけていいか分からず、そのまま抱きしめることしかできなかった
「ごめんね、ありがとう///」
同期会
『俺、向井地先輩に告白しようと思う』
篠「えー、茂木は歳上が好みだったんだw」
村「歳上だっていいじゃん!」
篠「俺は彩希が好きだよーww」
岩「はいはいwヘタレ茂木が告白なんてできる?…頑張ってよ??」
『ちょっと色々あってね…今度こそ!』
北「うまくいくといいね」
『当たって砕けたら慰めてくれよ?』
『先輩、まだ残ってるんですか?』
「ううん、今日はもう終わり」
『ちょっと話いいですか?』
「いいよ。どっかお店行く?」
『あ、いやここで大丈夫です!』
「うん?」
やべー。緊張する
でも、同期に話して腹括ったんだ
『向井地先輩』
「は…い」
『好きです、、///』
言った、俺言ったぞ。よく言った俺!
「えっ////」
ちゃんと、ちゃんと言う
『付き合ってください///』
「嘘…私?///」
え?ここには向井地先輩しかいないですよ
『はい、向井地先輩が好きです//』
「え、待って//だって、え?いつから////」
『気付いたら…です//
仕事の時はキリッとしててカッコよくて、
でもプライベートは可愛くて///
仕事ではまだ追いつけないけど先輩の側にいたいって思っちゃったんです』
「/////////」
『せ、んぱい??』
「ずるいなー…///」
『え???』
俺なんか悪いことしちゃってたかな
うざかったか
「あんなにかわいい顔してたと思ったら、
優しくて気遣ってくれるし、
知らないうちに成長してカッコよくて守ってくれる///」
『え、/////』
そんな、ちょっと待ってくれ
「いいよ///付き合ってあげる///」
『え、ま、マジ?いや、本当ですか??////』
コクンッ
うわ、やべ、え?嬉しすぎる
顔赤くして上目遣い、本当に可愛いんだって///
『あ、ありがとうございます///
すげー嬉しい//やった、良かった//』
先輩が付き合ってるのは会社に内緒ということにするため出る時間を変えて後に待ち合わせ
家まで送っていくと
「2人の時は先輩じゃ…いやかも////」
くぁーーー可愛いすぎる!抱きしめたい!!
『美音///って呼んでいいですか?』
「うん、ありがと//」
『えっと、それじゃ美音また来週//
おやすみなさい///』
ヘタレな俺はここで帰ることを選ぶしか
「茂木くん。」
『は、はい!』
「私も好きだよ///おやすみ///」チュッ
「キャッ//」
『先輩、美音こそ可愛くてずるいで、、す//』
反射で咄嗟に手を掴んだ抱きしめてしまった
こんなことするつもりなかったのに
『おやすみ』
「…うん///」