Twitterでフォローしている人たちの間で、最近はよくこの本の名前が出てくる。文脈としては、権力はますます移ろいやすくなっているので、自分たちは政府や組織に頼らず、好きなことをやっていこうという主張の中で、この本を引き合いに出すことが多い。
出版当時に読んだ覚えはあるが、記憶がおぼろげだったので、久しぶりに読み返してみた。作者本人も一時期は政府高官だったので、権力を行使する際の制約がますます高まっていることを痛感しているようだ。
私個人も小さな政府を信奉しており、税金はできるだけ少なく抑え、政府機能は国防・治安・道路など外部性の高いごく一部の分野に限定すべきだと考えている。これは国家政府のみならず、会社組織にも通ずる。多角化経営よりも、自分の専門に特化した企業のほうが強いと思っている。
一方、自分のアンテナが受信している狭い世界だけかもしれないが、最近は無政府論があまりにも多く聞こえるように感じる。税金の無駄は多い、セーフティネットは自己責任、政府に管理されない通貨はすばらしいなど、どれも正しい側面はあるが、それを過度に推し進めた結果は果たして望ましい結果なのかに疑問を感じる。「北斗の拳」のような世界はある意味自由と言えるかもしれないが、その世界で実際に生活したいという人は極めて少ないだろう。(例えが古くて申し訳ない。)
実際に本書も権力の終焉について、さまざまの問題点を提示している。例えば、シングルイシューやポピュリズム政党の躍進により、与党政権は不安定になり、広い視野に立った政策がなかなか実行に移せないことがあげられる。
最近は技術やシステムの進歩などにより、社会全体の透明性が高まり、私腹を肥やす政治家が少なくなった。その分政治家の一人ひとりは小粒になったようにも感じる。私腹も肥やすが社会に大きなインパクトを与える政治家と清く正しく何にもしない政治家は果たしてどちらが社会的ロスが大きいのだろうか。なかなか悩ましい問題である。
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権力の終焉
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