戦線拡大と上海出兵

 今年は1937年7月7日の盧溝橋事件に始まる日中戦争開戦から80年の節目の年だ。

 80年前の今頃、日本国内の軍部は、中国の戦場に向けて数十万の大軍を送り込む
 準備を始めていた。

 中国大陸に最初から駐屯していた関東軍なども華北に進出したので、当初に

予定されていた「上海地区だけで軍事行動を打ち切る予定」は守られずに戦線は

拡大する一方だった。

 やがて、戦勝気分に陶酔した日本国内の強硬派に影響された閣僚らの中にも、

戦線拡大論を唱え出す者が現れるようになる。

 その場の空気に流された右傾化の熱狂が、どれほど危険なものかを、日中戦争

開戦直後の歴史は教えてくれている。