岩井 寛「作家の墓を訪ねよう―明治の文豪から現代作家まで148人の墓碑案内」 | chisaの水色blog

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岩井 寛
作家の墓を訪ねよう―明治の文豪から現代作家まで148人の墓碑案内

今回の一冊感想文は、岩井寛の「作家の墓を訪ねよう―明治の文豪から現代作家まで148人の墓碑案内 」です。


(長~い)タイトルを見てわかるとおり、148人の作家達の命日が日付順に並んでおり、お墓の場所や写真、絶命時のエピソード、享年や戒名まで載っている本です。


逆に言えば、148通りの最期それぞれに感慨深いエピソードや故人を回顧した手記等が記載されているので、中には胸を打つものもありますし・・・取り上げられているのが作家だけに、辞世の句絶筆文なども取り上げられており、とても読みごたえがある一冊でした。


特に、作家や歌人の奥さんや子供には同じく作家になった方も多く、最期の様子を手記などで発表している為に、一つひとつが作品のようなレベルの表現や文章のものが多いので情景がありありと目に浮かんできます。


正岡子規の「糸瓜咲いて痰のつまりし仏かな」や、

高浜虚子の「春の山屍うめて空しかり」等の辞世の句はもちろんですが・・・

26才で亡くなった石川啄木の死に際して若山牧水が詠んだ、「病みそめて今年も春はさくら咲き ながめつつ君の死にゆきにけり」等も紹介されています。


何度も「(こんなに早く死ぬのは)くやしい・・・」と繰り返して、咽頭結核で29才にしてこの世を去った天才童話作家、新美南吉


「自分の胸をあけて、早くここに水をぶっかけてくれ。死ぬと困るから」といって胃潰瘍の為に苦しんだ直後、愛娘が泣き出した時「泣いてもいいよ」とう最後の言葉を遺して死去した近代文学の巨峰、夏目漱石・・・


他にも、病気で死亡した人のエピソードは言わずもがなですが・・・特高刑事の拷問で死亡した人、飛行機事故で死んだ人、赤貝のヒモが喉に詰まって死亡した人まで(!)色々な最期があり、それぞれに濃い人生が凝縮だれていて感慨深いです。

やはり病死原因は結核が多いですね・・・(^^;


そして、川端康成、永井荷風、有島武郎、太宰治、芥川龍之介(厳密に言えば自殺じゃなくて自決の三島由紀夫)等々、自ら命を絶つ作家達も多かったんだと再認識・・・


また作家や歌人達だけに・・・戒名にも、もの凄い漢字が並んでおります・・・(^^;

一例を挙げれば・・・


田山花袋の「高樹院晴誉残雪花袋居士」

与謝野晶子の「白桜院鳳翔耀晶大姉」

江戸川乱歩の「智勝院幻城乱歩居士」(「幻城」っていうあたりが乱歩らしい・・・)

竹久夢二の「竹久亭夢生楽園居士」・・・


ちなみに、私の大好きな泉鏡花は「幽玄院鏡花日彩居士」との事です。(「幽玄院」だなんて鏡花にピッタリ!ですね)


全部にお墓の写真も載っているのですが・・・昭和初期の代表的な女流作家である岡本かの子などは、息子が彫刻家の岡本太郎氏なので、太郎氏のお墓(太陽の像に似たお墓)と並んでお墓がある様子なども掲載されていて興味深いです。


読み終わった後はもう一度学生時代に戻った気分で日本作家達の名作を読み直したい気分になりました(*^^*)

この本を片手にお墓参りめぐり・・・というのも良いかも・・・