認知行動療法とは、 行動療法(学習理論に基づく
行動変容法・理論の総称)と認知療法(認知や感情に
焦点を当てる心理療法)との総称です。
【はじまり】
「認知行動療法」という呼び名が最初に現れたのは、
ドナルド・マイケンバウムの著作のタイトルです。
行動療法では認知や感情も行動の一部であるという解釈が
あり、認知療法のアルバート・エリスやアーロン・ベックは
積極的に行動療法的な技法を取り込んで発展させて行われ
ました。そのため、次第にこの両者は統合されました。
それまでの行動療法が対症療法的で、個人の経験や葛藤を
考慮していないために再発や別の症状が出るという批判も、
認知や感情を重視するようになったためほぼ解消されたと
いえます。
認知行動療法のテクニックは、人それぞれが持つ認知構造や
スキーマが、人生において出会ういろいろな状況に反応したり
適応したりする方法を形づくるという想定の下にあります。
【どんなもの?】
誤った認識・陥りがちな思考パターンの癖を、客観的でよりよい
方向へと修正する、避けたがっている問題とあえて向き合うことで
徐々にトラウマに慣れさせる、悲しみを外に出し心を癒すことで
気持ちの安定を得る、などの方法を組みあわせることで、精神的な
苦痛と、それに伴う身体的な症状を改善していく治療法です。
鬱、PTSD、パニック障害、解離性障害、複雑性悲嘆、強迫神経症など、
多種多様な精神的疾患で、その高い効果が報告されています。
自身で手引きを参考にしながら出来る、比較的、手軽な方法から、
それが困難な場合には、専門の医師に治療してもらう方法まで、
ただし疾患の種類や症状の重さによっては、トラウマへの介入・想起に
より強い苦痛や葛藤を伴い、場合によっては悪化することもあるため、
クライエントの状態を判断して治療することが重要です。
治療の進め方としては、現在、医院ではクライエントに無理が
ないように時間をかけて、徐々に問題と向き合う方法が主に行われて
いるが、逆に短期間に問題と向き合うショック療法的な認知行動療法も
あります。
この療法では、症状が出ることとなった精神的な根本要因にまで
さかのぼって問題と向き合うため、記述や口述などによる、当事者の
過去の想起や暴露が必要となります。
そのために認知行動療法の中でも、特に暴露法が取り上げられることが
あります。こうしたことから認知行動療法とは、認知の歪みを客観的に正し、
クライエントが自身で感情や考え方の安定したコントロールが出来る
ようにすることで、問題に囚われた精神状態から無事、脱却し、
再び同じ心身状態に陥ることを防ぐ治療法といえます。