先進医療の中で高額な技術として、がんに対する重粒子線治療の1件当たり300万円もするものもありますが、件数的に多かったのは乳がんに対するセンチネルリンパ節の同定と転移の検索(2010年にはSNBは保険適応となり、標準治療になってきている)の5万円でした。先進医療の平均は33万円で、対象者は合計2万人程度です。したがって、金額的にも対象者のうえでも、医療費全体に占める割合は決して高くありません。
先進医療を実施できるのは、対象となる手技に対して一定の実績のある医療機関に限られ、これらの医療機関では有効性と安全性のデータを集め、報告することが義務付けられています。そして、有効性と安全性が検証された段階で公的保険の適用となります。したがって、「先進医療」であるということな、いまだ有効性と安全性が十分検証されていないことを意味し、医療保険財政への負担が大きすぎるから保険給付の対象になっていないわけではありません。
ところが、こうした事実は理解されておらず、また国民の医療費のリスクを回避したい気持ちが強いので、先進医療を特約に加えた保険商品が増えています。なお、民間の医療保険は、公的保険における高額療養費制度について広報しておらず、実損型(患者の自己負担分を保証)の保険商品で保証される金額は、3割の自己負担額よりも格段に少ない点も触れていません。
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