ロータリーエンジンの祖先
ロータリーエンジンの燃焼サイクルも、発明者の名前からヴァンケルサイクルと呼ばれる。発明者はドイツのフェリックス・ヴァンケル(1902-1988)で、基本構造を考案したのが彼が17歳のときだったといわれている。
なんらかの回転運動を行う構造の機関という意味では、ロータリーエンジンはレシプロエンジンよりもはるかに古い歴史を持っており、その祖先は1588年にイタリアの技術者ラメリーが記述した「回転ピストン式揚水ポンプ」にまで遡ることができる。その後、1967年にはマツダが量産に成功し、コスモスポーツに登載されて市販にこぎ着けた。現在では登載する車種が限られる状況であるが、コンパクトで高回転・高トルクな特性がスポーツカーに適していることに変わりはなく、根強いファンは多い。
・ロータリーエンジンの動作
よく知られているように、トロコイド曲線を持つ繭型ハウジングの内部を、三角おむすび型のローターが回転しながら吸気→圧縮→膨張→排気の行程を繰り返すのが、ヴァンケルエンジンの構造だ。基本的にはオットーサイクルなのでP-V線図にすれば同じになるが、おむすびのローターの3つの燃焼室がそれぞれサイクルをなすのでややこしくなる。
ローター1回転で4ストロークの1サイクルを完了する。そのときクランクシャフトに相当するエキセントリックシャフトが3回転するので、1サイクルが180゜(通常の4サイクルは720゜)に相当する。ただし燃焼室が3つあるのでその間に3回爆発して、2サイクルのような1回転に1回の爆発間隔になる。
各ストロークはエキセントリックシャフトの角度で270となり、同じ回転数の4サイクルエンジンの1.5倍の行程時間が確保されているので、高回転に向いている。また1サイクル(3回転)当たりの吸入体積は排気量の3倍なので1回転当たりの吸入体積は排気量に一致する。1サイクル(2回転)当たりの吸入体積が排気量に一致するレシプロエンジンと比較すると、排気量は2倍になるので、トルクは2倍になる仕掛けだ。ただしその分、燃費も大排気量相当になる。
マツダ
広島県府中町。乗用車・トラックの開発・製造。企業・ IR情報、製品情報、主要車種の歴史。
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