1日4時間ちょっとの歯科医って、最高ですね

朝10時~夜10時まで働いていた時には、心身ともに疲れていました

でも、今は全ての方に誠心誠意対応出来る余裕があります

次の春がめぐってきたら、歯科医師生活も20年目に突入しますが、新たなスタイルで、恐らく歯科医としての知識、技量、体力がピークであろう今後の10年間を迎えられる事をありがたく思っています。
10年なんてきっとあっという間

「10年後のあなたは素晴らしく成功しています」 と、占いにも書いてありました。
ついこの前見た占いにも・・・1年前の占いにも・・・
え・・・1年前の10年後は今の9年後じゃないの?? 成功までが遠のいていないかい?とも思ったけど、ま、いいか。占いを信じてみようと思ってます

さて今日は「歯の着色」について書いてみようと思います。
もともと生まれた時から着色した歯を持って生まれてくる方もいます。先天性の着色です。
この原因は多くは母親が妊娠中に飲んだ薬に由来しています。
最近ではあまり使用されていないと思いますが、テトラサイクリンという種類の抗生物質をお母さんが飲む事により、それが血中に入り胎児にも取りこまれてしまい着色を起こします。茶色い歯あるいは茶色と通常の歯の色との縞模様のような柄の歯になってしまいます。
先天性の着色は残念ながら落とす事も、ホワイトニングで漂白する事も出来ません。
今日は日常生活によりついてしまう歯の着色の事について書いていきます。
そもそも歯の汚れ(着色)はなぜ起こるのでしょうか?
起こりやすい人と起こりにくい人がいるのはなぜでしょうか。
これは生活環境と、歯科医院での処置、大きくはこの2つによります。
多くの方は、歯が茶色くなる、というと、タバコを吸っているからだと思うのではないでしょうか?
確かにタバコを吸っている方は、歯が茶色いです。ヤニが原因ですね。
でも・・・案外タバコを吸っている方は、パッと見た感じでは茶色いのが分からないんです。
なぜ??
タバコは口腔内にくわえてそこから吸いこむため、茶色い色は歯の裏側についている事が多く、歯の表面まで茶色くならないんですよ。歯の裏表で着色の度合いに差がある事が多いです。しかし、裏側の茶色い色は濃いです。
それに対して歯の表面が着色してしまう方は、飲み物や食べ物由来が多いです。
飲み物、何を想像します?
色の濃いコーヒーを挙げる方が多いですが、私の経験上ではコーヒーよりも紅茶、日本茶などお茶からの着色の方がずっと多いと思います。
同じくワイン、赤ワインも着色を起こします。
この着色は、タバコの着色ほどの濃さはない事が多いです。タバコの茶色はこげ茶色、食べ物由来は茶色、という感じでしょうか。
何が原因?
それは、身体に良いと言われている「ポリフェノール」です。
身体には良いんだと思いますけど、着色の原因にはなってしまうんですね。
「ポリフェノール」は総称ですので、その中にはカテキン(ワイン、お茶類、リンゴ、ブルーベリーなどに含まれています)・タンニン(柿、お茶類、バナナなど)・アントシアニン(ブドウなど)・・・などなど、はみんなポリフェノールの1種です。ポリフェノールが含まれているものはワインだけではないんですよ

リンゴやバナナを剥いておくと色が変わるでしょう?あれはポリフェノールのシワザなんですね。
そのため、食べ物、飲み物に対する嗜好により着色が起こりにくい方と起こりやすい方が出てきてしまいます。
食べても、飲んでも、そのあとすぐに歯ブラシをしたり、口をゆすいだりすれば着色を防ぐ事も出来ると思いますが・・・実際問題は難しいのではないでしょうか?仕事もあるし、周囲の状況もありますからね。だから「食べたらすぐに歯ブラシを」という、いかにも歯医者っぽい事は言わない事にします。
じゃあ、ついてしまった着色をどうするか、です。
ちょっと横道にそれますが、「お歯黒」って知ってますよね?
あのお歯黒は、身分階級などもあったのでしょうけど、その頃の人々の一種の知恵でもあり、歯を黒くコーティングする事で虫歯になるのを防いでいたんです。そのお歯黒の成分の一つとして使用されていたのが「タンニン」です。
だから、一概に着色は全部取った方が良い、とも言いきれないのですが・・・現代では見栄えもありますので、やはり・・・取りましょうと言ってしまいます。
ヤニはタンニンではないですから、ヤニは素直に取りましょうね。
さて、歯科医院に行って、保険治療での「汚れ取り」を依頼すると、大概は「キーキーキー」という音と共に振動する「超音波スケーラー」を使用するのではないでしょうか?
こういう機械ですね。
これは、「歯石」がある時に、その歯石にあてて歯石を破壊し、除去するのには良いのですが、歯面にあまり大きなパワーで当てると、目には見えないほどの微細なものではありますが、歯の表面の一番硬い部分(エナメル質)にヒビを作ってしまいます。
着色のみが歯の表面にある場合に、このスケーラーをあてると確かに着色も落とせるのですが、同時に微細なヒビも形成し、それを定期検診などで繰り返し行なうと、ヒビの中にも食べ物からの着色が入りやすくなります。結果、着色がより起こりやくすなってしまいます。
なので、皮肉な事に、着色を気にするような、どちらかというと歯に関心のある素敵な患者さんが、頻繁に超音波スケーラーでの着色落としを繰り返した結果、かえって着色しやすくなってしまう事もあります。
歯の事を考えるのなら、保険治療よりも少し割高かとは思いますが、私は、パウダー噴霧式の歯面清掃機を使用する事をお勧めします。
各種メーカーによって機械の名称は違いますので、各医院でも同様に処置名称が違うと思いますが、代表的なものとしては「エアフロー」または「ハンディジェット」あたりだと思います。
当院では「ハンディジェット」を使用しています。
こういうものです。
この丸い部分にパウダーが入ります。
パウダー自体も色々な目的に合わせて粒子径や性状が異なるものが発売されているので、患者さんのお口の中の状態に合わせて選択できるようになっています。
そして粉と水が混ざったものがこの細い先端から噴霧され、パウダーが歯の表面に当たることで研磨されるという仕組みです。
歯に与えるダメージは非常に少ないです。ヒビも作りません。
この機械ではとれないような歯石があった場合には、先ほどの超音波スケーラーの併用をその部分にだけすればよいし、この機械の使用後にはペーストを使用して歯の全面を磨きあげる研磨もします。
それでも当院価格ではありますが、5000円ほどです。
ついお財布事情を考えて、保険治療を選んでしまう気持ちはよ~く分かりますが、歯の事も考えてあげた方が良いかもしれませんね。
ちなみに当院では保険治療でも、定期検診時には、もっと振動の少ない特別な超音波スケーラーを使用しますし、歯石になってしまう前にお掃除に来られるように各患者さんのお口の中の状態を見て、定期検診の期間を設定するようにしています。そのため歯へのダメージは少なくなるように考慮していますが、着色に関してはやはり「ハンディジェット」がお薦めです
高~いバックを何十万も出して買って、何年それを使用しますか?
あなたの歯は、あなたの為に、どれだけ尽くしてくれていますか?
本当に大事なものを、守ってあげてくださいね