S朗君の家族を思う度、


(別れよう。)


って思うから


(S朗君の現実を見れば諦められるかな?)


NO窪で降りてみる。


自分を苦しめたら

諦める事ができるような気がしてた。


(彼には家庭があって、

 大事な人達がいるの。)


言い聞かせて、

目を瞑る。

何度繰り返しても…

諦める事も、嫌いになる事も

全部ダメで。

自分では

どうにも出来ない事だけ

思い知る。


(まだ、ダメなんだろうか?

 いつか、諦める事ができるんだろうか?)


何も変わらないまま。

S朗君が帰る家に

M由の知らない

家族との時間がある。


次の角を曲がって

彼の家が視界から消えた。


現実感が無くて…

それが悲しいのに、

心が凍ったみたいに

何も感じない。


心は何も感じないのに、

そう思ったのに…。


涙で前が霞んだ。


(どうすればいいのか、

 分かっているはずなのに、

 『どうする事も出来ない。』


苦しいなら…

続かない。

割切る事も出来ないなら

この痛みは終わらないから、

いつかダメになる。

誰かを傷つけてまで

諦める事が出来ない程、

人を好きになるなんて…

思わなかった。


苦しいのは、自分のせいだから。

責められるべきは自分

他の誰も悪くないのだから

ソレが、苦しい。