別れなきゃいけないって

いつも思っていた。

終わらせたい自分と

終わらせてしまうことが出来ない自分と

ずっと長い時間、

戦い続けていた気がする。


耐えられないほどの動悸と

居てもたってもいられない不安を抱えて

誰かの助けが必要だった。


(お願いだから、電話に出て。

 お願いだから…。)


胸の不安から逃げるのに、

確かに、S朗に助けを求めていた。


(M由がK田さんちに…

 電話をしてしまう前に、

 チャイムを鳴らしてしまう前に…、

 お願いだから…

 お願いだから連絡を頂戴。)


と…。
そう、心の中で繰り返していた。
何故?
何故、他の選択肢が無かったのだろう。

K田さんちを巻き込むことが

自分にとって

どんな意味を持っていたのか

今も理解出来ない。

理由も分からないまま、

不安と動悸の苦しみから逃れるために、

更に苦しむのに、

もっと動悸が激しくなるのに、

何故、その不安を

自分で煽るのだろう。

何故、

S朗に嫌われることを選ぶのだろう…。

何故、

自分から自分を痛めつける道を

選択するのだろう…。

何故?


決して、S朗の家族を

苦しめたい訳じゃ無かったのに。

M由自身も更に苦しむのが

分かっていたはずなのに…。


そんなの望んでない。


S朗を家族の元に返したくて、

出来なかったの。

罪悪感に押し潰されていた。

悲鳴を上げているのが分かっていた。

何処かに助けを求めていた。

………。


あぁ……そうだ、

S朗は家庭に戻ると信じていた。

…あぁ…そうだった。

S朗の家族なら

彼の不倫を許すと思っていた。


だから…思った。

M由がS朗を失うのだから…


(…、だから……、お願い。

 M由がS朗を失うことに…耐えるから。

 だから…だからお願い。

 …死ぬ思いに耐えるから。

 だから…今、M由を助けて。)

 

それが自分勝手な言い訳だってことは

よく分かっている。

M由は、

何故?何を?

K田さんちに訴えているのか

何故?何が?

M由を助けることになるのか

自分でも分からない。


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