とおごです。
 当時、八王子にはしばしば通っていた古本屋が9件ほどありました。
1件は、表にはエロ本を並べ、一歩店内に入ると政治思想雑誌、学生運動の機関紙などと共に昭和初期の文芸雑誌や「新青年」など怪奇探偵雑誌などがそろっており、マニアは発見しにくく、エロ本目当ての人はマニアックな政治思想など買わないだろうから、次に行っても売れ残っている確率の高い、有難い店でした。
いつ行っても私以外に客がいなかったのが、安心であり心配でもありました。
 それはさておき
 西八王子のある店。
値段は高めに設定してあるが、錬金術、占星術、新プラトン主義などの本がそろった店があった。が、それ以上に魔術、呪術関係、心霊関係の本が豊富であった。
買うには懐がさびしく、次こそは買うべしと思い、帰路に着くことがしばしであった。その店にはいたるところに張り紙があり、曰く

「勝手に霊をもってこないで下さい」
「霊を無断で持ち出さないで下さい」

と書いてあった。
 こちらは常に客の多い店であった。どんな値段で売り介されているか、気になったが、冷やかしと思われるのも癪で、ついに聞けなかった。
結局この店で買った本は、どこででも買えるクローリー著「法の書」、ダイアンフォーチュン著 「心霊的自己防衛」だけだったかと思う。「法の書」は今手元にはない。