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夜回り先生。

一般入試も終わって
私立じゃなくて
市立に受かってしまった。

授業料とか少しでも安くて
よかったけど
ハンパなく田舎だった。


でもとりあえず安心した。


だって自分だけ浪人するわけにいかないし…。



そんな時に特別講演ってことで
夜回り先生こと水谷先生が
講演にきた。


なんでこんな田舎のぐれた高校に?


って思ったけど…



あたしが出会い系をやりはじめたとき…
傷つけはじめたとき…
先生の本を図書室で見つけた。


その本を読んだからきっと
学校の先生に相談したような
気がする。



そして確か先生にメールをした。
あたしはいつからいい子から
悪い子になったのかわかりませんっていう
馬鹿な内容だった気がする。


でも先生は返事をくれた。


そんなやりとりもあったなって思いながら話しを聞いた。


そういえばあたしが荒れはじめた頃。
両親が先生の講演にあたしを連れて行った。


しかも真ん中センターの席で。


ぼんやりしてたあたしを先生は
指差して


「そこのお姉ちゃん。君みたいな子が夜渋谷を歩けば、餌食になってしまうんだよ。気をつけろよ」
って言うもんだからビックリした気がする。




そうだから2回目。
先生の話しをいつも荒れてる不良男子ですら真剣にきいて
半泣きの男子すらいた。


いつも荒れて
いつも不安定だから


あたしたちは泣くんだろう。



いつも何か満たされなくて
誰かの気をひきたくて
悪いことをする。



まだ子供なんだよ。



大人のふりをしても
まだ子供なんだよ。




講演が終わったあと
あたしをあの先生が呼んだ。



「先生に会いに行こう!ちょっとしか時間ないからエリも呼んでおいで?他の子には内緒やからね」


エリを誘って部屋に入った。


やっぱり普通の先生とは違う。
子供のために身体を張ってきた先生だけある。

オーラが違う。


緊張してるあたしに先生は
にっこり笑っている。


そしてあたしの目をみて



「手首切ってるだろう。」



そう問い掛けた。



「大丈夫だ。言ってごらん?」



あたしは頷いてそのまま泣いてしまった。



先生はあたしの先生に


「先生,この子の目みてください。光ってないでしょ?
ファンデーションでごまかしてるけど顔色も悪い。

君。シンナーしたことないか?」




あたしは答えに困った。

過去に付き合った男とやってたときがある。


でも中毒にはなってないけど。


ばれたら捕まるんじゃないかって思った。




「大丈夫だから。」





「うん…でももうやってない…。」




あたしの答えを聞いた
あたしの先生は泣いてしまった。


「君はまだ中毒にならなくてよかった。でも。自分を大切にしなさい。まだ18だ。何かあればまた電話でもしなさい。」

そう言って名刺をくれた。



「君のことを考えて,卒業するまでに僕に講演にきてほしいって何度も頼んでくれたのは、そこにいる先生だよ。
難しいって行ったら、近隣3高校集めてきた凄い先生だ。
こんな先生なかなかいないぞー」

って。



あたしのために



あたしやエリが卒業するまでに。



あたしとエリは先生に
泣きながらお礼を言った。



だって



ここまでしてくれる大人なんて




いなかったから。

進路。

将来の夢。


あたしは母親が看護師だったから看護師にした。


いつも仕事で参観日もあまりきてくれなかったし
誕生日も当日いないことが多かったし
クリスマスもいなかったし
仕事してるイメージしか
なかった。



幼なじみのおかんは
いつも家にいて
遊びに行くとお菓子をくれた。


そんなおかんがうらやましくて
なんでうちのおかんは
仕事ばっかりしてるんだろう
って子供のころは寂しかった。


たまに病院に迎えにいくと
患者さんに慕われてるおかんを
よく見た。


それにおとんが難病になってから家計を支えられるのは
看護師のおかんだからってのも
わかってた。



だからあたしも看護師にした。


誰かの役に立てるとか
そんなことは滅相もない。


こんなあたしが役に立つなら
世界中の人誰でも役に立つってくらい自分に対して幻滅していた。



ただ問題なのは成績で
高校みたいに推薦なんてもんじゃいけない。


そこから、必死に勉強をした。


だって中学生の問題すらわからない。


英語は中学生の妹に教えてもらう。


進学先を決めた理由も
京都や大阪は倍率が高いし
倍率が低かったから
滋賀県って理由で…。


滋賀県に縁もゆかりもない。


どこにあるかもわからないけど。


とりあえず猛勉強して
髪も黒髪にした。




今までの自分を封印しようと
思った。

出会い系。

高校も気がつけば
3年生になっていた…


何も変わらない。


彼氏もいるし
友達もいる


何が不満かわからない


でも満たされなかった。



そんなときに
友達のエリが出会い系に
ハマった。



そんなエリをあたしは
同じ人間だと思った。


エリとあたしはつるんでは
よく出会い系をした。


出会い系で会った男に抱かれる。

でもやっぱり満たされない。



心はずっとあたしもエリも
満たされない。


身体だけは大人で
中身はまだ子供で。


もう抱かれるたびに
やめようって思うのに


寂しいとすぐに携帯に
手を伸ばした。




もうボロボロになってた。


手首に気がつけば、
傷をつけはじめてた。



薄汚れていく自分。
普通の女の子がうらやましかった。


ある日。


そんなどうしようもない自分が
嫌になってしょうがなくて


誰か、話したかった。



親には言えるはずもない


友達なんか子供だし
エリに話したところで
傷の舐めあいにしかならない。



あたしは気がつけば
高校で一番厳しい女の先生に話しに行ってた。




先生は突然担任してるわけでもない生徒に、一瞬戸惑ったような気がしたけど。


ゆっくり話しを聞いてくれた。


授業をサボってきたあたしを
責めもせずに。




「辛かったね…でも話してくれてありがとう。あなた達がいる出会い系サイトって,問題になってるけど話してくれるコなんていないからわからなかった。

とりあえず病院にいこう!何かうつされてたら大変だから。

授業抜けて行ってもいいから。先生が担任に言っておくから。
辛くなったらまず言いにおいで」

そう言われてなんだか
安心した。



エリにも話した。
エリもずっと病気を気にしていたらしい。



二人で授業を抜けて病院に行った。


二人とも何もなくて
安心した。



先生にも報告した。



もうすぐ進路を決めなきゃいけない日が近づいている。



エリとあたしは出会い系は
もうやめようって
二人で約束した。
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