#Twitter300字ssに参加しています。
#Twitter300字ss とは、月に一度、最終土曜日に発表されるお題で、一週間掛けて300字の小説を書き、公開するという企画です。
詳しい概要→
https://privatter.net/p/310549
第六十六回のお題は「橋」です。
「流れ水は、渡れないから」
橋の落成式は二十七年前だった。
三百年の歳月に耐える橋だと、川を隔てた両国の和平を祝して盛大に行われたという。
以来、様々な人々が往来した。
最初は外交官、次に商人たち。
三百年の歳月に耐える橋だと、川を隔てた両国の和平を祝して盛大に行われたという。
以来、様々な人々が往来した。
最初は外交官、次に商人たち。
そして習俗の違いを乗り越え嫁ぎ来る花嫁たち……母もそのひとりだったし、妹は一昨年、父と私の制止を振り切り橋を渡った。
明日の朝、川の両岸は「流れ水を渡れなかった吸血鬼」のなれの果てで埋め尽くされることだろう。
我々は古来よりそうやって罪から目を背けてきた。
そう……母は自死した。死体は父が川岸に運ぶ手はずになっている。
願わくば、妹の死がやすらかならんことを。
それが異国者の運命だとはいえ。
我々は古来よりそうやって罪から目を背けてきた。
そう……母は自死した。死体は父が川岸に運ぶ手はずになっている。
願わくば、妹の死がやすらかならんことを。
それが異国者の運命だとはいえ。
今夜、我が隊はこの橋を落とす。
戦争が始まる。
戦争が始まる。