窓際の席でいつも静かに本を読んでいる女の子。
友達に話しかけられればにこやかに応えているけど
クラスの中ではおとなしい方で。
だから競技場にいる君に気付いたときは本当に驚いた。
練習をよく見ていることは前から知っていたけど
一人で競技場に来るなんて。
君の視線の先にいたのは・・・・・ 先輩
アップで仲間と並んで走る。
話しかけられても俺はどこか上の空。
確かに先輩イケメンだしさ。
走ってる時なんか男の俺から見ても、めっちゃカッコイイしさ。
ああ、先輩と同じ中学出身なのか。
・・・・・・・・・まさか、先輩追っかけてウチの学校きたの?
うそでしょ・・・
・・・・・・・・・。
*****
「じゃ、10分休憩~」
「ジュース買ってきまーす♪」
パタパタと駆け出していく後輩達。
私はいつものクセで外を見る。
もう あの人はいないのに。
「また見てる~。ほ~んと好きだね。」
「あは、もうクセみたいなもんだよね。」
「でもさ、先輩この前の大会までで引退したんでしょ?」
「うん・・そうなんだけど・・・。あれ?いない・・・」
今日はお休み?
でも、さっきまで 普通に授業受けてたよね。
「え?誰が?」
「ほら、ウチのクラスの」
言いながら窓に近づいて下を見る。
窓の下の芝生に その人はいた。
「えっ?うそ・・・。寝て・・・る?」
「はあ? あ、あいつ。 ホントどこでも寝るやつだなあ」
そうかも、ふふ 授業中もよく寝てるし。
「ねえ、あんなトコで寝ちゃって大丈夫かな?」
「起こす?」
「どうやって?」
「ん~、大声で呼ぶ ?」
「え~、だめ、ここ二階だよ。恥ずかしいよ」
「じゃあさ・・・」
*****
「うんっ」
何かが顔に当たって目を覚ます。
やべっ、俺 寝てた?
「あはは、命中~~」
上から声がする。
「あー、オマエ何すんだよ」
「アンタがそんな所で寝てるからでしょ。
優しいお姉さんが起こしてさしあげたのよ~」
「誰が優しいって?」
あ・・・
ぎゃーぎゃーうるせー女の横でくすくす笑ってるのはあの子。
「さんきゅ。」
彼女にむかってピッと指を立て、グラウンドに戻る。
そっか、彼女が気がついてくれたんだ。
そうだよ、そうに違いない。
