今から10年以上前の発表会に私の兄が聴きにきた。彼はクラシック音楽はたまに聴くのだが要するに素人である。主にクラシック以外のジャンルの音楽を好んで聴くので、耳は肥えているのだろう。


私の生徒が、兄の好きな曲、それは難曲で有名な曲なのだが弾いたので、兄に感想を訊いてみた。

兄曰く「よく弾いてるけど、音が全然ダメ!」


なるほどと思った。兄の中での音に対する確固たる基準があるのだと思う。クラシック音楽に素人ではあっても。いや、素人故かも知れない。


私たち弾く側には、少々痛い話だが、弾く側だからこそ、見失ってしまうのかも知れないと思ったものだ。