この物語は、BL創作物語です。
登場人物は、実在人物とは無関係です。
耀が心配で
耀の家に住み込むことになった優
ちなみに
この家は祖母の家で
忙しい父親は別に暮らしている
ある日
耀の父親から食事の誘いがあり
迎えの車が来た
久しぶりの父子水入らずを
邪魔しないように見送る優
送迎付きだから
問題はないだろう・・・
「いってらっしゃい！
ゆっくり楽しんでおいで」
だが 彼は
早々に戻って来てしまった
何があったのか
ひどく顔色が悪い
とりあえずベットへと連れて行く
地下室の時のように呼吸が早く
手は冷たい
優はベットの脇に腰掛け
手を握り
耀が落ち着くまで
何も聞かず 静かに待った
彼を急かすことのないよう
あえて彼の顔を見つめず
冷たくなった手をさすったり
マッサージしながら
リラックスを促す
しばらくすると
耀は片方の手を
優の手の上に重ね
口を開いた
『父さんが再婚相手を連れてきた・・・
別に再婚することには反対しないけど
相手の女性が近づいたとたん
胸がムカムカして めまいがしてきて
耐えられなくなった』
「❓」
そう言って
思い出したせいか
また気分が悪くなり
優の手を強く握る耀
それ以上話ができそうになかったので
彼を休ませることにした
布団を掛けてあげ
優しくぽんぽんと叩き
寝顔を見ながら考える優
一体なぜこうなるんだろう・・・
彼を苦しめる原因って？
彼が眠っている間に
彼の祖母と話をする優
祖母の話によると
耀には子供の頃に誘拐され
地下室に数日閉じ込められたことによる
暗所恐怖症があるが
それとは別に
若い女性に対しても
恐怖症があるようだ
原因は
誘拐をした犯人が女性だった事
その時の彼女を思わせるような
深く印象に残ったものに
反応してしまうらしい
若い女性
香水の香り
服・靴・爪の色など
父親が連れてきた再婚相手は
それのどれかに
当てはまっていたのかもしれない
結局 以前聞いていた
身代金目当ての誘拐ではなかったことも
わかった
不倫相手が
妻と離婚して結婚すると
約束してくれたというのに
妻が妊娠したとわかり
離婚をやめて 捨てられてしまった
それで たまたま見つけた
子供に対して嫌悪感を抱き
誘拐して閉じ込めた
それが運悪く耀だった
嫌悪感で犯人が耀にしたことは
もしかしたら
地下に閉じ込めただけでは
なかったのかもしれない
耀が女性自体を
無意識のうちに敬遠する理由も
これでなんとなくわかった気がする
その夜 耀は
一時見なかった悪夢にうなされた
怯えながら助けを求める耀に
「大丈夫、夢だよ！僕はここにいる！」
そういって
優しく頬に口づけをし
抱きしめたまま
同じベットに横になると
耀は安心して眠りについた
その晩は
片時も離れず
彼を抱きしめたまま眠った
朝日がカーテンの隙間から差し込む頃
耀はおだやかな顔で目を覚ます
「よく眠れた？」
耀は はにかみながら
優を見つめた
つづく
