初めてパニック発作が起きたのは2年前、電車の中だった。
僕は、結婚を機に妻の実家の街に引っ越してきていた。人口5万人程の東北の小さな港町だ。
その頃はまだ子供はいなかったため、休日は自由に過ごしていた。
その年のGWも一人で実家に帰省することにした。その日は早起きし、朝5時過ぎの始発の電車に乗った。新幹線の乗り換え駅までは約2時間、電車は山間部を川沿いに走っていった。どこまで行っても窓の外の景色は変わらず、イヤホンから流れてくる音楽をただ聴いていた。
出発してから1時間程経った時だった、突然の息苦しさと不安感、動悸、それが数秒の間にどんどん強くなり死ぬのではないかと強い恐怖感が襲ってきた。イヤホンを外し辺りを見回した。電車の中の客は僕以外に1人だけ、どうしたらいいか分からず、車内のトイレへ駆け込んだ。嘔気が何度もこみ上げてくるが吐くまでは至らない。狭い空間のなかで、ただただこの恐怖が去ることを祈った。しかし、この得体のしれない恐怖が去るのにそう時間は掛からなかった。5分くらいだったろうか、もっと短い時間だったかもしれない。落ち着きを取り戻しトイレのドアを開け席に座るとつい数分前の出来事が嘘のように元の自分に戻っていた。
一体なんだったんだろう?今朝は早かったから寝不足だったのか?疲れが溜まっていたからなのか?その後は何事もなく実家に帰ることができた。
その時は恐怖の正体がパニック発作だとは知らなかった。そして、その数ヶ月後また同じような恐怖がやってきた。