昨日、子供の頃からお世話になってた方の葬儀に行ってきました。
震災で亡くなった人の事は
ブログでは書かないようにしようと思っていたのですが
お通夜に和尚さんからいただいたお話の中で
印象に残ったものがあったので書きたいと思います。
それは
『借り置きし 五つのものを 四つ返し 本来空に 今ぞもとづく』
という言葉でした。
これは一休禅師の辞世の句らしいのですが、
人間は生まれた時に五つのものを借りるそうです。
亡くなった時、そのうち四つはお返しします。
その四つとは
地 (肉、骨)
水 (血、体液)
火 (体温)
風 (呼吸)
です。
そしてもうひとつは
空。
これは魂の事らしいのですが、これだけは残ると言う事です。
返さなければならないのですが、一休さんが
「やだ」 とだだをこねただけなのかも知れません。
仏教の事を勉強したわけではないので
本当の意味の 『空』 とは何の事だかわかりませんが
でも 空、というのは何もないという事なので
『何も無いが残る』
と言う事はすごく面白いと思いました。
面白い、という言葉は不謹慎かもしれませんが
魂はあるのかないのかわかりませんし、
何も無い、という状態が、ほんとうに何も無いのではなくて
何も無いがある
という状況が不思議と言うか、
ボキャブラリーが不足していて他に言葉が思いつかないのですが
ほんとうに興味深いと思いました。
目に見えるものは無いけど
やはりその人がいた、という事実は残ります。
その人の肉体は無くなってしまうけど
その人がいた、という事を忘れずにいる事が
『本来空』 なのかな、と思いました。
目には見えないけど、確かに在るんだな、って感じました。
その人は、わたしが中学の頃、家に来る時はよく本を買って来てくれました。
それはいつも文庫本だったので、
わたしはそれを読むとなんだか少し大人になったような感じがして
とてもうれしかったものです。
その頃に読んだ佐藤愛子や星新一や北杜夫が
今のわたしの、書きもの好きを形成してくれたのだと思っています。
感謝の気持ちでいっぱいです。
この感謝の気持ちも目には見えないので 空ですが
でもいっぱいいっぱいあふれているので間違いなくここに在ります。
今日もありがとうございましたと手を合わせました。