輸入資金に14億円相当の仮想通貨を利用

イラン政府は、暗号資産(仮想通貨)による初の輸入注文を行った。イラン産業鉱山貿易省のAlireza Peyman-Pak副大臣は次のように明かしている。

 

今週、仮想通貨による最初の公式な輸入注文を行った。注文額は約14億円(1,000万ドル)相当である。9月末までに、仮想通貨とスマートコントラクトの使用は、対象国との貿易で拡大するだろう。

使用した仮想通貨の銘柄や、対象国の名前については言及していない。

イランの中央銀行は2021年4月、認定された銀行や両替業者などを対象として、輸入資金に仮想通貨を利用することを承認していた。イラン政府が公認したマイニング事業者が採掘した仮想通貨のみが利用できる仕組みだ。

背景

背景としてイランでは、米国政府による経済制裁に対抗する手段としても仮想通貨が注目されてきたことがある。米国はイランに対し、石油、銀行、海運などを含め、すべての部門での輸入禁止措置を行っているところだ。

イランは、経済制裁による外貨準備不足を補うために、仮想通貨を貿易資金として利用する方針である。2020年には、イランのロウハニ前大統領が中央銀行や各省庁にマイニング産業に特化した国家戦略の策定を命じた。

2015年には、イランは米国、EU、国連による制裁緩和と引き換えに、核兵器開発を行わないこと保証するため、核開発プログラムを抑制することに合意していた。しかし2018年に、米国のトランプ前大統領が合意を破棄して厳しい制裁を復活させており、イランも合意協定による制限に違反し始めた経緯がある。

2015年の合意を復活させるため、米国とイランは欧州連合(EU)を仲介者として間接協議を行っていたところだ。EUは8日、合意復活をめぐる最終的な文書を提出したと発表。

米国はこの文書にすぐに合意する用意があると述べており、イラン側は内容を精査した上で追加的な見解や考察を伝える予定だとしている。