349. 梅雨らしい雨 | 宿屋のおやじ日記

349. 梅雨らしい雨

山口県が入梅してから ここ長門市では たぶん初めての 梅雨らしい雨が

昨夜半から降り始めました。


小さい頃から季節の移り変わる変化への感覚が鈍い子供であった事は 

所々に書いています。が そんな子供でも こんなに静かにシトシトと降る雨に

対しては、はやり 通学途中に感じていた 田植えがすんで 暑くなる前の

うっとうしい 一時期の事であるくらいの記憶はあります。


小学校の低学年の頃、僕が登校途中に 十数メートル先で玄関からでてきた

転校してきたばかりで強いて親しくもなかった同級生と 一緒に傘をさして

歩いて登校した事がある。


下校中の道草は いつものことではあったけれど 大抵の朝には 近所の友達

と登校時間が一緒になり 二列になったり 三列になったり 歩道もない

カマボコ道路なのに よく事故が おこらなかったものだと 感心するけれど 

この日だけは ずっとこの友達の背中を見ながら ほぼ等間隔を保って片道

三十分ほどの道を歩き続けた。雨のせいで 彼も振り返ることはなかった。


そのうち教室で いつものように僕から話しかけて 仲のいい友達になった

けれど まもなくの事 お父さんが旅館の調理師であった彼は どこかの学校に

転校してしまった。


たいてい こちらから話しかける僕ではあったけれど この日だけは 何故か

黙々と歩き続けた。


一つには 彼が自分の家の玄関を出るときに 奥のほうから「 いって

らっしゃい 」という 多分彼のお母さんの声が聞こえてきて なんとなく

( へー みんなこんな風に送られているのかなぁ )と 少々うらやましく感じた

せいでもあった。


勿論僕も毎朝 帳場( 今の フロント 兼 キャッシャー 兼 倉庫 兼 奥には

家族の居住空間 みたいな場所 )で 必ず両親への挨拶は 欠かしたことは

ないけれど 家のドアをガラガラとあけて 外に出たと同時に 声を掛けられる

事はなかったから なんとなく そのことに うらやましい という感情を持った

せいでもあった。


なんとも つまらない というか わざわざ ここで書くこともない 十才前の

子供の ある日のただの思い出なのだけれど 今日のような雨に合うと いつも

思い出すシーンのひとつを持った 宿屋のおやじ なのでした。